テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私には好きな…いえ?私に気に入られた光栄な殿方がおりますわ。
私の名前は望中琴(のなごと)姫華(ひめか)。現在聖金華十学園の2年生ですの。
聖金華十学園は聖とついている通り、お察しの通りの高校ですわ。
でも、だからといってキリスト教の方しか入れないとかではありませんの。
現に私はキリスト教徒ではありませんが、聖金華十学園に入学しましたわ。
聖金華十学園の魅力はなんといっても綺麗なステンドグラスが輝く教会。
学園祭でそのステンドグラス魅入られて入学を決めた生徒も多いようです。
実は私もその1人。天使とキンカジューという動物が戯れている様子が描かれたステンドグラス。
天使の絵が描かれているのに、人を惹きつける魔力があることから
悪魔のステンドグラスなんて呼ばれていたりもしますわ。
そして他の高校と違うところは、毎朝礼拝の時間が設けられているというところでしょうか。
時には讃美歌の練習をしたり、時には聖書を読んだり。
さらに魅力的なのはもう1つ。それはセーラー服と学校指定のコートですわ。
聖金華十学園の校章は金の華10輪で構成されていて
そのセーラー服には1輪の華が10箇所に散りばめてデザインされていますの。
そのセーラー服が可愛くて、そのセーラー服が着たくて入学する方も多いと聞きますわ。
聖金華十学園は私立高校ということもあって、学校指定のものばかり。
制服のセーラー服にジャケットとスカート、パンツはもちろんのこと
靴下にローファー、上履きに体育館履き、外で運動するときの外履き
Yシャツにカーディガン、スクールバッグ、そしてコート。
聖”金“華十学園ということで、セーターやコートなどの色は
白、黒、そして金色に近いマスタード色や薄い黄色などの3種類から選べますの。
そして人気なのがマスタード色のコート。聖金華十学園の校章は金の華10輪で構成されていて
そのコートにも1輪の華が10箇所に散りばめてデザインされていますの。
そのコートが可愛いと女子生徒の間で人気ですの。
ま、私はそのセーラー服やコートの人気に釣られたわけではありませんが
マスタード色のコートを選びましたわ。それでは私の学友をご紹介いたしましょう。
「姫華ーおはよぉ〜」
「ご機嫌よう」
まずは彼女。名前は光亀登(ここの)知(とも)。知とは小学校の頃からの幼馴染ですの。
小学生の頃から目が悪いらしくメガネをしておりますの。
「ご機嫌よ〜」
この私の親友といっても差し支えのない間柄なのです。そしてあと2人。
「「ご機嫌よおぉ〜」」
ニマニマしながら声を揃えて言う、顔が同じお2人。久慈末(くじまつ) 絵恋(えこ)さんと久慈末虹恋(ここ)さん。
絵恋さんと虹恋さんは一卵性双生児、いわゆる双子なのだそうです。
「なのだそうですっていうかぁ〜」
「見ればわかるっていうかぁ〜」
「ここまでの同じ顔」
「整形でも無理だしぃ〜」
「鏡くらい?」
ご覧の通り、非常に絡みづらいお2人ですわ…。
「絡みづらいって失礼なぁ〜」
「私たちはただ単に、高貴なお嬢様でもないのに」
「高貴なお嬢様口調と」
「高貴なお嬢様な振る舞いをしている姫華ちゃんを」
「面白がっているだけなのに」
「「ねぇ〜?」」
顔を合わせて言う絵恋と虹恋。
知は小学校の頃からの親友ということだけあって、扱いづらい姫華の扱い方を心得ており
絵恋と虹恋はめんどくさい性格の姫華をおもちゃにしているのである。
私がその好き…いえ、私に気に入られた光栄な殿方と出会ったのは
私が高校2年生に上がってすぐのこと。駅で電車を待っているときのことでした。
前日に筆箱をテーブルに出していたのを思い出し
もしかしたら忘れたかも、と思いスクールバッグの中を漁る姫華。
そのときぽとっっと生徒手帳がこぼれ落ちてしまった。しかしそれに気づかずに
あ、良かった。ちゃんと持ってきていましたわ。さすがは私
とドヤ顔をしながらスクールバッグを閉める姫華。
電車来ませんわね
と思い、電光掲示板を見る。すると次は急行でその駅は急行電車は通過する駅だった。
通過?どーゆーことですの?この私を待たせるとは何事ですの?
