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秘密だらけの僕

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1 - 第1話『課題』

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2024年01月21日

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9月末の涼しい日の事だった。その日、黒沢は昨夜の勉強で夜更かししたことがいけなかったのか、夏目漱石の『こころ』を先生が音読している間に睡魔に襲われていた。ウトウトとしている黒沢は勢いよく机に頭をぶつけた。ゴンッ と言う音が教室に響き渡った。皆が一斉に黒沢の方を見た。「いったぁ」と手で額を抑える黒沢。目を開け周りを見ると皆がこっちを見ていることに気づいた。皆がクスクスと笑い始めた頃「おーい。黒沢、授業中に居眠りとは、、、。黒沢立て」と少し顔の怖い先生が寝起きの黒沢に言った。、黒沢は慌てて席を立つ。クラスは静まり返る。「今読んだ続きを読んでください。」と黒沢に指示をした。黒沢は教科書は開けていたものの、先生がどこまで読んでいたのかわからなかった。どうしよう、と困っていたら前の席の高木優斗がこっちを向いて「273ページの6行目」と教えて直ぐに前を向いた。「ありがとう」そう言うと黒沢は続きを読み始めた。

一段落ほど読むと「おけー。黒沢座っていいぞ」と先生が言うと黒沢は軽く頭を下げて すみません と小さい声で言いながら座った。「じゃぁ、次回は今日読んだところを解説していくから内容忘れないように。ちょっと早いけど、終わろうか。」やったー と何人かがそう言う。 黒沢は時計を見る。(僕は何分間寝ていたのだろう)と疑問に思う黒沢。「起立」と委員長が言うと全員一斉に立ち上がる。「礼」「ありがとうございましたー。」言い終わると同時に「あ、そうだ。黒沢、今日提出の課題を集めて持ってきてくれ。」とだけ言って教室を出ていった。これは僕への罰だろうか なんて考えている黒沢に「珍しいな居眠りなんて。昨日夜更かししてゲームでもしてたんかよ」とニヤニヤした顔で優斗が話しかけてきた。「違うよ、勉強してたんだよ」と椅子に座りながらそう言い、黒沢はカバンに必要なものを入れ帰る準備をし始めた。「まじめかよ。」と言いながら課題を僕の机に置く。「黒沢くん!これ、お願いね」とクラスで1番可愛いと言われている如月陽菜がニコッとしながら黒沢に課題を手渡した。それを受け取る黒沢に「黒沢くん、私も」「私も」と女子が私に集まり、男子も 俺も俺も と渡しに集まってきた。「ここ置いといて」と如月の課題を自分自身の机に置けれた優斗の課題の上に重ねておいた。その上に皆は次々と自分の課題を置き  ありがとう とだけ言って黒沢の席から離れた。向こうで女子が「陽菜ちゃんのだけ自分で受け取ったね。」「脈アリ?」なんて話している。それを聞いた優斗が「モテモテだな」と揶揄うかのような口調で黒沢に言った。そこに「如月さんとどういう関係?」と委員長が問いながら黒沢の机に課題を置いた。「え、委員長、、、。」「毎回言ってるけど、委員長じゃなくて俺には 高橋昴 っていう名前あるんだけど。」と軽く睨みつけながら言った後に「で、どういう関係?」と再度問いかける。「えっと、高橋くん?僕と如月さんはただのクラスメイトだよ?」軽く名前の呼び方を確認した後に高橋の問への答えを述べた。それを聞いてもなお黒沢を睨む高橋に「こいつまじで恋愛とか興味ねぇータイプの人だから安心しろよ!昴」と優斗が笑いながら高橋に言う。ふんっと言うかのように自分の席へと戻って行った。「あいつ、如月さんのこと好きなんだよ。多分な。」と優斗はコソッと黒沢に伝えた。それに付け加えるかのように「お前って、、、」と優斗が何か言いかけた時「終礼始めるぞー」といつもより遅れて担任が教室に入ってきた。 皆は担任に遅いだの、もっと早く来いなどを軽く言う。「悪かった悪かった」と謝りながら教台の前に立って連絡事項を伝えた後「じゃぁ、解散」と言った。その瞬間数名の生徒は立ち上がって、「あざーすっ!」と言って走って教室を出ていった。「黒沢、課題提出したら帰る?」と課題を数える黒沢に優斗が聞く。「提出したら帰るよ。」と言いながら黒沢は数えるのを1度やめた。「それよりさっきなんか言いかけてなかった?」と優斗に問いかける。優斗は肘をつき、顔に手を当てた。「いや、お前って昴のこと苦手なん?」苦手かどうかと聞かれた黒沢は、そんなこと1度も考えたことがなかったので少し悩んで「苦手じゃないけどなんで?」と優斗に聞き返した。「なんか昴のことずっと委員長呼びだから苦手なんかなーって思っただけ。」黒沢は少し黙り込んでから「なんか凄い見られてる気がして、ちょっと緊張しちゃうっていうか。だから、あんま話したことないし。」確かに高橋は黒沢のことを見ている時がある。だがそれは黒沢と如月が話している時だけだった。その事を黒沢は気づいていないから何故自分が見られているのか理解出来ていなかった。「昴は如月さんのこと好きだけどさ、如月さんはお前に気があるから嫉妬してみてるだけだって」と安心しろと言わんばかりの優しい笑顔で黒沢の方を見てそう告げた。黒沢はそっか とだけ言って課題を数えるのを再開した。

「、、、24、25、26」と黒沢は課題を数え終える。27人クラスで26冊しかない。(えっと、まだ出してない人は、、、)黒沢は出席番号順に課題を整理し始めた。その間優斗はこっちを向いて座りスマホゲームをしていた。黒沢がすくっと立ち上がって向かった先は、佐藤新の所だった。「佐藤くん、課題ある?あと、佐藤くんの分だけなんだけどさ」と日直日誌を書いている佐藤に聞いた。「まだ終わってなくて、終わったら自分で先生に出しに行くから」と目も合わせず、手を止めないまま黒沢にそう伝えた。おけー と言って黒沢は自分の席の場所へと戻り「提出して帰るか」と優斗に伝えた。優斗はスマホをポケットに入れ、カバンを持つと「このままどっか寄り道するか?」と黒沢に聞いた。「どこでもいいけど」と黒沢もカバンを持ち2人は教室を出て職員室に向かった。

職員室で先生に課題を渡した黒沢は「佐藤くんの以外は集めました」と一言添えた。「分かった。黒沢、次からは居眠り気をつけろよ。」とだけ黒沢に言って黒沢は はい と苦笑いをした。


正門を出てから優斗は「佐藤ってちょっと変わってるよな」と言った。「そうか?僕あんま話したことないからわからないけど。」「クラスの中の誰1人佐藤とはあんま話したことないって。休み時間もずっと1人で勉強してるしらだから真面目なのかと思ったけど宿題忘れも多いしさ」と優斗は少し呆れ気味でそう言った。優斗の言う通り佐藤はいつも1人で勉強をしていた。クラスの人が話しかけても目すら合わせずクラスで1人浮いている存在だった。「まぁ、1人が好きって言う人もいるし、、、」と言う。黒沢ははっと何かを思い出すかのように立ち止まりカバンを漁る。「どうしたどうした 」と優斗も立ち止まった。「ごめん、財布忘れた。多分家だわ。寄り道また今度でもいい?」と手を合わせ申し訳なさそうな顔で優斗にそう言った。「ちぇ、しょうがねぇなぁ〜」と優斗は歩き始めた。その日は2人とも寄り道せず帰宅した。

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