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オークに襲われた例の女性2人には冒険者ギルドから見舞金として銀貨3枚・300バースがそれぞれ支給された。


まぁ、雀の涙程度ではあるが出ないよりマシだろう。


さらに俺からは大銀貨4枚・4000バースを馬車の代金として渡してある。


このモンソロはある程度大きな町なので働く気があるのなら何とかやっていけるだろう。


それから、俺は剣の指導をあと5日間延長することにした。


これで明日の朝より、またみっちりと鍛えてくれることだろう。……ハハハッ。


そうして、ようやく魔獣襲撃の詳細が明らかになった。


例の襲撃を受けていた貴族がサミラス領の領都であるアークに立ち寄った際、護衛騎士より冒険者ギルドに報告があがったそうだ。


それにより俺の実力が評価される事となり、今回の依頼と合わせて冒険者ランクが2つ上がりDランクとなった。


まだ昼を過ぎたばかりだが、とりあえずは家に寄って無事に帰ったことを伝えよう。


それが部屋を借りている者の義務みたいなものだしな。


その後は魔道具屋にでも行ってみようっと。


教会は……、また今度でいいだろう。また今度で。






そして今、俺はシロを連れて中央広場に来ている。


まずは串焼きだよなぁ。


先に2本もらい、食べている間に持ち帰り用で10本焼いてもらう。


そして、お店や市場をまわって岩塩・紅茶・エールも2樽購入した。


今回の依頼でだいぶ消費したのでストック用に買い足しておくのだ。


それから、肉を焼くときは炭火を使った方がだんぜん旨いはずである。


そこで炭を探しているのだが……、見つからない。この辺りには売ってなかったみたいだ。


次回、ガンツの工房に行った時にでも分けてもらうことにしよう。






そして、やって参りました魔道具屋。


面白い物があるといいのだが。


そしてドアを開けた。


「いらっしゃいませニャン」


んっ、声はすれども……、


「どうしたニャン?」


!! どうやらカウンターの方から聞こえてくるぞ。


一歩店の中に入ると……。


あぁ、子供かな~?


栗色の髪に三角のネコミミがのっている。猫人族だね。


「すいませんが、従魔も一緒に入っていいですか?」


「商品に触れなければ大丈夫ニャン」


ではでは、さっそくマジックバッグについて聞いてみるかな。


(子供で大丈夫なのかなぁ?)と思いつつも、


「マジックバッグは置いてますか」


するとカウンターの向こうから、


「マジックバッグは有るニャ、中のサイズはどの位がいいのニャン」


おお、ちゃんと対応できるようである。






「じゃあ、小さい馬車ぐらいのヤツはあるの?」


「あるけど高いのニャ、もっと小さいのにしとくニャン」


「その小さいのはどの位のものが入れられるの?」


「この位ニャン」


そう言って女の子の背がいきなり高くなった。


と言っても140cmぐらいだが。


なんだ? と思っていると、その猫人族は自分の下を指差している。


(ん、何ぞな?)


カウンター越しに下を覗いてみると、そこには1m真四角程の木製の箱が置いてあった。


って、おい!


コヤツが小さく見えていたのはその箱にはまり込んでいたからなのだ。


まったく何をやっているんだよぉ。猫みたいに…… って、ネコか!


そんなんでいいのか? いや、ここは考えるな。考えたらダメだ。


額に指を当て俺がため息をついていると、ヤツは「にゃ~~!」とか言ってのんきに伸びをしていた。






うん、なるほど。


ようするに小さいマジックバッグの収容サイズは1立方メートル(水なら1トン)ということだな。


「では、次に大きいマジックバッグはどの位になるんだ?」


「そうニャ~、これの8倍の容積になるニャン」


「では、その8倍のヤツを見せてもらえるか?」


「いいけど、お金は大丈夫かニャン」


「ではいくらなんだ、教えてくれるか?」


「30万バースだニャ、本当に大丈夫かニャン」


そういって女猫の顔はドヤッている。


なるほど、絶対払えないと思っているんだな。


確かに高い。高いが買えない程でもない。


8倍ってことは2m辺で8立方メートルか、なかなか入るよな。


これは買ってもいいかな。


いや、価格的にはどうなんだろう……。


適正な価格であればいいのだが。


あらかじめマクベさんに聞いておくんだった。


んん、待てよ……。


逆に、モノ自体は置いているのだろうか?


そんな売れるか売れないか分からない高いものなのにだ。






ちょっと反応を見てみるか。


「その態度だと、買うと言えばすぐに出してくれるんだよなぁ」


「だっ、大丈夫ニャ、先にお金みせるニャン」


ん、今かんでなかったか?


う~ん、ネコ語で喋られるとかんでいるのか、いないのかがさっぱり分からん。


でも、見ているかぎりかなり動揺はしているよな。


よし、懐から出すようにイベントリーから3枚のクルーガー金貨を出してやった。


すると、女猫は目を泳がせオドオドしだした。


俺は更に追い打ちをかける。


「これは契約違反だよな。そうだろ、有ると言ってお金を出したらありませんでは子供より悪いよなぁ。商業ギルドに訴えれば何かペナルティがあるだろうなぁ。そうすると信用はガタ落ちして借金かかえたうえに奴隷落ちだな~。さて商業ギルドに訴えに行こうかな~」


すると次の瞬間。


それはまぁ見事なまでの土下座であった。福助 (ふくすけ) も真っ青である。


床の間に飾っておきたいぐらいだ。


まあ、福助の場合はお辞儀なのだが……。


「ごめんニャさい。ごめんニャさい。奴隷は嫌ニャ許してニャン。何でもするニャン」


そう言って、今度は縋りついてきた。


まぁ、このくらいにしといてやるか。


お客様は神様だからな。バカにしちゃいかん!






「奴隷落ちは嫌なのか。そうか、何でもするって本当か?」


女猫はコクコク首を振っている。そこで俺は、


「では、さっき言っていたマジックバッグを仕入れることは出来るな。それでどの位で届くんだ?」


「仕入れはできるニャ。30日位はかかるニャン」


「では、仕入れ値はいくらだ?」


「20万バースぐらいニャ。すぐ頼むニャン」


そういう事らしいのでクルーガー金貨を2枚手渡し、


「これでマジックバッグを仕入れ値で俺に譲ること。しっかり証文を作るんだぞ。そうすれば今回はそれで許す!」


すると、塞ぎ込んでいた女猫の顔はパァーと明るくなり急いで証文を書いていくのだった。


「そうそう、俺の名前はゲン、そしてこっちが従魔のシロだ。これからよろしくな!」


すると女猫の方もそれに答えるように、


「遅くニャったけど、あちきはにゃにゃニャン」


えっ……、なんだって?


「なまえはニャニャなのか?」


すると女猫は首を横に振り、


「いや、にゃにゃニャにゃくて、にゃにゃニャン」


で、もう1回聞いてみても、


「にゃ・か・ら、にゃにゃニャにゃくて、にゃにゃニャン」


ゆっくりスローで言われてもサッパリわからん!


なので紙に書いてもらった。


ああ~、ナナな。 ナナ


まったく親も、もう少し考えて名前をつけろよなぁ。

この作品はいかがでしたか?

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