お母様にこの駅にも急行を止めてくれるようお願いしないといけませんわね
と到底無理なことを思っていると、トントンと人差し指で肩をつつかれた姫華。
振り返りましたの。そうしましたらそこには、少し茶色がかった髪の
至極普通の男子高校生が立っていましたの。
「私になにかご用ですの?」
とお尋ねすると、その男子高校生はなにも言わずに、スッっとなにかを差し出してきましたの。
あぁ、またファンレターですの?困りましたわ。他校の、同じ中学でもない生徒をも魅力してしまうなんて…
※ファンレターどころかラブレターも一度も貰ったことはありません。
なんて思っていましたが、その男子高校生の手にあったのはうち(聖金華十学園)の生徒手帳でしたの。
とりあえず受け取って写真の部分を見てみたら、私の生徒手帳ではありませんの。
「あ、あら、拾ってくださいましたの?どうもありがとう」
と、この私がお礼を言ったのにその男子高校生はなにも言わず
表情1つ変えずに軽く会釈をして行ってしまいましたの。
なんですの?爽やかに「あ、いえ」くらい仰ってもいいのではないですの
なんて思いながら正面を向いた瞬間、左の足にトンとなにかがぶつかりましたの。
なんですの?
と思って足元を見たら、ペットボトルが転がって、左足のローファーにぶつかっていましたの。
こういうとき、知がいたら私の代わりに知がしゃがんで拾ってくれますの。
…絵恋さんと虹恋さんは知が拾う様子を見て、わざわざペットボトルの飲み物を十数本買って
「「あっ、ペットボトルがー(棒読み)」」
と仰りながら私の足元に転がしてきて
「この量はいくらお嬢様でも手伝ってあげないと」
「知ちゃん1人にまかせるのは親友としては」
「「ありえないですわよねぇ〜?」」
なんて仰りますわ…。でも今は知も絵恋さんも虹恋さんもいない。
私は仕方なくお尻のほうに手を添えて、スカートを膝の裏に挟むようにしてしゃがみ込んで
転がってきたペットボトルを拾って差し上げましたの。
「あ!すいません!ありがとうございます!」
随分と元気のいい声がして立ち上がってそちらを見ましたら
笑顔のさっき私の生徒手帳を拾ってくださいました方が小走りでこちらに来ていましたの。思わず
え?今しがた右に
と右側を振り返ってしまいましたの。そしたらそこにはもう先程いた男子高校生の姿はありませんでしたの。
ま、今左側から小走りで来ているのですから、右側にいないのは当たり前ですが…。
「ごめんごめん!ありがとな!」
「あぁ…。いえ」
ペットボトルを渡して差し上げました。でも先程とは打って変わって元気な笑顔でしたの。
瞬間移動?
なんて、私にしてはバカバカしい考えが頭を過ってしまうほど不思議な出来事でしたの。
ですが、不思議なことはそれで終わりではありませんでしたの。
急行の電車が通過するというアナウンスが聞こえて、目の前を電車が通過していきましたの。
スマートフォンを見ていた私ですが、いつも電車が通過した後
なぜかスマートフォンから視線を上げて向かいのホームを見てしまいますの。
皆さんも思い返してみたら、不思議と電車が通過した後、向かいのホームを見てしまいません?それですの。
そうしましたら、先程私の生徒手帳を拾ってくださり
私がペットボトルを拾って差し上げたあの男子高校生が向かいのホームにいるではありませんの!
「は!?」
思わずはしたない言葉が漏れ出てしまうほど衝撃でしたの。
これはもう瞬間移動以外考えられないではありませんの…
そう思ってしまいましたの。思わず先程までいたはずの左側
そしてその前にいた右側を見てしまいましたの。側から見たら怪しさ極まりありませんわ。
もう一度向かいのホームを見ましたら、もう向かいのホームにはいなくなっていましたの。
どっ、どういうことですの!?
またキョロキョロと見回しましたの。
そうしましたら階段から妙に色気を纏ったその男子高校生が上がってきましたの。
つい数秒前まで向かいのホームにいたはずなのに…。
ゆ、夢ですの?もしかした私は今夢の中ですの?
