TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「ママ! あっちいこ~」



「ちょっと待って。そんなに走ると危ないよ」



「ママ、早く~」



世界で1番大切なもの――

俺にとっては双葉、そして……

初めて見る我が子。



小さな体で走ったり、可愛い顔で笑ったり。

今、そこにいるのは本当に俺の子どもなのか?

自分の分身とは、こんなにも愛しいものなのか?



「ねぇ、ママ?」



「ん? どうしたの?」



「あのおじさん、だれ?」



「おじさん?」



俺に気づいた息子、そして、双葉は振り向いた。



「えっ……」



双葉の顔を見たその瞬間、何ともいえない感覚が押し寄せ、俺の体を一気に熱くした。



「……」



心臓の鼓動がどんどん激しくなっていく。



「やっと会えた」



「ママ、ママ」



「……えっ。あ、あっ」



「ママ、どうしたの? この人、だあれ?」



「……えと、この人は……」



「双葉。本当に……君に会いたかった」



「どうしてここに? 日本に戻ってたんですか?」



「ああ、戻ってきた。ここに来れば双葉に会えると聞いて、いてもたってもいられなかった」



「会いたかったなんて、理仁さんはこんなところに来るべき人じゃないです。早く私から離れて下さい」



双葉は必死に訴えた。

そんなこと、俺に言っても無駄なのに。



「小さな天使だな。本当に可愛い。こんにちは」



思わず、吸い寄せられるように子どもに近づいた。



「こんにちは。おじさん、かっこいい」



この、体中に温かく流れるものはいったい何の感情なんだ?



「ありがとう。君こそかっこいいぞ。不思議だな……勝手に……」



俺はどうかしたのか?

自然に湧き上がる涙を必死で堪える。少しでも気を許したら頬を滑り落ちてしまいそうで……



「理仁さん……。結仁、ごめんね。少し1人で遊んでてくれる? 遠くへ行っちゃダメよ。ママの近くでね」



「は~い」



小さな背中が何とも愛おしい。

そして、目の前にいるこの人も――



「子どものこと、なぜ黙ってた?」



「何のことですか?」



「ごまかさなくていい。朱里ちゃんから聞いた」



「えっ……そうですか……」



「ちゃんと言ってほしかった」



「ごめんなさい。でも、あなたの負担になりたくなくて」



「負担になどなるわけないだろ? 今日、俺は君を迎えにきた。今度は絶対に離さないから」



「あ、あなたは常磐グループの御曹司ですよ。あなたには私なんかじゃなく、もっと相応しい相手がいるはずです。本当は、向こうで彼女さんができたんじゃないですか? 好きな人がいるのに、子どもの責任を取ろうとして……」



「ばかな! そんなことあるはずがない。彼女がいたらここには来ない。俺は正真正銘、君だけを想ってる」

世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

60

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