夕方。
目が覚めた。
と同時に息が詰まった。
「……!?!?」
自分の目線が、いつもより少し高い。その上、足が地面についている感覚はなく、視界も不安定に左右に揺れている。
おまけに、首のあたりが締め上げられているように痛い。
これは、もしかしなくても首をつっている。
「……っ!」
どうにか首に引っかかっている縄を外そうと、もがく。
なんでっ……!俺は、まだ……、
「死にたくないっ!!!!」
金属の何かが落ちる音がして、俺は背中からベランダの硬いコンクリに叩きつけられた。
「ぜぇ……ぜぇ……。な、なんで……」
自分は首なんかつっていたのだろう。石鹸らしきものでヌルヌルしている首をさすりながら考える。
心当たりがなさ過ぎて、怖くなってくる。
でも室内に戻れば、洗面所に使いすぎて変形した石鹸があったし。半開きになっている押し入れには、まだいくつも麻縄が仕舞ってあった。
「俺」は、こんなの知らない。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!