テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
お義父さんはドアを持ったまま、私と堀川先生を見る。
「梓さんの代理人弁護士、堀川です。本日は同席させていただきます」
先生はスタスタとドアまで行くと、サッと名刺を差し出した。何も言わないお義父さんに
「すでに私が代理人を受任しましたので、梓さんだけでは話し合いは出来ません」
とスラスラと伝える。
「……どうぞ」
「失礼します」
堀川先生に手招きされて、私はお義父さんの横を通る。そして、ソファーに並んで座る俊介さんとお義母さんを見た時、気持ちはこの上なく“無”だった。
堀川先生の同席に、俊介さんは落ち着きを無くしたが、お義母さんは余裕の笑みで優雅にお茶を運んで来た。
「俊介さんからの連絡で来ました。お話というのは?」
お茶の香りが、なぜだか不快に感じて、私は先を急かすように言葉を発する。すると
「梓のせいで、会社をクビになったんだ、クビ。クビだぞ、クビ。クビって分かるかっ!?」
俊介さんが前のめりでまくし立てる。
「先にお伝えしますが、替え玉仕事、監視、暴力、これらはすべて犯罪行為です」
堀川先生がスラスラと言うと、お義父さんは目を閉じ、俊介さんは口をパクパクし、お義母さんは一瞬表情を失った。でもすぐに笑顔に戻ると
「まあまあ、そんな大げさにおっしゃらなくても」
と言う。
「事実です。話っていうのはクビの報告ですか?」
腹の立つ笑顔に向かって言う私の隣で、堀川先生は2B鉛筆を動かしている。
コメント
2件
義母の余裕が不気味…😱
堀川先生の淡々と話を進めていく姿がマザ俊はやだろうな。 クビクビってつば飛んでそうだし、ママの笑顔がキモコワイ… そしてお義父さんは…
#不倫
#離婚