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第7話:激化するトラウマ:焦燥のオスマン
登場人物
グルッペン:WrWrd軍総統
トントン:書記長
コネシマ:特攻隊長
オスマン:外交官
ひとらんらん:一般兵
大先生(鬱先生):情報収集担当
本文
グルッペンは、W国との国境線で起こる緊張状態を緩和するため、あえて陽動を目的とした小規模な軍事演習を行うことを決定した。この演習には、オスマンが外交顧問として同行し、ひとらんらんが支援部隊として参加することになった。
グルッペン「大先生、今回の情報は、例の**『偽の情報』**を混ぜて流せ。相手側が、我々の行動を誤認するように誘導しろ」
大先生「了解や、グルッペン。オスマン君とひとらんらんには、本物と信じ込ませるような、巧妙な嘘を流し込みますわ」
演習当日。WrWrd軍の部隊は国境付近の廃墟と化した市街地を進んでいた。オスマンは、無線で戦況を分析し、外交的なアドバイスを送る役割だった。
オスマン「(W国の部隊は、この演習を本気の侵攻だと誤認しているメウ。グルッペンの作戦通りに進んでいる)」
そのとき、遠くから爆発音が響いた。演習用の爆薬だが、その音は廃墟に反響し、現実の戦火を思わせた。
コネシマ「チッ、W国め、演習に本気の砲撃を混ぜてきやがったか! いや、まさか、グルッペンの情報は本当に偽やったんか!?」
トントン「落ち着け、コネシマ! 予定外の動きだ! オスマン、この先のW国軍の配置を至急分析しろ!」
無線機から響く焦燥の声。オスマンは、爆発音と、目の前に広がる瓦礫と化した街並みを見た瞬間、意識が遠のくのを感じた。
オスマン「うっ……あ……」
彼の脳裏に、故郷の街が炎上し、家族が瓦礫の下敷きになる、トラウマとなった過去の光景がフラッシュバックした。爆発の熱、煙の匂い、人々の悲鳴――それは、彼がWrWrd軍に入って以来、必死に抑え込んできた隠し事②:故郷でのトラウマの決定的瞬間だった。
オスマン「嫌だ、やめろ……もう、もう誰も殺させないメウ……!」
オスマンはパニックに陥り、分析用の端末を床に叩きつけた。
トントン「オスマン! 何をしている! 早く情報を!」
オスマン「ここを攻めてはいけない! 僕は知っている! ここには、W国の避難民がまだ隠れているはずだ! 殺さないでくれ、お願いだ!」
彼の叫びは、完全に外交官としての冷静さを失っていた。彼は、グルッペンが流した偽の情報を信じ切っていたため、この演習が避難民を巻き込む本物の虐殺につながると思い込んでしまったのだ。
このオスマンの混乱により、WrWrd軍の部隊への情報伝達が数分間停止した。
その数分の遅延が、W国側にとっては十分な反撃の時間となった。コネシマ隊は奇襲を受け、 WrWrd軍側は演習にも関わらず、多大な損害を被った。
トントン「オスマン……お前のせいで、作戦に致命的なミスが生じたぞ!」
オスマンは、自分のトラウマが原因で軍に損害を与えてしまった事実に打ちのめされ、ただ震えることしかできなかった。
演習終了後。
オスマンは自室に閉じこもり、誰とも会おうとしなかった。一方、この演習に支援部隊として参加していたひとらんらんは、その夜、静かに自分の畑に戻っていた。
彼は、演習中の部隊の動きを見ていた。W国軍の対応が、WrWrd軍の情報伝達の遅れに完璧に呼応していたことを、誰よりも正確に理解していた。
ひとらんらん「(僕がW国に流した情報は、すべて偽物だった。にも関わらず、W国軍はWrWrd軍の動きを読んでいた……ということは)」
ひとらんらんは、畑の隅に隠していた通信機を取り出した。
ひとらんらん「(W国軍は、僕が流した情報ではなく、別のルートで、WrWrd軍の真の作戦を掴んでいた、ということだ)」
隠し事:スパイであるひとらんらんが、自分が流した情報がグルッペンの仕掛けた偽物だと悟った瞬間だった。彼は、自分がW国の家族を守るためにグルッペンの駒として利用されていることを確信した。
ひとらんらん「(グルッペン……僕たちを試すつもりか。なら、もう一度、僕から情報を送るしかない)」
彼は、グルッペンが流した情報とは真逆の、真実と偽りを混ぜた新しい情報を、暗号化して通信機に入力し始めた。
ここまでの隠し事の状況(7話終了時点)
オスマンの故郷でのトラウマが激化し、作戦に致命的なミスを招いた。(隠し事②が完全に表面化)
ひとらんらんは、自分が流した情報がグルッペンの罠だと悟り、スパイとしての行動を再開した。(隠し事①と③の裏付け)