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帰りは車で家まで送ってもらい、降りる際に、彼は「また……」と口にした後で、「……本当は、もう少しともにいられたらとは思うが……」そう名残り惜しげに付け足した。
そのセリフに、顔からボッと火が出そうになる。
「今日は、店舗の巡視の予定があって。私も、もっと時間を取れればいいんだが」
「いいんです」と、にっこりと笑って彼へ返す。
以前のデート終わりには、仕事があると言う彼に寂しい思いもしたけれど、もう今はそんな風に感じるようなこともなかった。
だって、何より彼は、確かな証をくれたんだもの……。
そう思いつつ、左手の薬指に目を落とすと、
「……この指輪が、ありますから」
おのずと胸が熱くなった。
「ああ……、それに見合う言葉を、いずれは伝えよう」
仄かに照れたような面差しで、再び伝えてくれる彼に、たまらない愛しさが募る。
「貴仁さんを、好きになってよかった」
想いのままを口に出すと、
「私もだ……」と、甘やかな一言が戻った。
「待っていてほしい。いずれはしっかりとした形でと、きっと約束する」
もう一度、彼が自らにも言い聞かせるかのように告げて、指輪の嵌まった私の左手を取ると、澄んだ青い煌めきを放つサファイアに、贈られた時と同じように静かにキスを落とした。
「……離れがたいな」
そうして、低く切なげに声に出すと、私の身体を抱き寄せ、口にした言葉を体現するような、いつにない情熱で接吻た。