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〜side小柳〜
あれから1週間が過ぎた
嘘だった風邪をしっかり引いた
まぁ、あの時の体調もあるだろうが‥
昨日から配信も出来てるし、もう大丈夫だろう
溜まっている仕事をまとめ、鞄に押し込む
時計に目をやるともう午後2時になろうとしていた
急足で事務所へ向かう
「‥‥はぁ、終わった」
なんとか要件をこなして時計を見ると既に8時を過ぎていた
「お腹減ったなぁ、コンビニでも寄って帰るか」
小さな個室の会議室を出て廊下を歩く
小部屋は両側に無数にあり、小さい小窓から灯りが見えると使用中だ
今日は何個かしかついていない
もう遅いしみんな帰ったのだろう
トボトボと歩いていると今歩いた場所から扉の開く音がする
誰だろうと脇を見るとニュッと手が伸び、俺の腕を掴み、明かりの付いていない部屋へと引っ張られた
「うわぁぁっ!」
「‥しっ!小柳!」
「え、エクスさん⁈」
暗い部屋の中、声で判断するしか無い
徐々に小窓から漏れる廊下の明かりで目が慣れてくる
「どうしても小柳と話したくて、周りに頼んでスケジュール確認したんだ」
「あ、‥‥そうなんですね‥‥‥」
掴まれた腕がちょっと痛い
肩をすくめると慌てて腕を離してくれる
だが、すかさず俺の手を取り握りしめた
「オレ、小柳の事が好きなんだ。この間 で分かった。小柳には急すぎたと思うけど‥でも思い立ったら黙っていられないから」
「‥好きかも‥じゃなくなったんですね。でも‥俺はまだ‥‥」
「‥‥嫌い?」
「いや、そんな極端な話しじゃ‥‥」
「どうしよう小柳、今日小柳に会ったら自分の事伝えて分かってもらうだけで良いと思ってたのに‥‥会ったら‥‥」
「エクスさん⁈」
一歩づつ俺の後方へと歩かれ、慌てて後退りする
俺は後ろにあった机や椅子にぶつかりながら壁まで来てしまった
両手が恋人繋ぎのまま肩の位置まで上げられ、壁に縫い止められる
「キスだけ‥‥してもいい?」
「え、‥や、あの‥‥」
「‥ダメ?」
ズルい
そんな顔覗き込んで可愛らしく聞いてくるなんて‥‥
「す、少しなら‥‥っん!」
初めは触れるだけのキス
そして唇で唇を喰まれ、どうしていいかエクスさんを見た
「あ‥エクスさ‥‥」
「小柳‥、もうちょっと頂戴」
「あんっ‥んっ‥‥ふぁっ‥‥ぁ‥‥」
エクスさんの手が俺の頬を撫で、上を向かせる
深くなる口付けに飲み切れないものが頬を伝う
ガチャ‥‥
「‥‥‥お前ら、ここで何してる?」
頭がぼーっとしている中、響き渡る声
パッと唇を離し、エクスさんの胸に隠れる
エクスさんは俺の身体を抱きしめ、なだめるように背中をさする
「なぁ、聞こえてんのかって!」
見なくても分かる声
どうしていつも俺は間が悪いんだろう
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