そう思っているうちに各駅停車の電車が来て乗る羽目になってしまいましたの。
まるで夢見心地で電車に乗って学校へ行きましたの。
「おはよー姫華ー」
知が話しかける。しかし姫華はどこ吹く風。
「おぉ〜い。姫華ぁ〜?」
姫華の顔の前で手を振る知。
「知ちゃん知ちゃん」
絵恋が知に話しかける。
「ん?」
「こーゆーときはこれよ」
虹恋が小さな氷を手に持っていた。
「え?」
「これをね?」
と虹恋が言った後
「ここにね?」
と絵恋が姫華のYシャツの背中側の襟を掴み隙間を作る。
「え、ちょっと」
「「いいからいいから」」
と言いながら虹恋が姫華の背中に氷を入れた。
急に背中に冷たさが走って思わず立ち上がりましたの。冷たさの要因が腰辺りで止まったので
すぐさまYシャツとインナーを捲りましたの。そうしましたらコトンと小さな氷が背中から落ちましたの。
「「おはよう!」」
絵恋さんと虹恋さんが満面の笑みで声を揃えて挨拶してきましたの。
「ご、ご機嫌よう」
「おはよう、姫華」
「あ、知、ご機嫌よう」
「どうしたの?ぼーっとしてたけど、どうしたの?大丈夫?」
「だ、大丈夫ですわ」
「なにかあった?」
「…実は」
知と絵恋さんと虹恋さんに駅での出来事について説明しましたの。
「まるで夢を見ているみたいでしたの」
「え?」
と言う虹恋に
「気づいてないの?」
と言う絵恋。
「え?」
「「今私たちは姫華ちゃんの夢の中にいるんだよ」」
「え…やっ、やっぱりそうでしたの?」
「絵恋ちゃん虹恋ちゃん、姫華をからかわないであげて。あと姫華も。今バッチリ現実だから」
オレの名前は唐須野(からすの)冬月(ふゆつき)。
3月に中学を卒業し、4月から烏森(うしん)高校の1年となった。
朝ご飯を食べて駅に向かう。駅の電光掲示板には急行の文字。
通過待ちか…
とスマホでゲームでもしようと思ったら視界の端でなにかが落ちるのが見えた。
女子高生がスクールバッグをガサゴソして生徒手帳を落としたらしい。
ま、誰か拾うだろう。と思っていたけど、みんなスマホに夢中。
狂ってんのかこの世界※冬月もよくスマホゲームをしています。
と思いながら近づく。少し暗いカーキ色のような
茶色より少し黄色がかったような生徒手帳には校章が刻印されており
校章とは別で「聖金華十学園」と刻印されていた。
「あの」
と声をかけたが全然振り向いてくれない。※冬月の声が小さいだけです。
仕方ないので、なるべく接地面が少なくなるように人差し指の先端で肩をつついた。
振り返った女子高生は絵に描いたようような、嘘のようなThe お嬢様。
うおっ…マジでこんな人いるんだ
最初はキョトンとしていた女子高生だったが
自分が落とした生徒手帳だと気づいて、なんか口パクで言っていた。
たぶん「ありがとう」的なことだと思う。
※冬月がワイヤレスイヤホンで音楽を聴いているので聞こえなかっただけです。
オレは
こんなお嬢様お嬢様した人いるんだなぁ〜
と思っていたから、ただ頭を軽く下げるだけで済ましてしまった。
愛想悪かったかな
とも思ったけど
どうせもう会わないだろうしいいか
と思ってトイレに入った。トイレに入ってから
ん?ここが最寄り駅なら、ここら辺が地元?てことはまた会う率高いじゃん
とも思ったが
ま、高校違うしいっか
とも思った。
オレの名前は唐須野(からすの)夏鳥(なつと)!
4月から烏(からす(烏森高校のこと))の1年になったピッチピチの!1年生!だ!
花の高校生活!楽しみで仕方ない!しかも烏(からす(烏森高校のこと))は校則緩め!
先輩が怖くなければ夏に髪染めようと思ってるし、先輩が怖くなければ冬はパーカーを着ようと思ってる。
烏はスポーツが強ぇから、オレもバスケ部に入って全国デビューだぜ!高校に行くために駅で電車を待つ。
どうやら急行が通過するらしいから飲み物を買いに自動販売機へ行った。小銭を入れてボタンをポチッ!
ガタン!っと出てきたペットボトルを取り出そうとしゃがみながら尻(ケツ)ポケットに財布を入れようとした。
ペットボトルを握り、取り出そうとしたところで財布が尻(ケツ)ポケットに入っておらず
そのまま地面に落としてしまった。
「ヤバス」
振り返って財布を拾おうと財布に気を取られて
今度はペットボトルを持っていた左手の気が抜け、ペットボトルが転がって行ってしまった。
「ヤバスパート2」
転がって行った先には女子高生。しかもすんごいお嬢様。その女子高生が気づいて拾ってくれた。
オレは財布を、”今度こそ“尻(ケツ)ポケットに確実に入れて、小走りで拾ってくれた女子高生に
「あ!すいません!ありがとうございます!」
と言いながら近づいていく。その声に気づいた女子高生はオレのほうを見た。
そしたら少しビックリしたような顔をした。
おっと?イケメンに急に声をかけられてビックリさせちゃったかな?
これだからオレってやつは…。罪な男だぜ…
なんて思いながら
「ごめんごめん!ありがとな!」
と言いながらペットボトルを受け取った。女子高生は不思議そうな、驚いたような顔をしていた。
ん?顔になんかついてたりする?
