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翠玲
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昼休みが終わり、午後の授業が始まった。
しかし、二年A組の教室で授業に集中できている生徒はほとんどいなかった。
みんなの視線は、ちらちらとこさめへ向く。
🦈「……。」
こさめは教科書を開いていたが、文字がまったく頭に入ってこない。
(放課後……。)
みことが言っていた言葉だけが何度も頭の中を巡る。
👑『ちゃんと昨日のこと、説明したい。』
一体何を話すのだろう。
どうして自分だったのだろう。
考えれば考えるほど分からなくなってしまう。
🍍「こさめ。」
小さな声が聞こえた。
隣の席のなつが、先生に見つからないように小さくメモを差し出してくる。
🍍『生きてる?』
思わず、ふっと笑ってしまう。
こさめはシャーペンを走らせた。
🦈『たぶん…。』
なつはその返事を見ると肩を震わせて笑い、さらに書き足す。
🍍『放課後、俺らも近くにいてやろっか?』
こさめは少し考えたあと、小さく首を横に振り、
🦈『大丈夫。』
とだけ書いた。
その様子を少し離れた席から見ていたらんは、安心したように微笑んだ。
一方その頃。
三年生の教室。
チャイムが鳴ると同時に、いるまは机へ突っ伏した。
📢「はぁ〜……。」
「疲れた?」
前の席から振り返ったクラスメイトが聞く。
📢「授業じゃない。」
いるまはぼそっと呟いた。
📢「なつに会えない。」
「……。」
クラスメイトは呆れたように笑う。
「さっき昼休みに会ったじゃん。」
📢「昼休みなんて短すぎる。」
「重症だなお前。」
📢「付き合ってるんだから普通だろ。」
そう言いながらも、いるまの表情はどこか嬉しそうだった。
📢「放課後、一緒に帰る約束してるし。」
「はいはい、ごちそうさま。」
教室に笑い声が広がる。
すると、教室の後ろの扉が開いた。
🍵「いるまちゃん。」
📢「お?」
すちが顔をのぞかせていた。
🍵「ちょっといい?」
📢「すち?」
廊下へ出ると、すちは少し困ったように笑う。
🍵「みこちゃん、今日いつもより仕事が多くて。」
🍵「放課後、俺と一緒に生徒会室の片付けお願いできるかな?」
📢「え?」
📢「でも、俺……。」
いるまは少し言いにくそうに頭をかいた。
📢「今日なつと帰る約束してるんだよなぁ。」
📢「てかそもそも俺生徒会役員じゃないし‥」
🍵「そっか。ごめんね急に。」
すちはすぐに頷いた。
🍵「それなら大丈夫。」
🍵「俺一人でも頑張ればできるから。」
📢「いやいや!」
いるまは慌てる。
📢「手伝うって!」
📢「あ、でも、なつも待たせたくねぇし……。」
真剣に悩み始める。
そんな姿を見て、すちはくすっと笑った。
🍵「本当に大好きなんだね。」
📢「……うるさい。」
少しだけ耳を赤くしながら答えるいるま。
📢「じゃあ、終わったらすぐ行く。」
🍵「ありがとう。」
すちは嬉しそうに微笑んだ。
そして、放課後。
キーンコーンカーンコーン——。
終礼が終わると同時に、教室は一気に賑やかになる。
🍍「こさめ。」
なつが椅子をくるりと回した。
🍍「大丈夫か?」
🦈「……ちょっと緊張する。」
🍍「だよな。」
らんも席を立ちながら近づく。
🌸「無理だけはしちゃ駄目だからね。」
🦈「うん。」
🌸「嫌なことがあったら、ちゃんと断っていいんだから。」
🦈「うん。」
二人の言葉に、こさめは少しだけ肩の力が抜けた。
🦈「ありがとう。」
その時だった。
コンコン。
教室の扉がノックされる。
👑「失礼します。」
聞き慣れた穏やかな声。
教室中の視線が一斉に入口へ向く。
そこには、みことが立っていた。
👑「迎えに来たよ。」
その一言だけで、教室はざわつく。
「また会長!」
「毎回来るの!?」
「映画みたい……。」
ひそひそ声が聞こえる。
みことは気にする様子もなく、こさめの前まで歩いてきた。
👑「こさめちゃん。」
🦈「……はい。」
👑「約束、覚えてる?」
🦈「はい。」
こさめは小さく頷く。
👑「じゃあ行こうか。」
🦈「……。」
立ち上がろうとした、その時。
🍍「ちょっと待った。」
なつが立ち上がった。
教室の空気が少し張りつめる。
みことは優しくなつを見る。
👑「どうしたの?」
🍍「一つだけ。」
なつは真っ直ぐみことを見つめた。
🍍「こさめは俺の大事な友達。」
🍍「昨日からずっと不安そうなんだ。」
🍍「だから……。」
少し言葉を選びながら続ける。
🍍「泣かせるようなことだけは、しないで。」
教室が静まり返る。
その言葉には、友達としての本気の想いが込められていた。
みことは数秒だけ黙り、それから穏やかに微笑んだ。
👑「約束する。」
👑「こさめちゃんを傷つけるために、俺は全財産を使ったわけじゃない。」
👑「むしろ、その逆。」
👑「笑っていてほしいと思ったから。」
その真っ直ぐな言葉を聞いて、なつはじっとみことを見つめる。
嘘をついている目ではない。
そう感じた。
🍍「……分かった。」
なつは一歩下がる。
🍍「頼んだ。」
👑「ありがとう。」
その様子を見ていたらんも、優しく笑った。
🌸「こさめ。」
🌸「何かあったら、いつでも俺たちのところに帰っておいで。」
🦈「うん!」
こさめは少し安心したように笑う。
その笑顔を見て、みこともほっとしたように目を細めた。
👑「行こう。」
🦈「……はい。」
二人は並んで教室を出る。
廊下を歩き始めても、周りの生徒たちは驚いたように二人を見つめていた。
誰もが気になっている。
学校一の生徒会長が、なぜ無名だった二年生に全財産を賭けたのか。
その答えは、もうすぐ明かされる。
みことは静かに生徒会室の扉を開けた。
👑「どうぞ。」
こさめは緊張しながら、一歩、生徒会室へ足を踏み入れた。
コメント
13件
え、好き♡ ほんとに人間なんだよね??? 何食べたらこんな神作書けるん??? 一瞬「翠玲 ログアウト中 」で固まった☆ いいなぁ(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
うわあ、第5話、めちゃくちゃいいところで終わった……! なつがみこを呼び止めて「泣かせるな」って言ったシーン、あれ本当に良かった。友達の本気の眼差しが伝わってきて、こっちまで胸が熱くなりました。みこの「逆、笑っていてほしいと思ったから」って言葉もすごく誠実で。この生徒会室、何が待ってるんだろう。設定や伏線がどう繋がるか、ワクワクしてます。