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第四話 違和感
架は枕を取り上げた。
前足が少しだけ伸びる。
届かない。
耳が少しだけ下がった。
枕をベッドへ戻す。
⸻
部屋を見回す。
テーブル。
棚。
洗面所。
「……」
なんとなく落ち着かない。
架は窓の外を見た。
まだ明るい。
「少し歩くか」
⸻
上着を羽織る。
玄関へ向かう。
靴を履く。
「……」
いた。
玄関で待っていた。
「キュ」
「なんでお前の方が早いんだよ」
⸻
扉を開けた。
風が頬を撫でた。
外へ出る。
後ろから小さな足音が続く。
⸻
商店街を歩く。
しばらくして、
「キュ」
声がした。
振り返る。
花壇の前で座っていた。
白い蝶が一匹。
花の上をふわふわ飛んでいる。
それを見上げていた。
「……」
そのうち来る。
架は先に歩いた。
⸻
「かわいい!」
「耳動いた!」
「ふわふわ!」
騒がしい声が聞こえた。
「……?」
振り返る。
いつの間にか子供たちに囲まれていた。
「キュ」
首を傾げる。
「鳴いた!」
「もう一回!」
「キュ」
笑い声が広がる。
「何してんだお前……」
架は引き返した。
「あ、お兄ちゃん!」
子供の一人が気付く。
「その子、お兄ちゃんの?」
「……」
架はメモリアルを見る。
メモリアルもこちらを見ていた。
「キュ」
「わかんないの?」
子供たちが笑った。
架は小さく息を吐く。
その笑い声が落ち着いた頃。
少し離れたところにいた少年が言った。
「お兄ちゃん」
「ん?」
少年は少しだけ迷った。
「聞いてもいい?」
「どうした?」
少年は足元を見る。
「変な話なんだけどさ」
「最近、友達が来なくなったんだ」
「友達?」
「うん」
「いつも一緒に遊んでたやつ」
架は黙って続きを待った。
「急に来なくなってさ」
少年は小石を蹴る。
ころりと転がった。
「ケンカしたわけじゃないんだけど」
「……」
「なんかさ」
⸻
「おーい!」
向こうから声が飛んだ。
「行くぞー!」
「あっ」
少年が振り返る。
みんなが手を振っていた。
少年は少しだけ考える。
「……いっか」
そう言って駆け出す。
「またねー!」
「バイバイ!」
子供たちも続いて走っていく。
「キュ」
メモリアルはしばらくその背中を見ていた。
架も軽く手を振る。
「おう」
⸻
静かになった通りを歩く。
「……」
あいつ。
何が言いたかったんだろう。
コメント
1件
ふわ〜…なんか、静かなのにずっしりきた第4話だったなあ。 架とメモリアルの距離感、いい意味で不思議だよね。言葉交わさなくても通じ合ってる感じがして。でも子供たちの前で「わかんないの?」って笑われるとこ、ちょっとほっこりした。 で、少年が言いかけてやめた「友達が来なくなった」話…あれ、めっちゃ気になる。架も「何が言いたかったんだろう」って考えてるし、この物語の根っこに触れる伏線なのかな。 日常の欠片みたいなシーンの中に、ちゃんと闇っぽい空気が混ざってるのがたまらない。たつさんのこういう描き方、本当に好きです🌙
るあ💙
116
30
姫宮いお
120
21