そりゃーイケメンに似合わない、ゴミというものがついてたらビックリもするか
そう思い鏡で顔を見にいくためにトイレに入った。
僕の名前はー唐須野(からすの)春花(はるか)ー。
4月から高校生だけど、いまだに実感が湧かない。つい先月中学を卒業したばかりで
高校に受かって入学手続きを終えたら4月から高校生なんて、なんか不思議だよねぇ〜。
でもこのパリッっとして、少し大きめの制服を着ていたら、不思議と新入生って気がする。
もう入学式は終えて1週間ほど経つけど、まだ学校に行くのがワクワクドキドキィ〜。
駅についてホームで電車を待つ。電車ってグワァ〜って感じで怖いけど
乗っちゃうとゆうぅ〜んって感じで目的地まで運んでくれて
ガアァ〜って去っていく後ろ姿はカッコよく感じる。でもどこか違和感を感じるこのホーム…。
あ!もしかして…流行りの違和感探しゲームの世界に迷い込んだんだな!
よし!違和感を見つけてこの世界から脱出してみせる!
僕の名前は唐須野(からすの) 秋風(あきか)。15歳。
この春、3月に中学を卒業し、4月に高校生になった高校1年生。
中学の頃はなぜか色気があると言われ、ありがたいことに何度も告白してもらった。
でも告白を断るのも心苦しいから、高校では色気を出さないように気をつけようと思う。
高校へ行くために駅へと行った。ホームにつくと兄の1人がいないのに気づいた。
もしかして。と思い反対のホームに行った。階段を上っていくと兄が見えた。
なので階段を上りきらず、ホームに上がらず階段から
「春兄(はるにい)、オレたちの乗る電車来るの反対側」
そう告げて反対のホームへの階段を上っていった。
オレにはオレと同じ顔をした3人の兄がいる。
まずは春兄。一応長男。ポワポワしてて独自の世界で生きている。長男って感じはしないけど優しい。
そして次男。夏兄(なつにい)。ただただうるさいやつ。兄と呼ぶのが癪なタイプ。
無駄に元気でスポーツと聞けば全力を注ぐ野生児。
そして三男。秋兄(あきにい)。…妙にエロい。同じ顔なのになぜかオレたちの中で一番女子から人気がある。
そして末っ子…というポジションにいるのがオレ、冬月。
そう。同じ顔の兄がいると言った時点で気づいているだろうが、オレたちは一卵性の四つ子である。
色素は普通よりは薄めで漏れなく全員茶髪。時間もお金も勿体ないという母の方針で髪型も同じ。
なので一見したらクローンが4人いるように同じ見た目。
そのため烏森高校の入学式ではザワついた。なんなら入試試験で五度見くらいされたこともある。
オレたち四つ子は違うクラスに割り当てられることになった。
オレは1-A。1-Aには時野(ときの)唯(ゆい)というスゴいイケメンがいる。
入学して間もないというのに唯の人気はすごく、入学式、クラス分けのときから周囲が騒つくほどだった。
しかし、本人はそーゆーキャーキャーとチヤホヤされ注目されるのが苦手らしく
なぜかいつもオレの側にいる。唯曰く
「冬月は近づき難いオーラ出してるから、一緒にいたらバリアになる」
んだそうだ。幸い唯もゲームをするようで、よく一緒にゲームをしている。
僕、春花はぁ〜えぇ〜っとぉ〜…あぁ、1年B組だ。クラスメイトからは
「四つ子ってどんな感じ?」
とかぁ〜
「秋風くんが好きなスイーツってなに?」
とかぁ〜
「春花くんは不思議な感じだね」
とかぁ〜
「秋風くんの好きな曲はなんですか?」
とかぁ〜
「秋風くんが嫌いなことってなにかある?」
とか聞かれるぅ〜。クラスメイトで仲が良いのはぁ〜石田(いしだ)守斗くん。
夏鳥と同じバスケ部で、同じ顔で夏鳥の兄である僕とも仲良くしてくれてる。
オレのクラスはC組だ!オレの持ち前の明るさ(うるささ)とこの美貌(そうでもない)と
コミュ力(コミニケーション能力)(テンション高いだけ)で
一躍クラスの中心人物となった!(マスコット的ポジション)
オレはクラスの誰とでも仲良いけど、一番気が合いそうで一番よく喋るのが元本(もともと)綱(つな)。
金髪で、痛いほどツンツンにしてる髪がイカしてる。
めっちゃバスケ部が似合いそうなのにバスケ部じゃないっていう…。最高におもしろくね?(おもしろくない)
僕は1-E。色気はなるべく消しているつもりではあったけど、クラスの女の子がよく僕に話しかけてくれたり
他クラスから教室内を覗き込む女の子たちが多くて、クラスの女子が言うには
「秋風くんのファンだと思うよ?」
とのこと。ま、僕は信じてないけど
「手振ってあげたら?」
と言われて手を振ったら
「「キャー!!」」
「「キャー!!」」
ってなった。男子はほとんど僕のことを敵対視していて
仲良く話しかけてくれるのは那須場(なすば)傑飛(キッド)。夏兄と同じバスケ部で
「秋風と一緒にいたらオレもエロくなれるかな?」
とのこと。
「それはどうだろうね…」
と言ったのだが
「色気は真似できるかもしれない。オレ変装得意だから」
というのでその理由を聞いたら満面の笑みで
「オレ、傑飛(キッド(Kid))だから」
と言った。
「あぁ。なるほどね?」
と納得?した。
私は帰った後も今朝の不思議な出来事が頭から離れませんでしたの。
だって目の前で瞬間移動としか思えない出来事が起こったんですのよ?
