テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
12
兎束作哉
5,492
146
#乙女ゲーム
結愛
40
コメント
1件
フォークダンスイベント、神回すぎる!! 豪の「隣で勝ちたい」、律の願い事、烈の「最初から俺を選べ」、冴の「私だけを見ていろ」、絢のプロポーズ級セリフ…全員の攻め方が重くて最高だわ。玲がサクラちゃんの恋愛フラグを立てようとしてるのに、全員玲にガチ恋してるの面白すぎる。次回の肝だめしも楽しみ!
その後の競技も、体育祭は大きな盛り上がりを見せながら進んでいった。
借り物競走では『大切な人』というお題が飛び出し、校庭中がざわついた。
パン食い競走では、豪が圧倒的な身体能力を見せつけて一位を獲得し。
騎馬戦では、暴走しかけた烈を冴が冷静に止める一幕もあった。
そして――。
気づけば、体育祭は終盤。
夕陽に染まり始めた校庭に、ゆったりとした音楽が流れ始める。
最後のプログラム、全校生徒によるフォークダンス。
私は心の中で拳を握った。
(来たっ!! フォークダンスイベント!! 好感度によってセリフが変わる神イベント!! 何周したと思ってるの!? 全員分、暗記してるもんね!!)
曲に合わせて、生徒たちが次々とパートナーを変えていく。
最初に現れたのは豪だった。
「体育委員長、お疲れさま!」
私が笑いかけると、豪は少し照れたように視線を逸らした。
「お前の方こそ、二人三脚すごかったな。」
大きな手が、ぎこちなく私の手を包む。
「……あのさ。」
「ん?」
「俺、お前とサクラが走ってるの見て思ったんだ」
真っ直ぐな瞳。
「……次は、俺がお前の隣で勝ちたい。」
「……!」
返事をする間もなく、次の相手へ移る時間が来てしまう。
名残惜しそうに離れていく豪の背中を見送りながら、私は胸を押さえた。
(王道豪ルートの破壊力、高っ!!)
次に現れたのは律だった。
「玲!」
ぱっと花が咲いたような笑顔、その頬はほんのり赤い。
「俺、あれからゲームの練習したんだ。」
律は私の手をぎゅっと握る。
「……今度は絶対負けない。だから、また勝負しよ?」
琥珀色の瞳が真っ直ぐ私を見つめた。
一瞬だけ視線が揺れる。
そして――
「俺が勝ったら、願いごとを一つ聞いてほしい。」
「……えっ?」
(律ルートって、こんなに攻めてきたっけ!? これ隠しセリフ!?)
動揺している間に曲は流れ続ける。
「……約束だからね!」
離れ際、律は名残惜しそうに私の手を放した。
「相変わらず無防備だな……。」
次に現れた烈は、律との余韻にぼーっとしていた私をぐっと引き寄せた。
「ち、近っ!?」
「そんな顔で手ぇ握られたら、期待するだろ。」
「ふふっ、手を握るって……ダンスだよ?」
「はぁ……。」
烈は呆れたように息を吐いた。
金色の瞳が細められる。
「だから困ってんだよ……。次は最初から俺を選べよ?」
(うぅっ……さすが烈!!)
至近距離から甘いセリフを浴びて、思わず赤面してしまう。
「玲。」
次に私の手を取ったのは冴だった。
まるで、王子が姫をエスコートするような自然な所作。
「ふふっ、冴先輩……王子様みたいですね?」
「……お前はまたそんなことを言う。」
呆れたような声音。
けれど、その指先は優しかった。
「本当に私を困らせることが得意だな。」
「え?」
「自覚がないなら、なおさらたちが悪い。」
アイスブルーの瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。
「……今度、じっくり教えてやる」
繋いだ手に力がこもる。
「だから今だけは――私だけを見ていろ。」
至近距離の冴に射抜かれる。
やっぱり目が離せない……。
「はぁ……。」
ため息交じりで来たのは絢だった。
「玲、フォークダンスって残酷ですね……。」
「え?」
「せっかく手を取れたのに、十秒もしないうちに離さなければならないなんて。」
「ふふっ、確かに短いよね?」
無邪気に笑った私を見て、絢は繋いだ手を少しだけ強く握った。
「……玲。あまり僕を試さないでください。」
「え?」
キャットアイの瞳が細められる。
「今はまだ、あなたの気持ちが育つまで待っています。最後に隣にいるのが僕なら、それで十分ですから。」
(ふわぁっ!? これプロポーズイベント!? みんなの愛が重すぎるんですけどっ!?)
推したちからの熱量に、脳が処理落ちを起こしかけた。
曲はクライマックスへ差しかかった。
最後のパートナーはサクラだった。
「サクラちゃん、お疲れさま。」
「はいっ!」
サクラは嬉しそうに笑った。
「会長って、いつも誰かのために頑張ってますよね。だから……たまには、会長自身の幸せも考えてほしいんです。」
推しの幸せのためにと、奮闘している自分を見てくれていたことが純粋に嬉しかった。
「もし会長が困った時は、今度は私が助けますっ!」
サクラは勇気を振り絞るように続けた。
小さな手が私の手を握る。
「だから……ちゃんと頼ってくださいね?」
(サクラちゃん、なんて良い子!! ……娘にしたい!!)
主人公として成長していくサクラ――
私は、我が子を見守るような温かな気持ちで見つめていた。
夕焼けに染まる校庭。
体育祭も無事に終わり、生徒たちは後夜祭の準備へと散っていく。
(二人三脚もフォークダンスも無事終了! サクラちゃんとも仲良くなれたし! 攻略対象たちとの仲も順調! 私って、もしかしてシナリオ修正の天才では!?)
満足げに頷いた、その時――。
「――玲。」
振り返るとそこには、五人の攻略対象と一人のヒロインが立っていた。
まだフォークダンスの余韻を宿した瞳で、真っ直ぐに私を見つめている。
(……どうしたんだろう?)
首を傾げる玲。
サクラへ向かうはずだった恋心は、この体育祭でさらに加速を増して――
『如月玲というバグ』へ確実に向かっていた。
ただ一人、その中心にいる張本人だけがその事実に気づかないまま……。
(次は夏合宿、肝だめしイベントだっけ? よーし! 今度こそサクラちゃんの恋愛フラグを立てるぞー!!)
拳を握りしめるのだった。
恋愛ゲーム『恋エグ』。
攻略対象全員の好感度は、今日も順調にバグっている。
◇◇◇◇◇
▶恋エグメモ
【白砂 律】=【58/100】
(玲を独占したい気持ちが強まる。友達以上の感情を抱きながらも、まだ恋だと認めきれていない。)
【千早 絢】=【57/100】
(玲への想いを自覚し始めている。穏やかな言葉の裏で、一途な独占欲を深めている。)
【鬼塚 烈】=【55/100】
(玲への好意を隠しきれなくなり、無防備な玲に振り回され続けている。)
【黒崎 冴】=【54/100】
(玲を特別視する気持ちが確かなものへと変わりつつある。静かな独占欲を覗かせ始めた。)
【神城 豪】=【53/100】
(玲を放っておけないが………その感情の正体はまだ掴めていない。)
【サクラ】=【46/100】
(玲への憧れと信頼はさらに深まり、支えたい気持ちも芽生え始めている。尊敬と初恋の狭間で揺れている状態。)