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ティナ達がアードを旅だった頃、地球でも期日が迫っていることもありアメリカ政府や異星人対策室を中心に準備を推し進めていた。

次回来訪の時期は詳細こそ秘匿しているがある程度はメディアにも流しており、各国メディアは再び異星人特集を組んで歓迎ムードを形成していった。もちろん政府の要請があったこともあるが。

その中心であるアメリカ、ホワイトハウスの執務室。

「収容人数は……40%にも満たないだと!?指示を出して1週間は経っているんだぞ!」

ハリソン大統領はマイケル補佐官から渡された報告書を読んで頭を抱えた。

ティナから医療シートや魔法で手当てを受けた人々を速やかに保護するように指示を出して1週間。最優先の指示ではあったが、保護された人数は4割にも満たないのである。

「大統領、非常に申し上げ難いのですが……」

「マイケル、君と私の仲だ。気にする必要はない。言ってくれ」

「では……ティナ嬢が手当てを施した人数は80人弱ですが、あの日彼女によって救い出された人数は300人を越えるでしょう」

「そうだな、無傷のまま救い出された人も多い。ティナ嬢への国民意識が良好な理由の一つだ」

「ですが、救い出された全員が彼女に感謝しているわけではないのです」

「なっ、なんだと!?」

マイケルの言葉にハリソンは耳を疑った。命を救われながら感謝をしない。そんな人間が居るのかと。

「率直に申し上げれば、我が国は“自由の国”だと言うことです」

「信じられるか!?あの宇宙人は妙なものを俺の身体に貼ったんだ!怪我が治った!?一瞬で治る筈が無いだろ!何か植え付けられたに違いない!」

「感謝している奴らのバカさ加減にはうんざりだ!あの火事だって宇宙人の自作自演に決まってる!そうじゃなきゃ、何でビルの奥に居た俺を見付けられるんだ!?あり得ないだろ!」

「あの化け物は触らないでって言ったのに私に触ったのよ!?見てよ!あいつに触られた所、今もアザになってるんだから!あの気持ち悪い羽も最悪だった!」

「聞いたかリスナー諸君!これがマンハッタンの奇跡だとか言われてる悲劇の真相だ!あの火事は、侵略者の自作自演だったんだ!だと言うのに、政府の奴らはあっさりと歓迎しやがった!いや、もしかしたら既に政府は侵略者に乗っ取られているかもしれない!リスナー諸君!今がどれだけ危険な状態か、ちゃんと考えるんだ!今俺達は侵略者に脅かされている!今こそ立ち上がるんだ!俺達の地球を守るためにな!憂国チャンネルのクサーイモン=ニフーターがお送りしたぜ!これからも皆のために真実を報道していくぜ!」

ハリソンの理解が及ばなかったが、ティナに救われた人間の中には、少数ではあるが所謂フランケンシュタイン・コンプレックスを持つ者や過激な思想の持ち主が居た。

彼等はティナによって救われた事実から目をそらし、彼女を激しく非難。これらを背景に一部の団体も不穏な動きをみせていた。

「インターネット上でもティナ嬢を批判する動画や書き込みが相次いでおり、対処を行っていますが対応できていないのが現実です」

マイケルの言葉を聞き、ハリソンは深くため息を吐いた。国を統べるものとして、幼馴染みでもあるマイケル以外の前では見せない姿だ。

「こんなことがティナ嬢に知られてみろ、間違いなく彼女は失望するだろう。異星人との交流と言う人類躍進のまたとない好機だと言うのに。保護を受け入れない人々はその手の人間かね?」

「それもありますが、ネット上にみられるデマや陰謀論を信じている者も少なくありません。また、既に民間の研究組織と接触した可能性がある人物も……」

「法案の可決を急いだツケが回ってきたな……由々しき事態だ」

ハリソンはティナの手当てを受けた人々を護るための法案を強引に、極めて短期間で通してしまったため議会を初めとして政界から猛烈な反発を受けていた。

「しかし分からんな、いくら思想の問題とは言えそう易々と怪しげな研究機関に協力するものだろうか?」

「ティナ嬢から未知のウイルスを感染させられたと騒いでいる一派も居るのだとか」

「論外だな、我々も精密検査を終えている。異常は無かった。なにより、外宇宙へ進出するほどの文明がその辺りを想定していないとは思えん」

現にティナの衣服は見た目の薄さとは裏腹に環境への適応能力が高く、それは地球の微生物等からティナを護り、また逆にティナが持つアードの微生物などを地球へ漏らさないバリアの役割も担っている。

最も、その機能に特化させたため常時展開する障壁などは搭載されていない。つまり、理論上地球人はティナを害することが可能である。常時展開しているアリアの警戒を突破できればの話であるが。

「……医療シートを使用した場合の影響は?」

「ありません。ティナ嬢から提供されたものを解析することは出来ていませんが、治療された人間の詳細なデータを確認しても変化はありませんでした。引き続き経過観察に努めますが」

「うむ。政府の要請に従わないのなら、自己責任の原則を適応するしかあるまいな……何が起きても関知はしない。いや、研究機関にデータを提供した段階で逮捕するとしよう」

「国益を考えれば、それがよろしいかと」

「秘密裏に処理してくれ。間違ってもティナ嬢に知られるわけにはいかんからな」

「FBIとCIAにはその様に伝えておきます」

「うむ、頼んだ。その分我々の要請を受け入れてくれた人々には最大限の便宜を図ってくれ。それと、ティナ嬢を歓迎する団体が少なからずあったな?」

「ええ、あくまでも民間のものですが」

「非公式ではあるが、支援をしてやってくれ。もちろん、まだ政府の援助だと知られないようにな」

「お任せを」

課題はあるものの、光明が見えてきて一息吐いたまさにその時、ホワイトハウスの職員が血相を変えて飛び込んできた。

その行いにマイケルが眉を潜める。

「何事かね?大統領の前だぞ」

「まあまあ、構わないさ。何かあったかな?」

ハリソンは敢えて笑顔を向けた。

「はっ、はい!申し訳ありません!ただいま緊急事態が発生!異星人対策室ケラー室長のご令嬢が誘拐されました!」

「「なんだとぉ!?」」

地球ではまた新たな問題が発生した。

星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~

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