部屋の電気を消してベッドに入って布団を被り、寝るときも
暗い天井を見ていてもあの男子高校生の顔が浮かんでしまいますの。
しまいには夢にまで見てしまいましたの。
私がいつも通り駅で電車を待っていると、あの男子高校生がいらして
電車が通り過ぎたら向かいのホームに移動していて、電車が来てドアが開いたらあの男子高校生が降りてきて
電車に乗ってシートに座ったら、目の前にあの男子高校生がいて
電車が駅についてドアが開いたら、そこはうちの高校(聖金華十学園)で
私のクラスの教室に入ったら私の席の隣にあの男子高校生がいて、左右の耳元で絵恋さんと虹恋さんの声で
「「どこまでだって追いかけてくるのですよ」」
と言われ、振り返ったらあの男子高校生がいて、ビクッっとして目覚めましたの。
「まっ…まるでホラー映画ですわ…」
朝ご飯を食べて制服を着て家を出ましたの。改札を通ってホームへの階段を上りましたの。
そうしましたら階段を上がり切った瞬間、電車のドアが閉まって出発していまいましたの。
ほんの30秒ほど待てば私が乗れたというのに
この私を待たずに行ってしまうなんて、なんて図太い神経なのでしょう。
※日本の鉄道のダイヤを舐めないでください。
仕方ないので次の電車を待つことにしましたの。その待っているときもあの男子高校生の顔が
「「どこまでだって追いかけてくるのですよ」」
浮かぶのと同時に今朝の悪夢も浮かびますの…。
思わずキョロキョロと辺りを見回してしまいましたの。そうしましたら
「春兄と秋と冬月が走んないから間に合わなかったじゃんけぇ〜」
「逆になんで夏兄は走ったの。意味わかんないんだけど」
「僕朝から汗かきたくないんだよね…。でも汗かけば、むさ苦しい感じが出て色気消えるかな…」
「春の朝っていいよねぇ〜…キラキラふわふわで眠くなっちゃう…」
なにかを喋りながらあの男子高校生が階段を上ってきましたの。
信じられないと思いますが、4人横並びで…。同じ顔が4人ですのよ?あの男子高校生の…
「ドッペルゲンガー…」
口をついて出てしまいましたの…。
「…お!昨日の女子高生!」
そのうちの1人が私を見つけて大きく手を振りましたの。
「夏兄、知り合い?」
「あぁ、昨日生徒手帳拾った人か」
「そうそう拾っ…ん?オレはペットボトル拾ってくれた側だけど?」
「冬月も知ってる人なのぉ〜?」
「あぁ。昨日このホームにいた人だよ」
「そうそう!じょーしこーせー!」
気のせいでしょうか?「女子高生」という声が聞こえた気がしまいたのですけど…。
まさかこの私のことを、そのようなカテゴリで呼ぶなんてあり得ませんわよね?
