少し暖かくなった5月の終わり。
四人は、郊外の緑地公園でピクニックをすることにしていた。
大きなレジャーシートと、手作りのお弁当。空は青く澄みわたり、風も穏やかだ。
仏「ねえイギリス、お弁当ってまさか……」
英「ええ、私が作りましたけど。文句でも?」
仏「まさか、逆。嬉しいな〜、君の手料理が食べられる日がくるなんて……感動で気絶しそう」
英「だったらちゃんと食べてください。残したら、許しませんからね」
仏「うわ、こわ……でも好き……」
イギリスがフランスの腕を小突いたその様子を見ながら、イタリアがドイツの耳元でささやく。
伊「ねえねえ、フランスたち、いい雰囲気だね〜」
独「……ああ、まるで熟年夫婦みたいだ」
伊「ボクたちも負けてられないよ〜。はい、あーん!」
独「え、今ここで? ……ったく、お前ってやつは……」
顔を赤くしながらも、ドイツはちゃんと口を開けて、イタリアの作ったパスタサラダを食べる。
腹ごしらえも済んで、それぞれがリラックスムード。
英「……風、気持ちいいですね」
仏「ほんとだね。あーあ、毎日こうならいいのに」
英「……フランス、日傘差します?」
仏「あ、やさしい〜。ほんと君、ツンデレすぎて困る」
英「……余計なことを言わないでください」
その隣で、ドイツは木陰に寝転がりながら、イタリアの膝枕に落ち着いていた。
独「……なんか、こういうの、いいな」
伊「ふふ、ドイツも嬉しい? ボク、もっと膝ふかふかにしておくね!」
独「いや、十分だ……って、くすぐるな!」
夕方の帰り道、四人は歩きながらなんとなく「また来ようね」と口にしていた。
仏「君たち、案外お似合いだよね。ドイツもイタリアには甘いし」
独「それは……まあ、お前らに言われたくないがな」
英「あの、勝手に比較しないでいただけますか……!」
伊「でもね、また4人で遊びたいな〜。今度は、遊園地なんてどう?」
仏「ふふ、ジェットコースターで君の悲鳴を録音しなきゃね、イギリス」
英「やめてください!? わ、私は叫びません!」
笑い声が、空にのぼっていく。
どこまでも平和な、幸せな春の一日だった。