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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#年の差
水無月 京
84
#大人の恋
月詠 涼
1,024
それから一週間ほどたったある日、大山さんが俺の背中を軽く叩き、「今日は終業後飲みにいこうか」と誘ってきた。
「いいですけど?」
「店は私がみつくろっておくから」
そう言うと、すたすたと行ってしまう。
なんなんだ?
愛妻家の大山さんが自分から誘ってくるなんて珍しいんだが。
その後客先に出て、戻りがてら指定された店によると、大山さんの隣には恭平までいた。
「おーい、深山。こっちこっち」
「恭平も来てたのか」
「君を励ますのに、私では口下手すぎるかもしれないと思ってね」
「励ます……?」
待て待て、大山さんの言動が意味不明だぞ。
疑問符は消えないが、とりあえず席に座り、とりあえずビールを頼む。
お通しを前に、ビールを一口飲んだところで大山さんが俺の肩を叩いた。
「やはり若い子とは合わないよな。君は若いのにしっかりしたいい男だ。落ち込むことはないんだぞ」
「……落ち込んでなんていませんけど?」
「そうか? だって振られたんだろう? 松田副頭取のお孫さんから」
「俺が? いや、そもそも交際まで発展してませんし」
「そうなのか? 松田さんにお会いしたら、『孫娘がやっぱりおじさんは嫌だ』と言っていたらしくて、深山君に失礼をしたんじゃないかとって恐縮していたから」
なるほど、この奇妙な誘いは、俺が傷心なんじゃないかと思っての行動だったのか。
思わず口元が緩む。大山さんは、真面目な顔して案外優しい。
嬉しすぎて、笑ってしまう。
「ははっ。大丈夫ですよ。素晴らしいお嬢さんで、振られても本望ですから」
彼女はおそらく、俺のほうから断ったと副頭取に知られたら、仕事に差し支えると思ってくれたんだろう。
本当に出来のいいお嬢さんだ。恋さえしていなければ、絶対に逃したりしないんだろうけれど。
それでも、俺の頭に浮かんでくるのは、二ヵ月前に俺の前から姿を消した彼女で。俺はぼそりと本心をつぶやいた。
「……早く会いたいな」
「え?」
「咲坂に。会って自分の選択が間違いじゃなかったか確かめたい」
それに食いついてきた恭平は、口元を緩めて俺の肩に手を乗せる。
「もう少しの我慢じゃね? クリスマスとかと一緒だよ。いい子にして待っていたら、きっといいことあるって」
どんな慰めだよと思うけれど、恭平の気持ちは嬉しかった。
ああ俺は、いい社員に囲まれている。それを実感しただけでも、今日はいい日と言えるだろう。
コメント
1件
おお、深山Sideの番外編、沁みるわ~…。大山さんが「振られたんじゃないか」って勝手に勘違いして励まそうとしてくれるの、めっちゃ優しくて笑った。でも深山の頭の中は完全に咲坂一色で、「早く会いたい」って本音がポロッと出るところが切なくて好き。恭平の「いい子にして待ってたらいいことある」も、なんかほっこりするな。仕事はできるけど恋愛は不器用な深山、尊い。続き待ってる🔥