コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
空が少しだけ淡くなり始めた午後
えとは撮影を終えて、河川敷の方へと足を向けていた。
秋の風が肌をなでる。空気の匂いが夏より軽い。
そこには、コスモス畑が広がっていた。
ピンク、白、オレンジ——
様々な色の花で1面が埋め尽くされていた。
「うわ、本気で咲いてんじゃん」
後ろから声がして、肩をびくりとさせえとは振り返る。
「おお、うり」
「よ」
少し驚いた表情を見せると、ペットボトルを持ち上げて軽く挨拶をしてくるうり。
「え、なんでいんの?」
「さっきえとさん散歩してくるーって出てったあとで俺達も行かね?ってなった」
「それはまあいいんだけどなんでここいるのわかったの?笑」
「なんとなく」
「ふーん」
話しているとしているとふと疑問が浮かんだ。
気になったのがうりが先程いった 俺たち という言葉。
うりの後ろを覗いてもメンバーは見当たらず、うりしかいない。
「ほかの人たちは?」
「あー、それは」
うりが少し笑いながら答えるためきっと何か企んでいるのかと考えようとしたところで大きな声と同時に肩にどんと重みを感じた。
振り返るとそこにはえとの肩に手を置いているじゃぱぱ、それに続き たっつん ゆあん ひろ なおきり が立っていた。
「やっほー、びっくりした?」
「うーん、まあ、ちょっとだけ」
「おれが最初話しかけた時のほうが驚いてたわ」
うりが笑いながらじゃぱぱにいうと少し拗ねた顔をした。
するとなおきりがビニール袋から紙パックのレモンティーを取り出しえとに渡す。
「え!いいの!ありがとう」
「どうぞどうぞー、あ、ストロー刺してあげるから一旦ちょうだい」
「過保護やなあ」
風が吹いて、コスモスがいっせいに揺れた。
だんだん風が冷たくなっていき一気に秋を感じる。
えとはスマホを取り出し、一面のコスモスをパシャリと写真におさめる。
あとでのあさんに写真送っとこう
なんて考えていると
遠くでゆあんくんとたっつんが
「みんなで写真撮ろうよー」「全員集合!!」と声をあげた。
その声が上がった方に向かいながらじゃぱぱが「カメラ置く場所ないんだけど!」と騒いでいる。
それに続きほかのメンバーも声の方へ向かう。
「手で撮るしかなくね?」
「腕が短い!」
「じゃあなおきりさん、腕長いから 」
「僕撮ったらブレブレになるって!」
結局なおきりがスマホを持ち撮影する。
えとが中心でピースしている周りでじゃぱぱとたっつんがふざけたポーズをして、うりとゆあんくんは腕を組んでピース、ひろとなおきりも同じくピース。
数枚とったらみんなでひとつのスマホをぎゅうぎゅうで覗き込む。
「たっつん変顔多すぎ」
「じゃぱぱとひろくん事故りすぎやない?」
「タイミングがわるかった」
帰り道、えとはポケットに手を入れて、ぽつりとつぶやいた。
「来年もまた咲くかなー」
となりで歩くうりが言う。
「花だし、咲くでしょ!俺らが見に来るかどうかじゃね?」
えとは小さく笑って、うなずいた。
風がまた、少しだけ冷たくなっていた。