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アパートの薄暗い洗面所に、パキッという、乾いた小枝が折れるような残酷な音が響いた。
「……あ、あぁ、ああああぁぁっ!!」
omrは叫び声を上げようとしたが、wkiの分厚い掌がそれを強引に塞いだ。
鼻から抜ける、こもった悲鳴。痛みで視界が真っ白になり、omrの全身から嫌な汗が吹き出す。
「二十万っつっただろ。……十五万しか持ってこれねえ上に、一日遅れ。お前、俺を舐めてんの?」
wkiは、へし折ったomrの左手の中指を、さらに執拗に弄り回した。折れた骨の断面が肉の中で擦れ、omrはあまりの激痛に白目を剥き、膝から崩れ落ちる。それをwkiは、髪を掴み上げることで無理やり立たせていた。
wkiの瞳には、怒りすらもうなかった。そこにあるのは、ただ「所有物を自分好みに作り変える」という、淡々とした作業への執着だけだ。
wkiは、折れた指に追い打ちをかけるように、わざと強く握りしめる。omrが苦痛に顔を歪めるたび、wkiの口角は愉快そうに吊り上がった。
「なぁ、指が折れてて、明日からどうやって稼ぐんだ? まさか、俺に養ってもらおうなんて甘いこと考えてねえよな?」
「治るまで、寝る間も惜しんで立ちんぼでもするか、それとも……もっと汚い仕事、俺が紹介してやろうか?」
wkiは、omrの頬を折れた指先でなぞった。激痛で痙攣するomrの体を見下ろし、彼は獲物をいたぶる蛇のような声で囁く。
「お前が使えないと、俺の新しい女に貢ぐ金が足りないんだわ。分かるか? お前の不始末のせいで、俺が恥をかくんだよ」
omrは、激痛の中で混濁する意識を必死に繋ぎ止めていた。
不思議なことに、指を折られた瞬間、彼は言いようのない「安心感」を覚えていたのだ。
(ああ、wkiが俺に『罰』をくれている。俺を見てくれている。俺に関心を持ってくれている。)
「……っ、ごめ、なさ……wki、怒らないで……っ、もっと、もっと汚い仕事でも……なんでもするから……!」
omrは、折れた中指を庇うこともせず、血の気の引いた顔でwkiの靴に縋り付いた。指が動くたびに鋭い痛みが走るが、その痛みこそが、今この瞬間、自分とwkiを繋いでいる唯一の絆だった。
wkiはそんなomrを、まるで汚物を見るような目で見下し、その顔を思い切り蹴り飛ばした。
「……気持ち悪い。その顔、その声。……明日までに二十万、プラス今日の罰金で五万。合計二十五万だ。用意できなかったら、次は利き手の指を全部折ってやるよ」
wkiがリビングへ戻り、テレビのボリュームを上げた。
omrは洗面所の冷たい床に横たわり、不自然に曲がった中指を見つめる。
腫れ上がり、紫色に変色していく指。
「……あは、wki……優しい……」
まともな人間が見れば発狂するような状況で、omrは虚ろな笑みを浮かべた。
wkiに骨を折られた。wkiに蹴られた。wkiに金を要求された。
そのすべてが、彼にとっての「必要とされている証拠」に変換されていく。
omrは震える右手で、折れた指に優しく触れた。
「大丈夫、まだ動くよ、wki……。君のために、俺、もっとボロボロになれるから……」
深夜の静寂の中、折れた骨が軋む音だけが、omrの絶望的な愛の旋律として響き続けていた。
もうそろ終わり
#作詞