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(多分この人は健吾さんが言ってた、創造主様に違いない。どうして、僕の夢の中に現れたんだろう?)


「人を騙して快楽を得ていた男の末路が、こんなふうに様変わりするとは思いもしなかった。おまえはさしずめ、聖人君主なのかもしれない」

「聖人君主なんて、とんでもございません。僕はただのありふれた、どこにでもいる男でして……」

「おまえが彼奴を真人間にしなければ、今頃どこかでテロを起こされていたんだ。そのせいで、私の仕事が大幅に増えるところだったのだぞ。とても助かった、感謝している」


言いながら創造主は、僕の躰をぎゅっと抱きしめた。


「わっ!」

「懐かしさはないか? おまえはよくこうして、彼奴に抱かれていたろ」


鼻先をくすぐるフローラルな香りと一緒に、創造主の温もりが伝わってきて、あたふたしするしかない。


「すみませんっ! 放してください!!」


創造主の胸を両腕で押し返し、何とか脱出を試みた。


「暴れるな、彼奴には内緒にしてやる。このままこの躰を、好きにしてもいいのだぞ?」


早く放れなければと、抵抗する僕の首と腰を強引に抱きすくめて、顔を覗き込みながら誘ってきたことに、驚きを隠せない。


「無理です、ごめんなさい。僕は貴方様のような偉い方を抱ける、身分ではないので!」


渾身の力で創造主の躰を押し返しながら、自分なりに説得してみる。


「やれやれ。彼奴に、操を立てているのだろう? おまえが不義理をする男じゃないのは、よく知っている」


創造主は笑いながら両腕の力を抜き去り、あっけなく解放してくれた。


「よく耐えたな。この躰は行為を円滑に行うために、男を誘うフェロモンをこれでもかと放出しているのだ」

「それは危なかった……」

「とりあえず、おまえの疑問に答えてやろう。私の仕事を減らしてくれた礼として、消し去った記憶を戻してやるために、この場に現れた」


ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、想像を超える展開にぽかんとしてしまった。大したことをしていないというのに、礼を与えるだけのために現れたという創造主を、呆けた顔で見つめるのが精一杯だった。

歪んだ関係~夢で逢えたら~

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