「おや、よく来たね」
優しい声の主がこちらへ微笑みを向け話しかける。
「寒かっただろう、入りなさい」
そう言うとゆっくりと扉を開いた。錆びた蝶番がキィと小さく鳴いて、光を隙間からこぼした。
部屋の中に入るとほんのりと珈琲の香りが漂っていた。
部屋にはある本棚にはびっしりと隙間なく本が並んでいた。背丈の違う本たちが誰かに読んでもらうことをそこで静かに待っていた。
「そこに座るといい」
視線を暖炉の近くにある落ち着いた色のしている年季の入った椅子に移した。きっと幾人もの人が座ってるきたのだろう。座面の色が他の部分と比べて薄れている。暖炉のパチパチとした火の音がこの部屋の静けさを誤魔化している。
言われた通りに椅子に座り本棚に並んだ本の背に視線を流していた。
「気になる本でも見つけたのかい?」
銀色で縁どられた眼鏡をかけたその人はそっと椅子から離れゆっくりあるき本棚の前まで行き、本に視線を移した。
「あぁ、この本___」
視線の先にある本へ手を伸ばし、あと数cmのところで少し止まった後に小さく頷き、再び手を伸ばし、そっとその本を取り出した。
「懐かしいな。この本はね、私の大切な人が私に初めてくれ本なんだ。」
本を大切そうに持ち、静かに椅子に座った。
「今日はこの本の話をしようか、この話をするのは久しぶりでね。」
遠い昔を思い出すように、ゆっくりと瞬きをして少し微笑み彼は言った。
「これは、儚く、尊く、美しい_______ChroNoiRの物語」
𓂃𓈒໒꒱𓏸
コメント
3件
導引の仕方に運命感じたのでフォロー失礼します
初投稿です。小説を書いたことがないので拙い文章かもしれませんが大目に見ていただけると幸いです。 見てくれた方ありがとうございます
表現力エグ過ぎ! 神作になる予感⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