何事もなかったかのようにビルを出る。
数日後にはこれのニュースで持ちきりだろう。
そんなことを考えながらタクシーに乗り込もうとした時だった。
パチパチンッ
私のすぐ横で、2度の拍手が鳴った。
『⁉︎』
今にも押しつぶされそうな圧で、
私は膝をついた。
嫌な予感がし、咄嗟に拍手のした方を向く。
「え、動けるのすごいね。…まぁ流石に、
手加減はしてるけど。」
そこには拍手をしたらしき、目を赤く
染めた女と一つ結びの黒髪が立っていた。
「君、海島さん殺ったよねぇ、」
黒髪が喋る。
『!』
なぜそれを知っている。
まだたった3分前のことだぞ。
「あはは、やっぱりかぁ。…僕の金ヅルになんてことしてくれたんだ。」
『金…ヅル?それに…なんで海島のことを…!』
「まぁまぁ。それはまた後でにしよう。いつまでもこんな”無様“な格好させたら可哀想。」
…スルッ、
体が突然軽くなったことで強張らせていた
体がガクンと飛ぶ。
周りは自分を見て引いた顔をし、見ぬ振りをして去っていく。
「ん、」
黒髪が手を差し出す。
『…なんのつもりだ。』
「いいから、早く。ついてきてほしいんだ。」
『嫌だ、せめて理由を言え。私に指図するんじゃねぇ。』
「やっぱしついてくる気、なさそうだね。」
女の方が喋る。
「だね、なら仕方がない。」
私の体は勝手に動き出した。
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