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※フィクション
※タヒネタ有
※曲パロ「 あ/の/夏.が/飽/和.す/る 」
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sha「 ……大先生、 」
ut「 ん?どしたんシャオちゃん 」
それはとある梅雨時に聞いたことだった
sha「 あの、さ 」
ut「 …どしたん? 」
彼はずぶ濡れで、風邪を引かないかが心配だった
ザーザーとまだ雨は降り続けている。この音が鬱陶しい程耳を塞ぎたくなる
色々考えてる時、彼は泣き出してこう告げた
sha「 昨日さ、俺ッ……人殺してもうたんよ…w 」
sha「 …殺したんはさ、いつも俺のこといじめてくる隣の席のやつでさ 」
sha「 もう全部嫌になって、突き飛ばしてもうたんよ 」
sha「 そした、らッ……打ち所が悪かったらしくてさ、w 」
無理して笑う君が目に映る
sha「 もう此処には居られんと思うし、どっか遠いところでタヒんでくるわw 」
ut「 ……なら、さ 」
なんにも考えてなかった、俺は屑やから
やけど、不思議とこの言葉が出てもうたんよ
ut「 僕も連れてってくれん…? 」
タヒにたくはない、そう昔から思ってた
でも心の奥底ではタヒにたいっていう思いが残っとってずっとタヒに場所を探してた
ちゃんと生きようって決めたけど、君がそう考えるなら僕はついていくよ
だって、僕はこの世界が嫌いだったから。
sha「 …ぇ、でも大先生… 」
ut「 せめて、良い思い出作ってからタヒんで欲しいし? 」
これは嘘、ただ理由は寂しいから
それに、君も寂しがり屋でもあるから一人にできなかった
sha「 ……そか、 」
一瞬見たら僕がついてくるのが嫌だったのか不機嫌そうな表情を浮かべたが
よく見たら口角は少し上がっていて、声色も機嫌がいいときと同じようなものだった
……君がタヒぬ瞬間はせめてでも、脳裏に焼き付けておいてもいいよね
だって、君は僕に仲良くしてくれた数少ない友達だから
窓に視線を少し送ったら雨は止んでいた
僕はシャオロンに服を貸して着替えさせた。風邪引いてもうたら元も子もないしな
ベッドで寝るよう促したらすぐに眠りについた様子
…さて、準備しなきゃ。
カバンに財布と食べ物とナイフと携帯ゲームも入れて
あの時の写真も、あの時の日記も全部ゴミ箱に放り投げて
色々整理してたらいつの間にか部屋はすっからかんになってた
といってもカバンに入れたものはほぼほぼ少ないけどw
要らないものは全部壊していこう、何も思い出したくもないしな
はぁ、とため息をつきながらコップに注いだ麦茶を喉に流し込んで潤す
天井を見上げるように仰向けになる
床のひんやりと冷たい感覚が徐々に遠くなっていく、まるで僕らの元から人が離れるように
……人殺しとダメ人間の君と僕
部屋の中で二人ぼっち
周りは離れていく
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sha「 大先生!このソフトクリーム美味いな! 」
ut「 ふふw せやな 」
ニカッと太陽のように笑う彼を見て僕は笑みがこぼれた
あの時は泣いていたのに、今は楽しそうで良かった
今日は猛暑、むちゃくちゃ暑くてやばい
三日前に家から出て、どれぐらい歩いたかな
此処は隣町にあるソフトクリーム屋さんで、結構有名だったから行ってみたかったらしい
彼はバニラで僕はチョコ
暑さに負けないぐらい冷たくて、ちょっとキーンってなった。
かき氷じゃないんやけどな
三日経っても親が追いかけてこない。
本当に、愛されてなかったんだなって実感できる
そんな共通点の僕らって、なんか……凄いなw
思わずシャオちゃんの手を掴んでしまった
sha「 ?どしたん大先生 」
ut「 あ、いや… 」
sha「 …あ、もしかして怖いんやろ!臆病やなーw 」
ut「 はぁー?!シャオロンより臆病ちゃうし!!! 」
あの時見た君の手の震えは無くなっていて、安心した。
それと同時に、僕らは誰にも縛られないで二人自由を手にすることが出来たんだと思った。
ソフトクリームを食べ終わった後、海に行きたいと言ったので海の方へ向かった。
道中で線路が敷いてある敷地に出てきて、列車が通るという恐怖があったけど
sha「 なぁなぁ!線路の上歩いてみーひん? 」
と声をかけてくれて、思わず頷いてしまった
猛暑の中、線路の上を歩くという不思議な体験はこの先列車関連の仕事につく以外無いだろう
……良い夏休みになりそうやな
sha「 せやな! 」
ut「 え、口に出とった!? 」
sha「 バリバリなw 」
ut「 まじかよーーー……はっず 」
sha「 お前が照れる所誰も見たくないと思うで 」
ut「 あぁんしんらちゅ 」
sha「 きっしょ、!!! 」
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ut「 …金無くなってもうとるな… 」
