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前章の続き。
前章に注意事等書いているのでまだ読んでない方は其方を先に呼んでください。
瀬麗梛がその国で幹部になってから、数か月が経った。
「瀬麗梛、書類運んどけ。」
「はーい。」
「見張りも頼む。」
「分かりました。」
「魔物討伐?」
「僕で大丈夫なら。」
彼はいつも控えめだった。
強い魔物が現れても、最低限の魔法だけで倒す。
「危なかったぁ……。」
そう言いながら尻もちをつく。
もちろん演技だ。
本当なら指を鳴らすだけで魔物は消し飛ぶ。
だが、それでは目立ってしまう。
「瀬麗梛って、本当に弱いよな。」
「よく幹部になれたな。」
兵士たちは笑う。
瀬麗梛は気にしなかった。
(これでいい。)
(正体がバレなければ。)
その日の夜。
誰もいない森。
瀬麗梛は静かに息を吐く。
「ふぅ……。」
その瞬間。
空気が変わった。
膨大な魔力が森全体を包み込む。
「神級結界、展開。」
淡い光が空へ伸びる。
誰にも気付かれない結界。
そして。
「転移。」
目の前に四人の姿が現れた。
「総統様!」
怜が真っ先に駆け寄る。
「お疲れ様です。」
「怜。」
來執は勢いよく抱きついた。
「総統様ぁぁぁ!」
「会いたかったです!」
「苦しいよ。」
「離れません!」
瀬凪も笑いながら近付く。
「相変わらず無茶してますね。」
「してないよ?」
「してます。」
三人が口をそろえる。
その後ろから、小さな足音が聞こえた。
「瀬麗梛様。」
隋星だった。
「お帰りなさい。」
「ただいま。」
「違います。」
隋星は首を横に振る。
「帰ってきてください。」
瀬麗梛は困ったように笑った。
「まだ任務が終わってないから。」
「……。」
隋星は頬を膨らませた。
「嫌です。」
「僕は瀬麗梛様不足です。」
「僕も!」
來執が手を挙げる。
「俺もです。」
怜も頷く。
「俺なんて毎日寂しいですよ。」
瀬凪まで便乗した。
瀬麗梛は思わず笑ってしまう。
「みんな大げさだよ。」
「大げさじゃありません。」
怜は真剣な表情だった。
「総統様がいない国は静かすぎます。」
「そう?」
「はい。」
「総統様の笑顔がないだけで国全体が暗いです。」
瀬麗梛は照れくさそうに頬をかいた。
「ありがとう。」
その時。
隋星の表情が変わる。
「……来ます。」
「え?」
「魔物です。」
森の奥から地響きが響く。
ズン……
ズン……
兵士たちでも倒せないほど巨大な黒い魔獣。
「災厄級……!」
瀬凪が目を細める。
「どうします?」
來執が瀬麗梛を見る。
「ここで倒すと目立ちますよ。」
瀬麗梛は少し考え、
微笑んだ。
「じゃあ。」
「少しだけ本気かな。」
その瞬間だった。
彼の瞳が金色に輝く。
「消えて。」
たった一言。
次の瞬間――
ドォォォォォン!!
黒い魔獣は跡形もなく消滅した。
森には風だけが吹く。
「……。」
怜たちは苦笑する。
「少し?」
「総統様、それが少しなんですか。」
「うーん?」
瀬麗梛は首を傾げる。
隋星はくすっと笑った。
「やっぱり瀬麗梛様ですね。」
「世界で一番優しくて、一番強い。」
瀬麗梛は少し恥ずかしそうに笑う。
「その話は内緒ね。」
四人は顔を見合わせる。
「もちろんです。」
「総統様の命令ですから。」
誰にも知られてはいけない。
彼が世界最強の総統であることを。
しかし、その秘密は少しずつ綻び始めていた。
城の塔の上から、一人の少女がその光景を目撃していたのだ。
「今の魔法……何……?」
それは、この国の姫だった。
彼女は瀬麗梛の本当の力を知る最初の人物となる――。
** 第二章 終 **
次章へと続く。
コメント
3件
おお、めっちゃ良かった…! 瀬麗梛の「弱いふり」演技、分かっててもニヤニヤしちゃうわ。そして仲間たちとのやり取りがほっこりするんだよな〜「総統様不足です」に思わず笑った。隋星かわいい。 最後に姫にバレたシーン、ここからどうなるんだろうって続きが気になりすぎる🔥 隠れ最強×正体秘密、これからが楽しみすぎるわ!