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どれだけ想えば気が済むんだと思うほど、俺は双葉に夢中だ。どうしようもなく溢れ出す、この「好き」という気持ちを、いったいどうやって伝えればいい?
「俺は、君にフラれてみじめな男だった。悲しいくらいにそう思ってた。でも……違ったんだ。双葉は俺の子どもを産み、育ててくれていた。それは、俺のことを好きでいてくれたからじゃないのか?」
自惚れてるのかも知れない。
だけど、もう遠慮などしていられない。
「……それは……」
「これからは家族3人で幸せになろう。もう、不安にさせたりしないから」
「理仁さん……」
「結仁か……。とても良い名前を付けてくれたんだな。ありがとう。あの可愛い結仁のことも、愛情と責任を持って俺が死ぬまで守り抜く。だから……」
「……嬉しいです、本当に。でも、あまりに突然過ぎて、私にはどうすればいいのかわかりません」
「考えなければならない? 血の繋がった本当の家族なのに何を躊躇する?」
双葉は唇を噛み締めた。
その憂いを帯びた表情を愛しく思い、女性としての魅力溢れる美しさに胸が震える。
「理仁さんにはわからないかも知れないです。私の気持ちはそんな簡単じゃない。確かに、血の繋がった家族と温かい家庭を築けたらって思います。でも、常磐グループの未来はあなたの手にかかってるんですよ。そんな重責を担うあなたを支えるのが私だなんて……すごく怖いです」
「確かに重圧はあるかもしれない。だけど、俺、初めて会った時に、この人を守りたいって思った。心が自然にそう感じた。だから、その想いのまま、一生、双葉を守らせてほしい」
「理仁さん……本当にごめんなさい。もう少しだけ時間を下さい」
今すぐにでも双葉を抱きしめたい。なのに、これ以上しつこくして、嫌われたくないという弱い心が顔を出す。
俺は、本当に情けない男だ。
「謝らなくていい。わかった……。君に良い返事をもらうまで、俺は諦めないから」
「……」
「双葉を愛してる。もちろん、結仁も。それだけは忘れないでくれ。また、連絡する」
そう言うのが精一杯だった。
後ろ髪を引かれる思いで俺はその場から立ち去った。
背中から聞こえる結仁の無邪気な声が耳に届く度、俺の胸は何度も締め付けられた。