私は気のせいだと思って会釈をして差し上げましたの。4人が近づいてきますの。
なのでワイヤレスイヤホンを外しましたの。
「昨日はありがとね!」
随分馴れ馴れしい口調でしたが
「あ、いえ」
と返して差し上げましたの。そして
「こちらこそ生徒手帳を拾っていただきまして、ありがとうございます」
と言おうとしたのですけれど…私から見て左から、妙にエロ…いえ、色気のある方、元気の良い方
スマートフォンを見ている方、なんか…ふわふわしている方。
どの方が私の生徒手帳を拾ってくださった方なのか…。というかそれよりも
「ドッペルゲンガー?」
ということが気になりすぎて、思わず口をついて出てしまいましたの。すると
「そうなんだよ…。実はこの3人、オレのコピー」
と声を落として言う元気の良い方。
「夏兄のコピーだけはマジで勘弁。なんの能力もなさそうだし」
とスマートフォンをいじりながら呟く方。
「んだと!冬月コラ!」
とスマートフォンを操作する方に言う元気の良い方。
「まあまあ。同じ顔がケンカするってことほど滑稽なことないから」
と言う色気のある方。
「…はあぁ〜…。いい匂い…」
ふわふわした方は空気を吸ってふわふわしておりました。
「実は」
妙に色気のある方が
「僕たち四つ子なんです」
と説明をしてくださいました。
「…ヨツゴ?」
「そうなんだよぉ〜。もう家帰っても高校でも同じ顔”だらけ”で…」
と言う元気の良い方。
「四つ子って双子の4人の、あれですの?」
「それです」
妙に色気のある方が頷く。
「兄がなにかお世話になったみたいで」
と頭を軽く下げてから微笑む妙に色気のある方。その微笑みもどこか艶っぽいのです。
「あ、いえ。こちらこそ生徒手帳を拾ってくださり…」
4人をそれぞれ見ます。でもやっぱりわかりませんでしたので
「ありがとうございます」
と4人にお礼を言って差し上げましたの。
「あぁ、それは冬月ですね。一応一番下です」
と妙に色気のある方が冬月と呼ばれた方を手で指し示しましたの。
それは先程からスマートフォンを操作されている方でしたの。
「あ、その件はありがとうございました」
「あ、…いえ…」
一瞬スマートフォンから顔を上げて私を見ましたけど
すぐにスマートフォンに視線を戻してしまわれましたの。
すると電車が来まして、その四つ子と共に電車に乗り込みましたの。
やはり四つ子はよほど珍しいらしく、電車内でもすごく視線を集めていましたの。
でも四つ子本人たちは慣れているらしく全然気にしていない様子でしたわ。
電車の中でいろいろお聞きしましたの。彼らそれぞれの名前、彼らの通う高校
そして彼らがこの4月から高校生になった私の1つ歳下だということ。
私のことも聞かれたので少しお話ししましたの。降りる駅は違うらしく、私が先に降りましたわ。
「じゃーねぇ〜!また!」
夏鳥さんがそう言いながら電車内から手を振って、春花さんも秋風さんも手を振ってくださいましたの。
冬月さんはスマートフォンを操作していて、チラッっと私のほうを見て、小さく頭を下げるだけでしたの。
私もホームから4人に軽く頭を下げて電車を見送りましたの。
「「「えぇ!?四つ子!?」」」
知と絵恋と虹恋が驚き、声が揃う。
「そうですの」
「いっ、一卵性って言ってた?」
絵恋が聞く。
「えぇ。お顔がそっくりでしたし」
「ぐあっ!…」
虹恋が膝をつく。
「虹恋!」
絵恋が虹恋に寄り添うようにしゃがみ込む。
「…私たちよりもすごい存在がいたなんて…」
カクンと力無く首を落とす虹恋。
「こっ…虹恋ぉぉ〜!!」
説明しよう。絵恋と虹恋に限らず
一卵性の双子というのは、少なからず自分たちを稀有な存在だと思っているため
自分よりもすごい存在が身近にいたと知ったとき、すごくショックを受けるのだ。
「虹恋…虹恋ぉ〜!!」
「絵恋ちゃん虹恋ちゃん…」
知が苦笑いしながら見守る。
「私が虹恋の仇を取る!姫華!」
「はいっ。なんですの?」
急に呼び捨てにされて驚く姫華。
「そのよっ…四つ…四つ子は…」
「そんな、口に出すのも悔しいんだね」
「そやつらはどの高校って言ってた…?」
「烏森高校と仰っていましたよ?」
「烏森高校…。どこ?」
「黒いジャケットに深緑のパンツでしたわよ」
「烏森高校。公立高校で校則が緩く、自由な校風で知られる高校。
スポーツに強い高校としても有名。男子校の黒ノ木学園と対を成す存在であり
東京、いや、全国屈指のスポーツ強豪校、太陽(ひ)之光学園ともう1校が
東京の代表として全国大会に出るときには、大抵、黒ノ木学園と烏森高校が有力候補だという。
スポーツが強い代わりに学力は…という感じの共学高校である」
絵恋に抱かれた虹恋がスマホを見て説明した。
「あ、生きてた」
と知に言われてカクッっと首を落とす虹恋。その日から姫華の中にある感情が芽生え始めていた。
四つ子を私のものにしたい
私は今まで、欲しいものはどんなものでも手にしてきた。
※そんなお金持ちではありません。ヨークシャーテリアが欲しいと言って
ヨークシャーテリアのぬいぐるみを貰った経験があるくらいです。
ブランドの服だって(アウトレット)、可愛いと思ったカラーリングの車だって(パズル)
芸能人にだって会いましたわ(たまたま街で見かけた)
小学生の頃から大人になるまでの親友だって、双子の友…達?だって手に入れましたの。
そんな私の前に四つ子という、双子より、三つ子より珍しい存在が現れましたの。
しかも居住地域が一緒。仲良くはなれるかもしれません。ですが!
