─────ノイズ視点──────
茶子の笑顔。花びらが枯れ始め、代わりに木がそれを阻止するかのように轟音をたてる。そして、その美しい姿を変え、紫掛かった黒色へとみきが変色し、葉はどす黒い紫色へと変貌する。
茶子さんはそれに吸い込まれるように、枝に連れられ、木の中にしまわれる。まるで、物のような言い方だが、それ以外にこの場に適切な言葉を見つけることは出来なかった。
「茶子さッ」
そう、手を伸ばし、助けようとした時、草が俺の足を引っ張るかのように俺の足に絡まる。さすが植物と言うべきか。気配も、音もなく相手の行動を拘束することが出来る。そんな関心も束の間。
彼女は最後に俺を見て、焦ったかのような表情で言う。
──────『菓子を殺さないで』
その動きとともに彼女は幹の中へと囚われた。
「ウ”ォ”ォォォォォオオオオオッッ!!!!」
そんな轟音によって、辺りの草花が恐怖するかのように荒々しく動き、木の根が俺を標的として振り回す。そんな単純な動き程度で止まる俺では無いが。
その根を軽くかわす。人のおねがいを聞くのは好きではないし、叶えたくもない。ただ、例外というのもある。
「はぁ…」
そんな、大きなため息を一つ吐く。茶子の遺言通りにせねばならないらしい。おそらく、この木と茶子さんの精神は融合しているのだろう。ならば、この木を切れば解決のようだ。
──────しかし、それを簡単に許すほどこの木はは、空間は穏便では無いらしい。
青い花や黄色い花など、様々な色をもつ鮮やかな花が咲き乱れる。──────と、同時に。その色に合わせた属性が俺目掛けて飛んでくる。
そんな技ありなのか、なんて思いつつも。所詮花は花。軽く交わすことが出来た。──────が、思惑通りと言ったように木が俺の着地地点と同時に攻撃してくる。知能があるようだ。面倒くさい。
ブワン
俺は素早く自身の右手に魔法陣を開き、剣を取り出す。そして、その剣に炎を与える。そうすればたちまちその剣は炎を纏う剣と化す。あとはその木を燃やせばいいだけだった。
突然、花が恨み言を言ってくる。
「ウラギリモノガ」「オマエナンテシネバイイノニ」「オマエガイキテナニニナル?」「ヒトゴロシ」「ギゼンシャ」「ツヨイカラナニ?」「ナンデコロシタ」「オマエサエイナケレバ」「ドチラノナカマニモナレナイ」「チュウトハンパ」
その言葉が俺の耳を抉るように入ってくる。その言葉のほとんどが無責任なやつの無責任な言葉だった。その声が聞こえたと共にその言葉を具現化したかのような刺々しく、禍々しい物体が俺目掛けて飛んでくる。正面から来るならば切ればいいだけだった。
「…ッッ!!!」
切れない。そう、悟る。それに気づいたと同時に身を伏せる。当たってはいけないと、直感が語ったからだ。しかし、その恨み言は止まらない。それどころか、木との距離が離れていってる。
でも、交わすしかない。攻撃と攻撃の合間をすり抜けてあの木を切らなければならない。
素早く周囲に目を配らせる。いち早く辿りつくコースを見極める。見つかればあとは簡単。足に瞬速のバフをかける。あとはぶっ飛ばせば…!!
風を切るように木との距離が詰まっていく。
──────一瞬視界が反転する。俺の視界に血が見える。これは…俺の、血?
頭が追いつかない。脳の処理がしにくい。自分の声が聞こえない。無音の世界。
──────そこで気づく。この恨み言は攻撃手段だけではない。それどころか、それは俺の気をそらすデコイでしかないのだ。本当にしたかったのは俺の聴覚を防ぐことだった。
このままだとジリ貧だと判断した俺が木との距離を詰めるために一瞬で詰める。──────そこまで計算されていて、尚且つ対策、いや、それを利用した作戦を立てたのだ。爆音は、窓をも割る力を持っている。いや、どちらかと言うと超音波の方が正しいのかもしれない。爆音すぎたら恨み言を貫通して俺にまで届くからだ。…つまり、近づけば近づくほど音が大きくなり、それに気づかず、一気にくらったからこうなってしまったのだろう。正直、油断していた。切れば終わり、なんて簡単なものじゃなかったのだ。
ほら、今もこうやって──────
何もされていない。拘束も、攻撃も。恨み言も聞こえない。言われてみればおかしかった。しかし、それはすぐに分かる。木の幹から茶子が上半身を出して必死に出ようとしていた。何か、叫んでいる。もう、耳は聞こえなくて何を言っているか分からない。でも、わかるのは茶子の必死の顔だった。
なら、俺も頑張らなければならない。体にとって酷い負担になるかもしれない。でも、いえもんなら、あのツンデレなお人好しなら。おそらく許してくれるだろう。
「──────ハハッ」
ここで切ります!いや〜ルビ初めて使ったんですけど上手くできてますかね?まあ、それは定かではないんでしょうけど…。
何気にノイズが負けかけてるの初めてな気がしますね〜いつも無双って感じするのに。
今回の戦闘シーンは頭脳を使った戦闘にしたかったんですけどやっぱり難しいですね…。先入観を利用したやつとかやってみたい…。
それでは!おつはる!
コメント
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仲間よ…!!それと通知は締めなければならない
やっと見れた