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KOKUGA
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薄暗い研究室、地球防衛軍第一駐屯地地下にて肉が焦げるような嫌な匂いと、少年の絶叫が響き渡っていた
「が、あ、あ、あぁぁぁぁッ! 」
拘束台の上で暴れる俺の同期の少年
その右腕には禍々しい漆黒の結晶、魔物の爪を研磨させた『魔石』が埋め込まれようとしていた
30年前、地球上のあらゆる場所から突如として現れた『魔物』と『魔女』達によって人類は蹂躙された。
自衛隊が死力を尽くして討伐した魔物を調べてみると、奴らの身体には未知の力が作用しており、それらによってまるでお伽噺に出てくる魔法のようなことをしてくることがわかった
それからしばらく実験を繰り返し、人間であっても彼らの一部を体内取り込むことで魔法が使えることがわかった。
現在まで人類が存続しているのは魔法を手にした人間が奴らに対抗してきたからだ
「適合率12%…下回ります!」
「…失敗か、楽にしてやれ」
白衣を着た研究員の冷たい声と同時に、拘束台に取り付けられている高電圧の殺傷装置が作動し、俺の同期は不適合の代償も合わさりただの物言わぬ肉塊へとなり死んでいった
魔女や魔物へ対抗する術を手に入れた人類だったが、その力を手にするには『魔石』への適合が出来なければいけない。
適合出来なかった人間はこうやって苦しみ、死んでゆく
(次は、俺の番かもしれないな…)
俺は防衛軍から適正がある可能性があるとして防衛軍から声が掛かった。
既に魔物のせいで家はなかったし、家族や友達を魔女に殺されていたから、一切迷うことなく彼らの可能性にすがった。
少しでも俺みたいな人間が減らせるかもしれない。
(なんて、思っていたが、一体いつまで生きていられるかな )
研究室横のマジックミラーで区切られた一室か
ら俺、久我刹那(くが せつな)はそんなことを考えていた。
「…どう思った、刹那」
「彰人(あきと)か、どう、と言われてもな
ああは、なりたくねーな…」
「そりゃあ、そうだわな」
そんなことを天開彰人(てんかい あきと)は聴いてくる。
何故そんなことを聞いてきたのか俺には一瞬分からなかった、だけどすぐに理由は分かった
…震えていた、彰人の手足は震えていた
あいつは俺の同期の一人で、俺と同じように魔物と魔女によって全てを失った者の一人だった
そして、同期の中でも一番交流が深い奴だ、だからこそその震えの意味を理解できた
恐怖、悲しみ、無力感、
俺と同じようなことを思っているんだろうと思った
「…俺たちは明日だったよな」
「……ああ、そうだな」
「彰人、心を強く持てよ、精神の乱れは肉体にも影響することがある。…大丈夫だ、俺たちは明日のために訓練してきた。そうだろ?」
そんなことをいって俺はあいつ の返事を待った。
一呼吸置いて、彰人は口を開いた
「…そうだな、その通りだ。死んでいった友のためにも、うだうだと弱気になっていたらあいつらに顔向けできないな」
そうして彰人は震えながらも目には確かな闘気が宿っていた。間違いなく怖いんだろう、俺だってそうだ、でもだからといって臆する訳にはいかない、立ち向かわなければ奪われるだけなのだから
そうこうしてると、ドアが開き一人の女性が入ってきた。
「2人とも大丈夫?こんなの何回見てもしんどいでしょう? 」
暁 詩織(あかつき しおり )この研究所内で数少ない女性の一人で、日々このようにカウンセリングを行ってくれている。
「ええ、まあ、気分のいいものではないですね
彰人は彼と仲良かったですからきついでしょう」
「…」
「そっか、二人は明日…だったよね?」
「ええ」
「今日は部屋でゆっくり休んでおこうか、今日無理して明日に響く方が問題だもんね。
柊教官の方へは私の方から言っておくよ」
「…お気遣い感謝します」
「それじゃあ、また」
そういって彼女は部屋を後にした
一見して特にカウンセリングらしいことはしていないが、彼女には『魔石』から与えられた能力がある。
万物に再生を与える力、”エテルナ”
この力と、持ち前のコミュニケーションスキル、そして卓越した戦闘IQによって3年前に18という若さで最前線に立ち続けているエリートの一人
「俺たちも戻ろう、ここにいても邪魔になるだろうし、気分がよくなるわけでもない」
「…」
「…彰人?………彰人?」
「…っあ、すまん、ボーッとしてた、なんか言ったか? 」
「…戻ろう、ここにいても、だろう?」
「そうだな、戻ろうか」
そういう彰人の手はひどく震えて、深く被ったフードの影からは薄い青が見えた気がした
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