彼らは殿方ですの。絵恋さんと虹恋さんは私と同じ女性。
まあ、今は女性同士のお付き合いも割と一般化し始めたかとは思いますが
同性であるならば、友情関係にあれば、よほどのケンカをしない限りは関係が壊れること
気持ちが離れることはないと思いますの。ですがそれが異性となると別だと思いますの。
なぜかと言いますと、先程言いました通り「お付き合い」というのが関係しますの。
私は男女の友情というものを信じておりませんわ。
もちろん一時的な友情のようなものはあるのかもしれません。
ですが片方に恋人ができたとき、友人より恋人に費やす時間のほうが多くなると思うのです。
そうしましたら恋人のいない片方の方は、今までその異性の友人と遊んでいた時間を埋めるため
なにか時間を潰せること、もしくは別の友人と遊び始めると思うのです。
そうしましたら、時間が合わず、すれ違い始め
いずれ自然消滅的にその関係は終了すると私は思っていますの。
ですので私の中では異性というのは友人よりも恋人を優先するものだと思いますの。
ということは、私がいくらあの四つ子と仲良くなろうとも、彼らに恋人ができたら
彼らは友人になった私より、恋人になったどこぞの知らない女性を優先するでしょう。
私より優先される女性がいるだなんて癪ですわ!私より優先されるべきなのはお母様、お祖母様
ボロボロのお年寄り(元気なお年寄りの方は私と対等に扱われるべきですわ)
怪我をした女性、妊婦の方、赤子くらいなものですわ。※結構いる。
それに、私より先にその四つ子を手に入れる女性がいるのが、なによりも許せません。
ということで姫華はその日を境に春花、夏鳥、秋風、冬月と仲良くなろうと試みた。
LIMEを交換し、朝は駅で4人を待ち、電車を待つ間ホームで話したり、同じ電車に乗り、車内で話したり。
しかし姫華は人生で一度も告白をしたことがなかった。
なので告白すべきタイミングというのがわかっていなかった。
人生で一度も告白したことのない私でも、なんとなくわかりますわ。
夏鳥さんのようなハイテンションな殿方というのは、彼女がほしくて仕方ないタイプなはずです。
彼女がいる高校生活を楽しみたいはずなのです。
ということで学校終わり、姫華と夏鳥たちの家の最寄り駅の近くの公園に夏鳥を呼び出した姫華。
「どうしたんすか。お?もしかして告白っすか?」
「え、えぇ」
「マジっすか!?」
「えぇ。…そっ、それで返事はどうですの?もちろん」
その先を言おうとした姫華の言葉を遮るように掌を姫華に向けて手を突き出し
「ごめん!気持ちは嬉しい!めちゃくちゃ嬉しい!わかる。わかるよ?
これからオレはバスケ界に欠かせない存在になる。高校1年生にしてインターハイの大舞台で大活躍!
テレビや雑誌でもインハイ優勝に導いた伊達役者(○立役者)唐須野夏鳥。
イケメンで爽やかなそのルックスで、女性の心にも鮮やかに遠距離シュートを決めていく。
なーんて書かれちゃったりしてね?全国にオレの女性ファンで溢れちゃって
実は四つ子!なんて話も広まって、オレのお陰で他3人も人気出てね?うん。
わかる。今からそんな優良物件を抑えておきたい気持ちはすごくわかる。
でもごめん。オレまだ望中琴(のなごと)さんのことあんま知らないから、今はごめん。
でもこれからお互い知っていく中で、オレが好きになったら、そのときはオレが迎えに行くよ。
オレから告白するから、それまで待ってて?」
という夏鳥の断りの言葉を後半聞きもせず
…ダメですわ…。仮に付き合えても私がすぐに限界を迎えそうですわ…。
まあいいですわ。これは1人目にすぎませんわ。
と思っていてすぐ次に行った。次のターゲットとなったのは
「んん〜?どうかしたんですかぁ〜?」
春花。
まあ、春花さんは夏鳥さんと違って物静かですし
お付き合いが始まっても大人なお付き合いができそうですし
と思い
「私とお付き合いしてくださいますよね?」
と告白?をした。
「んん〜…。色が違う」
「…はい?」
「まだ色が違うんですねぇ〜」
「い、色?」
思わぬ返事に戸惑う姫華。
「だから、ごめんなさい」
と頭を下げる春花。
ふっ、フラれましたの?この私が?
