テラーノベル
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/ᐠ。ꞈ。ᐟ\ノ
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少し乾いた風が吹く昼下がり、校内中に騒がしい音や人々の声が滾る中、静寂の空間が1つ。 握りしめた手は軽く汗ばみ、顔は赤く、きっと傍から見ればみっともない顔をしているのだろうと予想が着く。
目の前には自分より少し小さく、けれども女子という類の中から見れば高身長な、少女とも、女性とも言いきれない人物が立っていて、こちらをじっと見つめている。その視線は矢のように鋭く、簡単にそらすことが出来ない。
「ねぇ先生、…いや、ミコト。どうするの?」
なんでこうなったんだっけ、どこで間違えたっけ、と頭の中で無意味な事を耐えず考え続け、答えを出せずに、あ、だとか、うぅ、だとか、言葉にならない声を口から漏らしている。
時間とともに剥がれ落ちる理性が、やめなくては、相手は未成年だぞ、と頭の片隅からまるで悲鳴のように叫んでくる。そんなこと、当のとっくに理解していたはずだったのに。結局は今、ひとりの人間として目の前の彼女を、脳にとどまらずに体のありとあらゆる細胞が求めている。
「コトちゃん…」
僕の答えを聞いた彼女は満足そうに口角を上品に上げ、握っていた手を離し、僕の頬に触れる。そして、そっと、唇に触れる。粘膜と粘膜が軽く触れ、柔らかい感覚が神経をつたい、脳へと、全身へと快感を送り、この上ない幸福を感じる。
この幸福は犯罪である事を重々承知していながらも、体は目の前の彼女を求め自然と動き、細身でありながら筋肉が程よく着いた体に抱きつく。
コトちゃんの柔らかい唇を堪能しながら、僕は自分がなぜこうなったのか考える。
──僕の“常識”が崩れ始めたのは、人生の歯車が大きくズレ始めたのは、きっとあの頃からなんだろう。
――20××年 4月
「これから1年間、このクラスの担任になりました、榧野ミコトです。高校生活、最後の一年をみんなが楽しく過ごせるようにしていきたいと思います〜。僕はあんまり怒ることが得意じゃないので、そんな怖がらせることは多分?しないです!よろしくね」
家の中で考えに考え詰めて決めた自己紹介文を噛むこと無く言って、クラスの子反応を見る。人は第一印象が大事で、そこで人間関係の土台が出来る。それはこれまでの人生で何度も痛感してきた事だった。
ノリと愛想がよく、誰にでも話しかけれる者はクラスの中でも浮くことは無く、いいスタートダッシュがきれて、その後1年間、もしくは学校生活最後まで充実した日々が過ごせる。逆に、怖じけずいて誰とも話さず、始業式初日からぼっちを極める者は、その後ずっとその調子。
僕は小学校から大学生までずっと、いわゆる一軍男子、というものだったらしく、良い友人にも恵まれ、毎日充実した日々を過ごしていた。
だが、自分が生徒ではなく、立場の違う教師になった途端に話は変わる。流石に生徒に嫌われる教師にはなりたくない。だからといって、羽目を外しすぎても懲戒免職になってしまう。
“いい先生”だと思われるため、こうやって第一印象の為の自己紹介を試行錯誤し、明るい雰囲気で話してみせる。
この後の生徒の反応によって、僕の今年1年の教師生活が変わってくる。お願いだから、嫌われてませんように。そう必死に願いながら、朝のホームルームを終わらせる。
どうだ、どうだ。
「榧野先生、めっちゃ当たりの先生じゃね?」
「いやそれな、これなら去年の一昨年もずっと榧野先生が良かったわ」
「ミコトちゃんの授業、シンプルに楽しみ〜」
……結構高評価。というかめちゃくちゃ気にいられてる。
心の中でガッツポーズを取りながら、教卓の上を片付ける。バインダーに挟まっているクラス全員の名簿に目を通し、騒がしい教室中を軽く見渡す。
あぁ、あの子はきっとクラスの中心になるだろうな。よく馴染めてるし。…あの一人の子は……上手く友達を作れればいいけど…。あそこのふたりは仲がいいんだな、席替えの時は、席近くにしてあげよっと。……高校に進んだのに不登校の子もいるんだ…受験した意味とか、退学しない意味とかあるのかな……。
そう人間観察をしながら名簿に目を走らせていくと、最後に珍しい苗字の子がいた。
「ゆずりは…コトコちゃん…?」
「なんですか」
「うわぁっ!!びっくりした!」
思わず名前をつぶやくと、斜め横からキリのいい声がした。慌てて振り向くと、赤目が特徴的な、短髪で前髪が重めの今どき珍しい髪型の女の子が立っていた。いや、年齢からして女性の方が正しい…?
