カランカランッ
勢いよく開いた喫茶店の扉の鈴が軽やかに響く
俺は荒い呼吸を抑え客席を見渡した
『あ!』
助手『遅いですよ!飯田さん!!』
そこには手を振る知人の姿
俺は手を振り返し彼の待つ席へ向かう
諒「すんません寝てて」
「てかずっと待ってたんすか」
俺は素朴な疑問を飛ばす
助手『いや、僕も今さっき来ましたよ』
諒「またまたそんな笑」
「イケメン言わないでくださいよ笑」
「惚れちゃったらどうするんすか?w」
俺は有り得ない返答にフッと鼻で笑い返す
助手『ははっw相変わらず口が達者ですね』
『冗談じゃないですよ笑。』
『さっき弟くんからお知らせがあったんでね。今さっき来ました。』
諒「えっ、諄がっすか?」
俺は目を丸くする
助手『はい笑。』
『アイツ暫く起きそうにないから家出たら連絡する…って笑』
『相変わらず仲良しですね~』
『いい事だ…笑』
そうだったのか。と一言零し俺は注文用のベルを押した
その隙に助手さんは手元のコーヒーカップをズズっと啜る
諒「いやー、帰ってきたばっかなのに迷惑かけちゃったなあいつに」
助手『まあ、どっちも結構ブラコンな所ありますから大丈夫ですよ。』
『どっこいどっこいです笑』
諒「そっすかね~?w」
助手『否定はしないんですね』
諒「あのー注文いいっすか」
俺は彼の言葉に被せるように店員へ注文の品を伝え何も無かったかのようにメニューを手渡しす
助手『今貴方誤魔化しましたね』
諒「ん??」
「あ、そう言えば」
「助手さん、」
助手『はあ….話を自分のいい方向へ持っていくのもお上手ですね…』
『で…なんですか?』
彼は呆れた声を漏らしながらも俺に耳を傾ける姿勢をとる
諒「今日作者さんも一緒じゃなかったんすか?」
「なんなら作者さんに誘われた気もするんすけど」
俺は昨日の会話を思い出しながら口を走らせる
助手さんはそれを聞き、俺に続いてそう言えば、と話し始める
助手『あの人なら他用があるとか言ってさっき連絡がありました。』
『なのでこの要件をよろしくと、』
諒「ほへー」
「助手さんも大変っすね」
助手『そんな他人事な所、飯田さんらしいです』
諒『あざっす』
『じゃあ、その要件ってなんすか』
助手『ふふ…w』
『急に急かしますねw』
諒「あ、すんません」
助手『大丈夫ですよ。』
『実は….────────
諒「え!?」
「新しい兄妹!?」
助手『はい』
『作者の話だと近日中には完成するらしいです』
諒「か….」
「“完成”って…」
俺は目の前の彼に冷たく目を細める
「言い方良くないっすよ」
「助手さん…」
場には一瞬静寂が訪れた
先程頼んだアイスコーヒーを店員が机にコトンッと静かに置き去っていく
助手『あははは…確かに』
『大事な登場人物と言う“人”に対してその言い方は駄目ですよね…笑』
そう言って静寂を軽く笑い飛ばす彼
こんな所は好きじゃない
『でも、』
『一応貴方達も、僕らがストーリーの為の出演者を欲っしから“造られた”だけですからね』
『あくまでも製造物、“物”なんですから』
『表現的には間違いではありませんね』ニコッ
諒「…..ッ」
「そっすね…正常な日本語っすよ」
狂気的とも捉えられる微笑みに耐えられず俺は少し視線を逸らす。
いつもは朗らかな彼らだが、ここだけは受け入れ難い。
確かに、俺らはこいつらの所有物に過ぎないが、
そんな扱いはあんまりだ
助手『…..』
俺らにだって….色々….っ
助手『取り敢えず、』
『その時には可愛がってあげてくださいね』
『…..僕だって…貴方の気持ちは、分かってますから。』
彼は俺の思考を読んだかのように小さく呟いて、先程の狂気的な笑とは別の顔で微笑む。
言葉には出せない優しさ。まるで彼と心で会話しているようだ。
流石、
作者の助手としか言えねえな….笑
諒「ははっ…w」
「当たり前じゃないすか」
「大事にしてあげますよ。なんせ妹なんですから。」
助手『ふw』
『その言葉、あの人に伝えておきます』
諒「是非とも笑」
「俺も諄に伝えときますよ」
助手『喜ぶといいですね笑』
諒「そっすね笑」
無邪気に笑う彼の姿
流石とはいえ怖い程の切り替えだ。
助手『まあ、細かい事は後日あの人からなんか言われると思うので』
『それまではごゆっくり』
諒「っす」
助手『じゃ、そろそろおいとま致しますか』
諒「ですね」
俺は口をつけていなかったグラスをグイッと飲み干す
助手『流石にここは僕らの店なので、お会計は任せて下さい』
諒「いや、俺が払いますよ」
「遅れちゃったし」
助手『….w』
『貴方の方がイケメンなんじゃないですか?笑』
『僕が惚れても知りませんよ?笑』
彼はお返しのようにカマをかける
諒「アハハっw」
「助手さんなら大歓迎ですよ」
助手『冗談辞めてくださいw』
諒「はいw」
助手『では、笑』
『今日ばかりはお言葉に甘えましょうかね』
諒「あざす笑」
助手『よろしくお願いします』
『では、また後日』
諒「っす。また」
助手さんは最初と同様に手を振り2階への裏階段へ消えて行った
「えーっと、財布…財布….」
「あっ」
「財布忘れたわ」
コメント
7件
諒ちゃ… 前回は最後の財布の件は笑うところでしたが… 今回は笑えませんって… 顔から血の気が引いていく… 1話のほっこりとコメディ要素はどこに行ったんですかぁ(( え素晴らしい… 映像が頭に浮かびますよ 特に最後。SE付きで←
めちゃ可愛← ジャンルの定義()
コ、コメディ?