設定
・11歳〜14歳パロ
・クリスマス
「ねえねえにいさん、サンタさん来るかなぁ?」
俺の弟はキラキラと目を輝かせながら
問う。
「いいこにしなきゃ来ないって、かあさんが言ってた」
俺はさっきまでしていたゲームを止め、会話に集中力する。
「ぼくいいこにしてたよ!!きっと来るよ」
「はぁ??お前、わすれたのか??」
…そう。あれはつい先日のこと。
俺と無一郎はいつも通り学校から帰ってランドセルを置き、帰ったら食べようと思ったアイスを食べようとした時。
「ぁっ、…あいすが無い!」
無くなっていたのだ。もちろん、母や父など
内緒で勝手に俺のアイスを食べるわけが無い
ので、犯人が誰か俺はすぐにわかった。
「無一郎!!おれのアイスたべただろ!」
「な、なんのこと?」
無一郎を追い詰めると、目を泳がせ言い訳を
していた。随分と見苦しく、
元々このアイスは少しお高めで、俺が
頑張って貯めてやっと買えたアイスだった
のだ。 俺は楽しみにしていたのに。それを
勝手に 食われたのが悔しくて、おれは
無一郎に 怒鳴った。
「ふざけるなよ!!楽しみだったのに!」
「…なんてことがあっただろ。」
「で、でも最終的には僕がかってあげたよ」
「それとこれとは別。食べたことには変わりないだろ」
「…でもくるもん!!」
「さあな。来ないと思うが」
そういうと無一郎は涙目になり、そのまま
バタンと音を立て出ていってしまった。
「……俺は悪くないからな。」
ぽつんと。独り言が静かな部屋に響いた
翌日。終業式が終わり無一郎といつも通り
下校しようとした時だった。
「…いない、?」
無一郎が居ないのだ。いつも無一郎のクラス
は帰り学活がすぐに終わる為、俺のクラスの
前で待っているのに。今日はいなかった。
まだ終わってないのか?と思って無一郎の
クラスを覗いて見たが、姿は見えなかった。
こんなのおかしい。登校する時は居たのに。
どこいっちまったんだよ。俺の友達や
無一郎の友達、先生にも聞いてみたが、
分からないらしい。
…もしかして。1人で帰ったのか?
俺はそのまま1人で帰ることにした。
「…ただいまー、」
家に帰ってみるも、返事がない。無一郎の
靴もなく、家にも帰っていないようだった。
両親は共働きで今は居なく、1人ぽつんと
取り残されたままだ。
..本当にどこに行ったんだ。
と、その時。あることを思い出した。
そういえば、と。前のサンタさんの話を
思い出す
…..おれは、無一郎にサンタは来ない、と
言ってしまった。それが原因なのかも
しれない。 挙句の果て、おれはアイス事件
の時に怒鳴ってしまった。
それが辛くなって家出したのか…?
俺は、無一郎よりも悪い子じゃないか。
最愛の弟にサンタなど来ないと
言い、 怒鳴って。きっと俺の方がサンタなど
来ないだろう。
本当は分かっていた。無一郎はいい子
なんだ。いつもおっちょこちょいだが、
出来ないことをチャレンジしたり、人の役に
立ちたいと言えるすごく優しい子なんだ。
無一郎は悪い子なんかじゃない。
悪い子は、俺の方だった。
一瞬。目に膜が張る。が、そんな事を
している場合じゃない。無一郎を
探さなければ。
無一郎が居るとすれば、あいつは
────────────に居るだろう。
「はっ、はぁっ、…!」
俺は何もかも投げ出して無一郎を見つける
ため走り続けた。
そして目的地につき、俺は走っていた脚を
止める。
…ここは、俺と無一郎の、思い出の公園だ。
幼稚園の頃、よく家族4人でここへ来ては
遊んでいた。
「…..無一郎。」
無一郎は、公園のベンチにしゅんとしながら
座っていた。
「にぃさん、」
気まずい沈黙が俺を刺激し、冷たい風が
吹く。
「…ごめん」
「え?」
「…..おれ、まちがってた事してた。
お前にサンタなんて来ない、っていったり
どなったり。」
「…….」
「悪い子は俺だ、…無一郎はいい子だから
きっとサンタはくるが、おれは悪い子
だからサンタなんてこない。」
「…..ちがうよ、にいさんはいい子だよ。 」
「、でも」
「大丈夫だよ。兄さんはいい子。
ごめんね、ひとりでかえっちゃって」
「…..お前は悪くないだろ」
「、ふふ。ね、兄さん。かえろ?」
「…….うん、」
俺たちは手を繋ぎ、家に帰った。
「兄さん兄さん兄さん!!!」
仲直りしてから3日後の朝。
いつもは俺の方が起きるのが早いのに、
いきなり俺を起こしてきた。
「ねえ!!兄さんとぼくのプレゼントが
あったよ!!!」
その瞬間。さっきまで眠かった目が覚め、
横を見ればそこには言った通りプレゼントが
ふたつ置かれていた。
「僕たちいいこなんだよ!!」
「…あぁ、」
「これでいっぱいあそぼうね!」
無一郎の笑顔を見て、俺はつい頬を緩めた。
仕方ないな、と、俺は頷き、無一郎と俺は
互いに笑いあった。
俺たちのクリスマスは、まだまだ始まった
ばかりだ。
おまけ
プレゼントを乱暴に開ける無一郎を注意
しながら、自分もプレゼントの中身を
開けた。
そこには、霞模様の白色と黒色のくまが
入っていた。
まるで双子の俺たちのようで、俺と無一郎は
目を合わせてくすくすと笑った。
それから3年後。中学生になりもう随分と
大人になった頃。久しぶりに自分の部屋の
掃除をしていると、3年前にクリスマス
プレゼントで貰った霞模様の黒色のくまが
出てきた。
「…これは、」
と。それを手に取り触るが、
やはり三年前で沢山これで遊んでいた、
ということもあり随分とボロボロになって
いた。
綺麗好きで潔癖な俺だが。これだけは、と
どうしても捨てられなくて、結局俺は再度
ぬいぐるみを洗い、自分の部屋に飾る事に
したのだった。
コメント
2件
幼少期の2人かわいすぎです、、、、
ええ有一郎かわ…( ノ ̫<。 )