風呂から上がり、さっぱりとした気分でベッドへ向かう。
さっぱりと言っても、心はモヤモヤしっぱなしなので些かさっぱりとは言えない気がするが。
そんなことを思いながらベッドへ向かう。
この部屋のベッドは2つあり、鳴海は右側のベッドで大の字になって寝ていた。
布団もかけんと寝たら風邪引くやろ…と半ば呆れながらも、自分は左側のベッドへ──
「ぉわっ!?ぁちょ、脱げてまう脱げてまう引っ張らんといてください鳴海隊長まじで離してもろて」
「うるさい…」
…行かせてくれないのが鳴海だ。
まさか起きているとは思わなかった。
「えぇ…ちょ、とりあえず離してもらってええですか」
「ヤダ」
「ヤダて…子供やないんですから」
「じゃあむり」
「そーゆー問題ちゃうねんてな」
これまたよく分からんやり取りをしつつ、パチリと目を開けた鳴海を見やる。
「…僕寝れんのですけど」
体勢的にも疲れるので、離していただきたい。そう思いながらボヤくと、
「ボクのとなりでねればいいだろ」
「………は?」
「ボクさまをあっためろ」
何やこの人。え?いや、え??
僕ら犬猿の仲やないですか。何言っとるんです?寝ぼけすぎちゃいますか?
言いたいことは喉まで出かかっているのに、言葉にならない。
この人、酔ったら性格変わるよなぁ…。
やっぱ意外とかわ、
………ん?かわ?…可愛ええ…?僕今可愛ええって…いやんなわけあるかい。鳴海隊長やぞ。
僕が鳴海隊長のこと可愛ええとか思うわけないやろ。天変地異が起こっても有り得へん。
「たいちょうめいれいだ、ボクとねろ」
「…い、や、僕の隊長は亜白隊長だけなんで、」
「じゃあじょうかんめいれい」
「…」
しつこい。うん、これはしつこい。
これ頷いた方が早いんちゃうかな…。
そう思いつつ、自分の心に言い訳していることに保科は気付かない。
「はやくしろ、ほしなぁ…」
「…朝起きて文句言うんやめてくださいよ」
「?…いいからさっさとこい」
「…はぁ……了、」
枕を左のベッドから取り、お邪魔しますと一声かけて鳴海の隣で横になる。ついでに掛け布団をかけてやると、満足そうにむふーっと笑う鳴海。
──いや笑っ…!?
…初めて見た。鳴海がこんな風に笑うところなど今まで一度も見たことがない。
鳴海は自分と接する時、大体キレている。なのでこんなにも穏やかに笑っているところはかなりレアなのである。
…まぁ、ちょっとは可愛ええかもな。ちょっとやけど。ほんまにちょっとな。
普段は見ない鳴海の笑顔を見たことで、絆されたのかもしれない。
僕も大概、酔ってきとるかな…。
そんなことを思いながら、明日起きた時の鳴海の反応を脳内で再生してみて、苦笑する。
絶対「なんで居るんだ保科ァァァ」とか叫んだ後二日酔いの頭痛でウッてなりそうやな。
やけに解像度の高い鳴海を想像して微睡む。
そしてスヤスヤ眠る鳴海の顔をしばし堪能してから眠りについた。
コメント
6件
最高すぎて泣けてくる(´;ω;`)ウッ… 鳴海さんの笑顔、絶対に可愛いやん、、、、、まじで神だこの人、、、
保科さんもトキメク鳴海さんの笑顔...まぁ、破壊力凄そうね🫠✨️Üさんの作品が尊すぎて溶ける꒦꒷🫠꒦꒷
わああああああ、めっちゃ最高です!!! nrm隊長のセリフがひらがなで可愛さが増して心撃ち抜かれました Üさんの作品ほんと大好きです!!🥹🎶