テラーノベル
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今日は、久しぶりに外へ出た。
出たと言っても、歩いて1分もかからないくらいのコンビニに行くだけだが。
いつもは、欲しいものは全部まろが買ってきてくれるから、特に家から出ることもなかった。
だけど、最近は食欲があまりなかったから、お菓子は家になかった。
なんとなく、お腹は空いてないけど口の中が寂しかったから、なんか適当にお菓子を手に取っていく。
そして、ふと棚を見ると、薬がズラッと並んでいた。
今は、季節の変わり目で、風邪が流行るから、多めに置いてあるのだろう。
薬の種類は…咳止めが多い、かな。
気付けば、俺は、薬を一箱手にとって、特に使う用途もなかった、いくらか入っているスマホで会計をしていた。
家に入って、リビングに入ると、まろがソファに座っている。
まろ、と声をかけても特に反応がなかったから寝落ちでもしたのだろう。
お疲れ様。と下手な字で書いたメモ帳といっしょに、板チョコみたいなやつをコトっと置いてあげる。
そのまま自分の部屋にお菓子とかを持っていく。
咳止めの薬の箱を開けると、プラスチックのシートが出てくる。
そういえば、X見てる時にODとか流れてきたな…。
なんか、目の前がグワングワンして楽しいとか、吐いたあとが心地良いとか…?
俺は、特に気にせず、一枚のシートを取り出した。
白くて丸い小さい見慣れた、懐かしい光景だ。
1枚分全部の薬を出して、さっき買ったペットボトルの蓋を開ける。
迷いなく、口に一個ずつ含み、飲み干していく。
すぐ症状が出るとは思ってなかったから、しばらくベッドの上でうだうだと寝転がる。
15分くらいたったくらいだろうか。
急激な吐き気が襲ってきた。
ベッドで吐くのも嫌だな、なんて他人事のように考えながら、小走りでトイレに向かっていく。
廊下の中央辺りに差し掛かった時。
視界が、ぐわんと歪み始めた。
そのままバランスが取れなくなって、体の右半身が冷たい。
その衝撃で、我慢していた吐き気が襲ってきた。
…前はここまでならなかったのに
俺は、廊下で吐き出した。
異変に気づいたまろがリビングから顔を出す。
まろの顔がサァーっと血の気が引いていくのが分かる。
でも、今は他人のことなんて考えてる暇はない。
まろが隣で、背中を擦ってくれる。
生理的な涙が溢れてくる。
しばらく吐き続けて、胃の中がからっぽになって、なにも出るものが何もなくなったけど、体はずっと吐き続けようとして、嗚咽だけが溢れていく。
それをまろは何も言わず背中をさするだけだった。
嗚咽が収まり始めたあたり。また、ぐわんと視界が歪み始めて思いっきり隣のまろにより掛かる。
そのまま、俺は意識を手放した。
青side
物が落ちたような音で目が覚めた。
廊下の方から、聞こえたから廊下を見に行こうと思ったら、苦しそうなアニキの声が聞こえた。
そのまま、高いところから液体をこぼしたような音とともに、嗚咽が聞こえる。
急いで、リビングのドアを開けると、悠佑が廊下で吐き戻しているではないか。
悠佑がなんで戻しているのかわからないけど、とにかく背中をさすった。
そのまま、さすり続けると、悠佑はこちらに倒れ込んできた。
やばい。 とにかくそう思った。
ポケットに入っているスマホで、119番を押す。
とにかく言われた質問を答えているうちに、俺はいつの間にか病院の待合室にいた。
悠佑は、なんで吐いたのかな。
俺が寝てる間に何があったの?
悠佑は、大丈夫、なの?
黒side
俺は、次に目が覚めた時には、見慣れないベッドの上で寝ていた。
白くて、きれいで、鼻をツンと指すような、そんな香りがするから、直感的に病院だとわかった。
The病院の人って感じの人と面白いくらいに目が合った。
その人は、わてわてして、ナースコールを押した。
「あ、あのっ! 患者さん、目、覚ましましたッ」
そう言ったあとに、はっとして、俺に振り返る。
「あ、えっとッ、ずちゅ、…。」
盛大に噛んだな。
「…頭痛、とか吐き気、とか…ない、ですか…?」
何、この人面白い。
「…特には…?」
ビクッと効果音が付きそうな方の跳ね方をする彼女。
「だッッ、…男性、でしたか…」
一瞬なんと言っているかわからなかった。
え、俺、女だと思われてた?
