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aoi×tbur リセット症候群
視点主→『』
その他→「」
キャラ崩壊注意
ある日、いつも通り業務をこなしていると、俺宛に一件の無線が入った。
「らだおさん、つぼ浦さんと連絡が取れません。警察も退勤しているみたいです」
その報告に、俺は「あぁ、またか」と小さくため息をつく。
『……了解。じゃあ俺も退勤するから、あとはよろしく』
そう伝えて車に乗り込み、足早に自宅へと向かった。
その間にもつぼ浦に電話をかけるが、一向に繋がらない。
……まあ、いつものことか。
家に着き、玄関を開けた瞬間、ひんやりとした空気と、誰かがいる気配が肌を撫でた。
『つぼ浦ー?』
声をかけても反応はない。
だが、奥の部屋から、ズリズリと布が床を擦るような音が聞こえてくる。
扉からそっと顔を覗かせると、床に布の丸まった“何か”が転がっていた。
そのすぐそばには、一台のスマホ。
俺はそれを拾い上げ、慣れた手つきでロックを解除し、連絡先を確認する。
そこには、誰の名前も登録されていない、まっさらな状態の連絡先が表示されていた。
『やっぱり。また消したくなっちゃった?』
俺の問いかけに、布が小さく揺れる。
それを見て、丸まったつぼ浦の上にそっと手を置き、出てくるまで待つことにした。
つぼ浦は、いわゆる“リセット症候群”というやつらしい。
突然連絡先を消して音信不通になったり、居場所を転々としたりすることがある。
それでもつぼ浦は、ここを「帰ってくる場所」だと認識しているのか、 連絡が取れなくなったときは、だいたい俺の家で、こうして丸まっている。
原因は、おそらく肩の荷を背負いすぎたせいだ。
特殊刑事課という滅茶苦茶な肩書を持っているくせに、本人は責任感が強いお人好し。
犯罪者を爆発させることは――まあ、たまにあるが、 困っている人を見かければ放っておけないし、後輩からの頼みも断れない。
……うん、どう考えても荷物を背負いすぎだ。
そんなふうに、常にどこか不安定な精神を抱えるようになったつぼ浦は、 時折、警察を騒がせる。
もっとも、警察の連中もだいぶ慣れてきていて、 つぼ浦が音信不通になると、決まって俺に連絡が来る。
慣れたとはいえ、やっぱり皆、心配しているのだが。
そんなことを考えていると、布越しにつぼ浦が、もぞりと動き始めた。
『おかえり、つぼ浦』
「いつもすんません……」
『別に気にしてないよ。俺はつぼ浦がそばにいればそれでいい』
日々の業務の合間に、こうしてつぼ浦と二人きりの時間が取れるのは、 俺にとって嬉しいことで、迷惑だなんて思ったことはない。
『どうする? また数日、休む?』
「……はい」
『じゃあ俺から連絡しておくね』
これも、いつものことだ。
申し訳なさそうな顔するけど、 俺としては合法的に休めるし、つぼ浦と一緒にいられるしで万々歳。
仕事を押し付けているみたいなのは、少しだけ罪悪感があるが、 それでも今は、これでいいと思っている。
『ほら、つぼ浦。おいで』
手を広げると、つぼ浦は迷うことなく胸元に飛び込んできた。
その体温を受け止めながら、俺は静かに息を吐く。
そのまま抱きかかえて、ベッドへ向かう。
つぼ浦がだめになったら、一緒に眠る。
つぼ浦は自分の寝やすい位置を探して動き、俺はそれが終わるまで待つ。
移動が終わると、ぎゅっと抱き締められる。
それが合図だ。
俺は目を閉じる。
これが、いつもの流れ。
さて――少し、眠るとするか。