テラーノベル
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翌朝の教室。
カーテン越しに差し込む春の日差しが、黒板にやわらかく揺れている。
咲は席に着いて、ぼんやり窓の外を眺めていた。
――昨日のこと、まだ胸がざわつく。
ほんの数分顔を合わせただけなのに、頭から離れない。
「咲ー!」
明るい声とともに、美優が机にドンと荷物を置く。
「おはよ。ねえ、なんか顔ゆるんでない? いいことあったでしょ」
「えっ!? な、なんにもないよ!」
咲は慌てて背筋を伸ばす。
美優はじっと咲の顔をのぞきこんで、「ふーん」と笑った。
チャイムが鳴り、ざわつく教室に咲の鼓動だけが浮いているようだった
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