そう、口にしようと思った瞬間。
ガラガラと戸が開かれた。
医師と、看護師の人、かな?
今から何されんのかなーなんて呑気に考えているうちに、看護師の人がなにか用具をセットし始めた。
なんか嫌な予感がする。
「悠佑さん。 今から胃洗浄を行います。」
なんそれ。
ぺらぺらと医師が喋るが、まじでよくわからん。
「とにかく、指示に従ってください。」
完全に理解した。
医師に促されて、ベッドに仰向けになって口を開ける。
そしたら、ゆっくりと看護師が結構太いチューブを口に入れてきた。
びっくり。
そして、驚いて固まっていると、喉の方に来る。おえ。
すごく苦しい。 胃の中がぐるぐるしてる。 気持ち悪い。
それがしばらく続いた。
「終わりましたよ。 お疲れ様です。」
それを合図に、口の中からチューブが抜かれた。
息苦しさがすっかり消えて、楽になる。
ふう、と一息ついたときには、もう先ほどまであった機械みたいなやつは全部片付けられていた。
医者や看護師達が出ていって、間もないのに、ガラガラ、と扉が開かれた。
「ぅッ、ゆッ、ゆーすけッ、!!」
泣きそうな…と言っても、もう泣き終わったくらいの目の腫れ方だったが、すごい勢いで飛びついてくるまろ。
「わぷっ」
変な声が出てきた。
「死んだかと思ったじゃんッ!」
「、ごめん」
愛想つかされて、俺捨てられるんだなーとかそんなことを思いながらかすれた声で謝る。
「謝らんといてや。 ありがとな」
まろは、少し落ち着いたようにふわっと微笑み、側にゆっくりと座った。
その後、さっきの医師や看護師が部屋に入ってきて、俺の状態を確認しながら、点滴などを看護師に持ってこさせている。
医師は、血液検査や薬の副作用について説明し、今後の治療計画を話し始めた。
なんか、なにか喋ってるんだけど、どうも、眠気が襲ってくる。
瞬きをするたびに、眠気が増えていって、カクンと頭が落ちては、起き上がってを繰り返していると、医師が苦笑して、「寝てもらっても大丈夫ですよ」なんて言うから、すぐに寝てしまった。
次に起きた時は、日が高くなっていた。
昨日とはまた違う看護師さんが、ご飯を持ってきてくれたり、点滴をうってくれたりした。
俺は、3日間入院するらしい。
別に、辛い手術〜だとか、また極太チューブ口から突っ込まれる〜とかそーゆーのは全くなくて。
点滴を打って、特に何もなかったらそのまま退院らしい。
まぁ、週1くらいで精神科?に通わないといけないらしい。
病室の窓から差し込む柔らかな日差しを浴びながら、まろは静かに俺の手を握りしめていた。
俺は、しばらく何も言わず、窓から覗く空を眺めていく。
ふと思い、まろの顔を見つめると、まろは「なんかついてる?」なんてお決まりのセリフを言うから、少しだけ心が軽くなったような気がした。
少し、深呼吸をしてみても、前のような息苦しさはなくなっていた。
まろは微笑みながら、「大丈夫だよ」と、優しく言った。
医師や看護師たちが忙しく動き回る中、俺はゆっくりとまろの手を握り返す。
「へへ、ありがとな、まろ。」
少し笑ってそんなことを言って見せれば、まろは笑い返してくれる。
「絶対、悠佑が一生笑えるようにするから!」
そんなことを声高々に言うから、笑ってしまう。
まろも同じように笑ってくれる。
あぁ。 幸せだな。
#白
お湯
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コメント
1件
読み終えました……第2話、すごく重かったです。ODの描写がリアルで、吐き気や視界の歪みが伝わってきて、読んでるこっちまで息苦しくなりました。でも、まろがずっと背中をさすってくれたり、手を握りしめてくれたりするのが、すごく温かくて……最後の「幸せだな」ってセリフに救われた気持ちです。RaKさん、この闇と光のバランス、本当に丁寧で尊敬します。続きも静かに読ませてください🌙