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此方、本編の番外編で 取り憑かれいる間の甲斐田晴さんを描いております。
少し甲斐田虐になってますがご了承ください。
⚠︎暴力表情有ります⚠︎
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「ッ…あれ…」
パッと目を開いて目が覚める。そして目前に広がったその景色は、ただ只管に真っ暗な世界。何も無い、ただただ黒くて、惹き込まれてしまいそうな感覚がする。体が重い、先程まで何をしていたんだっけ。
その時、カツカツと足音のようなものが背後から聞こえた。誰だ? 魔か? その予想は大正解。
僕よりも背が高く、約2m程だろうか。体が大きい和服を着た男性が背後に立っていた。
ほ、ホントに誰ぇ…?? そう首を傾げていると、その男性は高らかに笑い出した。
「ッハハハ、貴様私を覚えておらんのか、おぉ? 甲斐田晴。」
その声は、確かに聞き覚えがあった。あの、神社の____?
「御前…!! って、ぇ”あ?!」
そう気付いた瞬間、僕は術式を出そうと構えをしたんだけど…すぐに其奴に後ろ手で拘束された。
ちょ待って格闘系は苦手なんだって…!!
そんな事を考えていると、その男性は呆れたようにこう言った。
「…最近の若いのはすぐに攻撃を仕掛けるのか? あの祓魔師と同じじゃないか。」
…あの祓魔師って長尾の事か?攻撃を仕掛ける? …長尾が戦ってんの?
「…長尾と戦ってんの?!ていうか此処何処だよ!あと御前は魔なの?!」
彼のその言葉だけで沢山の疑問が生まれた。その疑問を彼へ次々とぶつけたが、其奴は面倒くさそうにして全て答えてくれた。
「あー…ちょいと黙ってくれんか。御前の声は良く通って耳に悪いんじゃ。
私は魔において神でもあるし、勿論その長尾?とかいう奴と進行形で戦っておる。
んで此処は御前の意識の中の空間や。御前は今私に体を乗っ取られておるの、心当たり有るやろ?」
ぐるんと腕が拘束された状態で顔を向き合わせられ、トンと胸辺りに指を当てて指図するようにそう言われた。乗っ取られた?僕がいつ? そう思って数秒黙ったら、気を失ったと思われるまでの事が頭の中を巡ってきた。納得っていうか…まぁはい、うん、分かったよ。
…ていうかコイツ神なの?!??! やっと処理が追いついた脳で、えぇと驚いてみせると 失礼だなと言わんばかりに其奴は口を尖らせていた。
「…まぁ、なんだ。扱いにくい奴やのう御前。
御前の体は私の物だ。そして私はお前の体で長尾と戦っておる。
結構おもろい反応を見せてくれるぞ?御前の仲間は。
…嗚呼、中継を繋いでやろう。御前の体の視界でな。」
そう言って魔が指を鳴らすと大きいビジョンのような物に視界が映し出された。その画面を見てみると、見えたのは 壁にもたれ掛かって倒れているように見える長尾の姿だった。
「…ッはぁ…?!」
自分の目を疑った。確かにその映し出された画面の視界には僕の服がチラついて、景色も僕の家だ。
長尾はどんな気持ちで戦っているんだろう、仲間に攻撃されるって事でしょ?
きっと今の僕は顔が真っ青なんだと思う、その表情を楽しむように魔も笑っていたし。
「…じゃ、そういうことやから大人しく待ってな?」
「ッこれ見せられて大人しく待つ奴居ます?!勿論反抗しますけど?!」
「…ほう、じゃあ反抗出来ないようにすれば良いか?」
「いやそういう事じゃなぐ…ッ”!」
否定しようとした時、腹を殴られた。痛い、大分痛い。足の力が抜けて、倒れそうになったのを阻止するように肩を掴まれた。
「大丈夫大丈夫、此処での傷は実体に影響がないからのぉ。
ほれ、御前の仲間も頑張って戦っておるんだから御前も戦えぇ?」
「ん”ッ、ぃ”だ…ぁ、ねぇ”、!」
ビジョンに映し出された物では、長尾が僕と刀の打ち合いをしているのが見える。長尾の表情はいつもの戦闘中の顔とはまた違って少し苦しそうだ、きっと彼奴の事だから手加減もしてる筈。
というか、戦えって言われても腕拘束されてるし殴られてるしで反撃も出来やしないんだってぇ…!
苦しげな咳を吐き出しながら殴りを受ける、偶に其奴が 痛くないだろ? とか 大丈夫だとか言ってくるんだ、此奴はDV彼氏か何か??
それで一区切りついた辺り。ビジョンに弦月が映って、でもその顔は真っ青で、見てて苦しかった。
「…楽しめたからもう良いかな、ちょいとあちらに集中してくるから。
また会えるとええなぁ?」
そう言うと魔はスゥと暗闇の中に消えて行った。そしてそれと同時に僕は地面へ倒れ込む。痛かった、何回殴られた? でも回数関係なしに1回ずつの力が強くて、そんなのはどうでもよかった。
「…ゔぅ…この画面は残してくのかよ…w」
精神的な奴もやってくるじゃん。ここまで来ると、何だか笑えてきた。あぁもう、感情ぐっちゃぐちゃよ、泣きながら笑ってるとか。倒れた体制のまま雑に涙を拭う。
何もしないのは違う、それは分かってる。でも痛いもんは痛いし辛いんだよ。行動が早く出来たらどれ程良いか。でも今は僕の出来る早さで、やれることをやればいい。
ゆっくりと、体を起こして術式を唱えてみる。まぁ意味はなかった、闇に吸い込まれてるだけ。効いてるかどうかもわかんないしな。色んな方法を試して、でもどれも効果が見られなくて。
最終的には静かにビジョンを眺める事にした。刀の打ち合い、カキンなどというぶつかり合う音が聞こえる。長尾の少し息切れした音も、自分の体の息も。
…ん?長尾が困惑した表情を浮かべている、どうしたんだろう。何か_______
そして、何かが頬に触れる感覚と共に瞼を上げた。目の前には傷ついた長尾と、後ろで安堵するような表情を浮かべる弦月。
…あ、2人共無事だ、大丈夫だった。良かった。
「…弦月ぃ長尾ぉ…」
「…え、お、おぉ晴ー?wどしたー?w」