竜春
病んでる要素少し少ないかも
竜胆と春千夜は元々あまり仲良くない設定
竜胆が蘭の事を少し悪く言ってます
それでも良い方どうぞ
いつも一番をとる兄貴に少し苦手意識を持っていた。確かに、兄弟として好きではあるし、話も合いやすい。だけど、何かを競っていたり、みんなの注目を浴びたりすると途端に兄貴の事が憎く見えてしまう。二人で始末した奴なのに兄貴の方が慕われる。仕事だって、出来る兄貴に任される事が多い。兄貴よりも頼られたかった。兄貴よりも先に俺に頼ってほしい、褒めてほしい。なのに皆んなは兄貴の方に行ってしまうのが現実。弟に生まれるとこんなにも辛いんだわ。
時刻は日が落ちた頃、俺と兄貴はアジトで休憩していた。仕事もひと段落したから一服してスマホを弄る。するとそこに九井が何枚かの紙を持って此方に来た。
「なあ、蘭。
さっきの仕事の情報共有してくれ。」
「おっけー。」
あー、またかよ。俺じゃなくて兄の蘭に言う。俺もそれ一緒に行った人なんですけど。なんで皆んなは最初に兄貴に聞きに行くのかな。なんなら俺の方が扉に近い場所に座ってるはずなのに。なのに、態々遠い場所にいる兄貴に話しかけに行くとか謎すぎる。本当に弟という立場は嫌だ。先程言ったように兄貴と兄弟になるのは全然嬉しいし、好きだ。でも、差をつけられるとほぼ確実に負ける。俺は兄貴の引き立て役のような存在で、兄貴が輝くためにある飾りのようなもの。そんな役目、喜んで引き受けるやつが何処にいる。
兄貴と九井は話をする為に部屋から出て行った。そして取り残された俺。俺は今までの苛つきが心に収められなかったのか、吸っていた煙草を地面に叩きつけて靴底で踏みつける。無意識に舌打ちも口から鳴らしてしまった。まあ、誰にも聞かれてないだろうし良いだろう。
「あ?
先客がいたのかよ。」
「…御前か。」
再び扉が開き誰かと思い音のした方を見るとそこには見慣れた顔の同僚がいた。そいつは三途春千夜、この梵天のNo.2だ。
「俺で悪かったかよ。」
「別に。
てかここに何の用だよ。」
「何の用があっても良いだろ。
…ただの休憩だ。」
そう言って、煙草と黒のライターをポケットから取り出し、煙草を咥えて火をつける。どうやら俺と同じように一服しにきたらしい。俺は横目で三途を見ながらだらっとしていた。
「……。」
「……。」
無言が続く。俺と三途は仲が良いか悪いかで聞くと良くもないし悪くもない関係。一日に一言二言話す程度の関係で、簡単に言うと「ただの同僚」って言ったら良いだろう。友達とか、恋仲とかそういう甘ったらしい関係では程遠い仲である。確かに天竺から一緒にいるものだから仲良くなるかも?と思うが全くそう言うことはあり得ない。俺と三途はそもそも人に興味がないから、お互いどうでも良いと思っているのだろう。少なくとも俺はそうだ。
「……あ、そうだ。
おい、灰谷。」
「なに?」
「これ次の任務、御前とやる事になったから。」
三途はスマホの画面を見せてきて、俺は目を細めながら液晶版に映っている文字を見る。そこには潜入任務の内容が事細かく書いてあり、全て見る気が失せた。しかし、これは別に俺じゃなくても大丈夫なやつなのは一目見てわかる。何故コイツは俺を選んだのか少々謎だった。
「あー…分かった。」
「ん。
じゃあ、早速行くぞ。」
三途は俺の肩を二回叩いて扉に向かった。三途とはこんなに喋ったことも稀なものだからどう反応すれば良いのか少々迷ってしまう。俺は頭を掻きながら後ろについて行った。
無事に任務も終わり、後処理も済んだ。重いものが多く、力仕事やら多かったため共同になるのも無理はないなと自分の中でほぼ意味のない納得をした。肩を三回ほど回して骨を鳴らすと、三途が刀を鞘に入れ戻しながら近づいてきた。
「今回の任務はこれで終わりだ。 」
「ん…。
…ちょっとさ気になった事あったんだけど。」
「あ?
なんだよ、二十文字以内でまとめろ。」
「なんで俺なの?」
その言葉に三途は少々目を丸くして俺を見つめてきた。俺は知っている。この任務は元々三途のみで行くやつで、それで俺がいきなり誘われた事に。ならば、俺じゃなくても良かったはず。行く前に思った謎。鶴蝶でも九井でも…兄貴でも良かった筈だ。なのに何故俺を選ぶのか。あの時丁度俺がいたから?いいや、あの廊下は一本通行な筈だから三途があの部屋に来る前に部屋から出て行った九井と兄貴に会った筈だ。ならば、その時に誘えば良かったはず。俺は三途にちゃんとした答えを求める。ほら、言えよ。
「御前が適任だと思ったからだよ。」
「は?」
「今回の任務は力仕事が多い。
俺には少々力が足りない仕事だからな。」
「じゃあ、他にも鶴蝶とか兄貴とかでも良かったんじゃ?」
「御前は近距離戦と遠距離戦を器用に扱う。
俺にとって今回それが欲しかったんだよ。」
俺は三途に驚いた。こんなにも俺の事を知っていたとは。ましてや、俺ですら知らなかった情報だ。そして三途は俺の顔を見つめて口を開いた。
「それに、御前とは前々から喋ってみたかったからな。」
「…え?」
「御前と俺長い付き合いなのにあんま喋った事ねぇだろ?
まあ、良い機会だしちょっとだけ喋ってみたかった、それだけだ。」
まさか、三途に他人と話したいという感情があったとは。いや、決して馬鹿にしているわけではない。ただ意外だっただけ。そして、俺も三途と同じように他人と話したいという感情があった事にも驚いている。
「だから、今回はテメェを選んだ。
てか、最近思ってたけどよぉ、御前って兄貴と比べられんのいやだろ。」
「え、なんで知ってんの?」
「御前、兄貴の方が頼られてる時、いっつも違う方向見るじゃん。
気づいてねぇの?」
「マジかよ。
…何で御前そんな事知ってんの、変態?」
「ちげぇよ、馬鹿野郎が。」
三途は俺の頭を刀の持ち手の方でコツンと軽く叩いてきた。正直、今回俺を頼ってきてくれた事に対してめちゃくちゃ嬉しかった。ちゃんと俺を見てくれているし、兄貴よりも俺を選んでくれた事に。微力ではあるが、少し心が軽くなった気分に浸れた。
三途は「帰るぞ」と言って手配した車に向かう。俺は三途の隣に行って、肩をぴたりとくっつけた。
「三途、次も俺の事頼ってよ。」
「まあ…考えといてやるよ。」
今日は俺の心が動いた日。それは多分甘いのだろう。
コメント
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ぴゅぎゃア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッッッッ💥💥💥お兄ちゃんは大好きなんだけど、自分は2番目だから周りからも頼み事とか蘭ちゃんにいっちゃってそれをずっと眺めてる竜胆を春ちゃんがしっかり見てたって言うのがもぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッ😇😇😇😇😇😇😇それに最後肩にぴとっと着いてるあたり心開いてるのかなぁぁ💗って思ったり……😏😏
へけ…(?)すきですすきすぎますもう!!!!🥲💞 おいしくいただきましたありがとうございます!!!!!!