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smの家に住んでから数ヶ月が経った。俺以外の二人は学業が忙しく、忙し無い日々を送っていた。
sm「忙しくて手が中々つけれなかったがようやく準備ができた。」
na「こっちが無理言ってるんだから気にしないで。」
sm「それじゃ、薬の説明に入る。」
目の前に粉末の入った瓶を並べて、注意事項や即効性など、あと料理によっては少し味の変化があるなど、詳しく説明してくれた。
na「さすが薬剤師目指してるだけあるな。有難う、sm。」
sm「何種類かの薬を用意したが、na達が使いたいのを使えばいい。」
na「わかった。それじゃ、俺は少し離れるね。」
naは携帯を片手に部屋を出て行った。俺は目の前の瓶を見つめる。見た目は普通の粉なのに…と思っているとsmに声をかけられる。
sm「間違っても自分で飲もうなんて考えるなよ。」
sh「…まぁ、昔の俺ならしてたかもな。今は大丈夫。naを守る事と夢を叶えるって決めたから。」
sm「そうか。あと…shkにこれを持ってて欲しい。」
手に渡されたのは携帯電話だった。
sm「俺とnaの番号しか入ってない。使い方は本のマークを押してどちらにかけるか選択するだけだ。」
俺は教えられた通りに携帯のボタンを押す。
sm「何かあったら電話するんだ。話せなくてもいい、危険が迫ってると感じたらかけてこい。」
sh「うん…わかった。」
ガチャ…
na「……決まった。決行は明後日。」
戻ってきたnaの顔は決意に溢れていた。俺も同様に気合いが入る。
待ちに待った決行の日…。
smと別れて俺達はホテルに向かう。
na「shkは俺がshkの携帯を鳴らすからそのタイミングで中に入ってきて。」
sh「…わかった。」
naが先に入り口の鍵を開けて中に入る。俺は指示があるまで草むらで待機していた。なんだか緊張しっぱなしで時間が経つのが早く感じる…。頭の中で手順を繰り返し連絡を待った。
ブー、ブー…
携帯のマナーモードが鳴る。携帯にnaの文字を確認して俺は入り口に向かう。 ゆっくりと入り口が開き、naが顔を出す。
na「…それじゃぁ、shk。厨房は今誰もいないから、料理長の部屋には行けると思う。」
sh「わかった。na、また後で。」
お互いに顔を合わせて頷き分かれる。
俺は急足に厨房へ向かった。
ギィィ…
久々に見る厨房…。自然と料理長の姿を想像する。俺はノートを強く握りしめて料理長の部屋に向かった。
ガチャ…
中は真っ暗で誰も足を踏み入れてないのだろう。電気をつけて辺りを見渡す。
sh「何も変わってない…料理長…。」
俺はいつも座っていた場所に座る…。ノートを開き今日の作るメニューをおさらいする。
ノートには時折、料理長自ら書き込んでアドバイスが書いてある…俺は自然と涙が溢れる…。
sh「…絶対に成功させてやる。」
厨房が騒がしくなる。ディナーの時間が迫るに連れてだんだんと人が集まりだす。
俺はじっとノートを見ながら時間が過ぎるのを待った。
ブー、ブー…
携帯がなり、naからの着信とわかると俺は厨房に顔を出す。naの母親には予めディナーが終われば厨房を使いたいと依頼をしていたそうだ。
俺はテキパキと材料を集めて調理に取りかかる。慣れたもので初めの頃とは比べ物にならないぐらい速くなった。
na「shk。」
扉が開き、naが顔を出す。
na「え、もうそんな出来てるの? 」
sh「何回も料理長と練習したからな…。」
na「…すごいな。まだshkの料理食べれてないんだよな。 」
sh「じゃぁ、成功したら祝いで作るよ。」
na「いいね!楽しみだ。」
naと軽い話をしていると、最後の煮込み料理も完成に近づく。俺はnaに目配せをする。
na「……緊張するね。」
気のせいかもしれないが、naの手が震えているように感じる…。
sh「なぁ、na。それ入れるの俺にさせてくれないか?」
na「え?」
sh「…料理長の仇を取りたいんだ。」
na「shk…でも…。」
sh「naは廊下の様子を見てて欲しい。大事なタイミングで邪魔されたくないし。」
na「わかった…。」
naが廊下の様子を見にいく。特に変わった様子はないようでこちらに大丈夫とサインを出していた。
sh「……躊躇なく出来ると思ったんだけどな…。」
少し震える手。俺はもう片方の手で震えを抑える。
sh「…やるって決めたんだ。」
意を決して、瓶を傾け指の腹でトントンと叩く。パラパラと煮込んだスープの上に降りかかるとすぐにスープに溶けていく。
俺はnaに準備ができたと合図を送り料理をトレーに乗せていく。
na「じゃぁ、行ってくる。」
sh「うん、頼んだ。」
厨房の扉を開けて長い廊下を歩いていく。naの後ろ姿を眺めていた。
はずなのに………俺は、本当にもう普通の生活には戻れなくなってしまったかもしれない。