口から勝手に出ていた驚きの声は、新学期早々に騒がしい教室にかき消されていたようで、コトコちゃん以外、僕の方を見つめている子はいなかった。
彼女の鮮明な赤色の目は、僕の意識を掴んで離さない。一気に、水中にいるように周りの音が聞こえ無くなり、体は釘付けにされたまま動けない。すると、そんな僕にコトコちゃんは分かりやすく顔を顰めチッ、と舌打ちをした。
「だから、なんですかって聞いてるのよ」
手紙を器用にペラペラと列の人数分に合わせて配布しながら、面倒くさそうに吐き捨てる。
「ご、ごめんね。珍しい苗字だったからさ」
「…ふん。」
手を横に振りながら、必死に謝ると、彼女はつまらそうに去っていった。
ふと時計に目をやると、既に5分前入室の時間になっており、授業のセットをあたふたと準備し、駆け足で廊下に出る。流石に人生初の授業に遅れたくはないので、注意されない程度に走り美術室へ向かう。その後は遅刻しないかということで頭がいっぱいで、さっきの出来事を教室に戻るまでは忘れていた。
4限目終了のチャイムがなり、美術の授業を終わらせ、教室へ戻る。クラスの子達はみんな昼休みを始めているようで、各自グループに集まったり、他の場所へ移動したりと様々。だけれどそんな中でも、ただ部屋の隅の席に座って、黙々とサラダチキンを食べる杠ちゃんがいた。
─不思議な子だなぁ。
浮かないように、バブられないようにと生徒達がグループを作り合う中、誰にも媚びずに1人で過ごしている彼女は少し寂しそうにも思えた。
その後なんだかんだで一日が過ぎ、生徒達は下校して行った。みんなを見送った後、教室を確認し荷物を持ち職員室へ向かう。ガラガラと扉を開き、自分の机に着くと、斜め前の机──学年主任の教師が話しかけてきた。
「榧野先生、お疲れ様です」
「▇▇先生も新学期早々、お疲れ様です」
労りの言葉と共に、片手にコーヒーを渡してきた。結構いい先生だな、と感じる。というか良い先生。
そのまま他愛のない話を続けていると、生徒の話になり、学年主任の先生はすこし気まずそうに口を開いた。
「榧野先生のクラスは…大丈夫ですか?」
「えぇと…大丈夫…とは?」
「ほら……うちの学年、問題児が多いじゃないですか。やっぱり榧野先生のクラスにも……いるでしょう?」
なーんだ、そういう事か。と理解し、別に大丈夫ですよ〜と軽く返す。確かに荒れそうな子も少しはいるが、そんな子は教師に深く関与されるのが嫌いなので、自分が近づくよりも、何か事件などが起こった、未遂になった、という時に警察に突き出す方がいい。
たしかに生徒の安全も大事だが、ああいうタイプは教師が何言おうと学習しないし変わらないので打つ手がない。そんな事はミコトが学生の頃にとっくに理解していた事だった。
「そうですか。ならいいんですが…。後、榧野先生のクラスには…杠さんもいるでしょう?」
机の上のプリントや授業の構成予定ノートなどを片付けながら話していると、学年主任の先生から意外な人物の名前が出て、思わず手を止めてしまった。
「え…?まぁ、居ますけど、そんな悪い子じゃないですよ」
「そんな事思えるのは最初の頃だけですよ…。」
呆れたように言うと、コトコちゃんのことについて話し始めた。
──まず、よく不良と絡んで相手を病院送りにする。なぜ不良と殴り合いをするのかと問いただしても黙秘を貫き、周りから何を言われても反省する気は一切ない。
授業はそっちのけで内職している事が度々、注意すると「ここの範囲は全て理解してるから、他の所に時間を使った方が効率的でしょ」と言い、それからは無視される。グループワークの時などもあまり積極的では無く、思った事を包み隠さず言うためよく他の生徒とトラブルになる。─あんな暴力的な生徒、我々には手に負えない。と、いう事だった。
シンプルに意外だった。青天の霹靂、という所か。
確かに高3の女子にしては厳つい態度のところもあったが、そんな、不良とやり合うまでとは思いもよらなかった。朝にみた彼女の姿は、誰も気にとめないプリントや返却物をたった一人で静かに配っていて、とても心優しい子に見えたのに。そんなに、校則に触れるような子だったのか。
そこからは驚きで頭がフリーズし、自分でも何を言ってその場から離れたのか覚えていない。というか気づいたらいつの間にか家に帰ってご飯を食べ、お風呂に入り布団に潜っていた。
「コトコちゃん、気になる子だなぁ……」
そう思いながら重くなる瞼に逆らうことなく、ミコトは深い眠りについた。
コメント
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やっほー!あとです!!(ˊ͈⩌ˋ͈)ก"

学校終わりにこれが読めた幸せ……。好きすぎて、部屋の中で「うわーーっっ!」って叫んじゃいました🩷 そうそうコレコレ!この慣れ始めが尊い(◜¬◝ )何度食べても味がする!天才ですか?いや、神か。これは尊死で国民半分死んじゃいますよ😇✨💕 あの…イメソンとかって、ありますか……?💭🫣

ああああああああぁぁぁ😭😭😭 待望の新作っ!!!待ってました!ずっと!待ってた!しちちゃああああああん♡♡