※夏鳥にも振られていますが、姫華の中では夏鳥のことはなかったことになっています。
…まあいいですわ。あまりにも世界観が違いすぎてついていけなさそうですし
ということで次に行くことにした。
「どうしたんですか?望中琴さん」
相変わらず色気がすごいですわ…歳下だといいますのに…
そう。秋風である。
秋風さんなら、春花さんの不思議な世界を取り除いた大人なお付き合いができそうですしね
「私とお付き合いしてくださいます?」
と告白?をしたら
「あぁ〜…」
と少し気まずそうな反応をする秋風。
「ごめんなさい。今は彼女とか作らないようにしてて…」
「はい?」
「それに望中琴さんのこと、まだあんまり知らないし。ごめんなさい。
虫がいい話かもしれないけど、これからも友達でいられたら嬉しいんだけど…。
でも望中琴さんがもし辛いっていうなら、僕と関わるのやめてもいいですからね?
でも兄さんや弟とは友達でいてほしい…って言っても同じ顔だから、僕のこと思い出しちゃいますかね」
とクスッっと笑う秋風。
え…エロ…いえ、色気がすごいですの…。というか優しいですわね…。なんか慣れている感じというか…
現に秋風は慣れていた。
…というかまた私フラれましたの!?
秋風のエロさ、色気、そして優しさですっかり忘れていたが、フラれていた姫華。
ま、よくよく見たら茂みや自動販売機の影やベンチの隙間などから
刺すような鋭い視線を感じますし…(秋風ファンクラブのメンバーたち)
もしお付き合いできても命の危険がありますしね…
鋭い無数の視線に命の危険を感じていた姫華。
…最後ですのね…
最後に呼び出した相手、それはもちろん
「…。なんですか」
冬月である。
「なんですかってあなた…」
無表情で、なんならどこかめんどくさそうな表情をする冬月。
「女性に呼び出されてなんのことかわからないと仰いますの?」
「ま、なんとなくわかりますけど…」
「そういうことですわ。どうですの?」
もはや告白すらしない姫華。
「どうですのって…」
鼻からため息のように息を吐く冬月。
「あんたさ」
「あんた!?」
「兄ちゃんたちにも告白してるでしょ」
「え、えぇ。それがどうしたというのですの?」
冬月は姫華から視線をズラし
「はあぁ…」
とため息をつく。
「それだけなら帰ります。早く帰ってゲームしたいんで」
「付き合うということでよろしいんですよね?」
「は?なんでそうなるんですか」
「だってこの私に告白されたのですよ?断らないということはOKということでしょ」
「…あんた自分をどんだけいい女だと思ってるわけ?」
「はい?」
「…ま、いいや。じゃ」
と帰ろうと姫華に背を向ける冬月。
「…なんでですの…」
と呟く姫華。振り向く冬月。
「4人もいるんだから1人くらいいいではありませんの!」
と言う姫華に、改めて姫華のほうを向く冬月。
「あんたさ、オレたち(四つ子)のことなんだと思ってるわけ?」
「なにって」
「オレたち四つ子のこと、珍しいアクセサリーかなんかだと思ってんじゃないの」
「それは」
「あんたがどれだけお嬢様か知らないけど、オレたち(四つ子)はアクセサリーでも物でもない。人間なんだよ。
1人1人個性があって、1人1人に人生があるんだよ。
同じ顔だからって同じ人間なわけじゃない。誰でもいいなんてふざけたこと言うなよ」
今まで(小学生の頃を除き)姫華に対して歯向かってきたりする人はいなかった。
それに加えて冬月が言ったことが至極真っ当なことでぐうの音も出なかった。
姫華は悔しさやらなんやらで、噛み締めたその顔を見せまいと下を向いていた。
冬月はまた振り向いて帰ろうと1歩踏み出した。
「あ」
ともう1つ思いついたことがあったので振り向いた冬月。
「あと」
そう言われて顔を上げる姫華。
「なっ、なんですの」
「なんか手に入れていがためにやたらめったら告白するのやめたほうがいいですよ。
オレたち(四つ子)みたいに優しい人だけじゃないでしょうし。お嬢様ならなおさら。
ヤリ捨てとかもあるでしょうし、お嬢様なら搾取されて、実は本命は別にいて
そっちに望中琴さんから搾取したお金貢いでる。なんてことになるかもしれない。
…もっと自分を大切にしたほうがいい…ですよ…って、まあ、自分が可愛いからわがまま放題なのか…。
ま、てことなんで」
と言われて姫華の心になにか動きがあった。
冬月はそのまま公園の出口へ向かおうとしてまた振り返り
「じゃ、また。駅で会うことがあれば」
と言って冬月は公園の出口へと向かっていった。
自分を大切に…。そっ、そんなのわかっていますわ!
…また駅でって…。また駅で会ってもまたいつものように話してくださいますの?
なんていう、姫華の思いに少し変化が起きた。
これが私が好k、いえ!私に気に入られた光栄な殿方と出会ったときのお話ですわ。