sha「 どうするん? 」
ut「 ……シャオちゃん、金盗もう 」
sha「 …え?大丈夫なん?! 」
ut「 俺等には失うものなどない! 」
sha「 ……確かに、ほなやるか! 」
ut「 おう!w 」
悪ガキみたいな提案をしてしまったが、これも良い思い出になる……と思う
なんかおっさんが一般通過しようとしてたから財布盗んだったり( ・´ー・`)
僕よりガバガバすぎて笑ったわw
追いかけられるけど二人で必死に逃げて逃げて、撒いた
そのお金で自動販売機まで行って水とコンビニでおにぎりを買った
おっさんには申し訳ないけど。
あ、おっさんの財布盗んだ言うたけど逃げてる途中でシャオロンが金だけちょっと貰って
そこら辺にポイ☆って捨てたらしい、さすシャオ
sha「 いやぁ〜……楽しいな!悪いことするん! 」
ut「 せやな〜… 」
これがいつまで続くかはわからないけど、それまではいっぱい楽しもう
そう心の中で決めた。
sha「 これさ、俺等の小さな逃避行の旅って名付けね? 」
ut「 お、ええやん!! 」
…この出来事を、俺らの逃避行って名付けるとする。
もし、いつか夢に見た優しくて誰にでも好かれる主人公が居るとするならば
自堕落になった、こんな僕らのことをちゃんと救ってくれるのかな。
そう君に問いかけたとき
sha「 そんな夢なら捨てたわ 」
ut「 …え? 」
sha「 だって、現実を見ろよ? 」
sha「 俺等に■■■■っていう四文字なんかあったか? 」
sha「 無かったやろ、ただ縛られてばっかりで愛されてもなかった。 」
sha「 こんな人生で思い知ったやん、みんな自分は何も悪くないって 」
sha「 ……そんな夢のような出来事なんて、来ねぇんだよ 」
ut「 …ごめん、 」
sha「 いや、俺もちょっと言い過ぎたわ、すまん 」
……君の怒り狂ったような表情を見て、心が苦しくなった。
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「 何処だ!!! 」
「 こっちには居ない!! 」
ミンミンミン……
夏の間、彷徨い続ける蝉たちの音に
暑さで水を飲み干してしまい、だんだん視界が揺れ始めてきて
迫りくる悪魔のような、鬼達の怒り狂った声に
僕らは馬鹿みたいにはしゃぎ回ってた
鬼ごっこのように、鬼から逃げるように、走り続けて走り続けて
気付いたら君は僕が持ってきたナイフを手に取っていた
sha「 お前が今まで傍に居てくれたから此処まで俺は来れたんや 」
ut「 ッ……やだ 」
sha「 だから、もうええよ 」
ut「 いや、嫌や 」
sha「 …タヒぬのは俺だけでええよッ…w 」
辛そうな表情を浮かべているのに君は僕に微笑んだ
いやだ、そんな自分勝手なことを僕はずっと叫び続ける
君の人生を縛り付ける為じゃないのに、心の何処かではずっとその言葉が出ることを嫌っていて
君は、俺の嘆き叫ぶ姿を、現実から逃れようと必死に這いつくばろうとする表情を眺めながら
首を切った。
ような気がした。
それはまるで、映画のようなワンシーンで、悪夢みたいで──────────
とても、吐き気がした。
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目を覚ましたら病院だった。
あの後、僕は捕まっていて気絶していたようだ
目が覚めたことに親は喜んでいた。
三日経っても俺を探そうとしなかったくせに、良い人みたいに振る舞う姿は反吐がする
病院から退院して彼を探す
だけど何処に行っても君は居ない
学校に行っても、家に行っても、ソフトクリーム屋さんに行っても、線路の方に行っても、彼処に行っても
何処に行っても君は僕から逃げるように消えてて、
……あぁ、思い出したくない
学校に置かれていた白い百合が一つ置かれていたことを。
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zm「 だいせんせー!!! 」
rbr「 大丈夫か? 」
ut「 ぁッ、大丈夫やで!ちょっと昔を思い出しとってな… 」
kn「 お、昔のお前はどんな感じやったん?! 」
ut「 えー……今と変わらんかな、臆病で…w 」
tn「 昔から屑ではありそう、お前は 」
ut「 ひどない?! 」
拝啓、貴方へ
お元気ですか。僕は元気に学校に通っています
あの年のあと、卒業して今は進学しています
……君は何処に居るんですか
なんで、姿を見せてくれないんですか
ut「 …〜〜〜♪ 」
rbr「 ほんま大先生その歌好きやんな 」
ut「 …まぁ、思い出の曲なんよなw 」
zm「 はぇー 」
僕は今でも歌っている。
君との思い出を語る曲を、あの夏の日を思い出す曲を
この曲を歌いながら君を探している
君に言いたいこと、話したいことがいっぱいあるから
君の太陽のような笑顔は、君の幼い感じの無邪気さは
僕の頭の中で飽和している
君は何も悪くないよ、誰も、何も悪くないから
ut「 …もう良いよ、投げ出してしまおう。 」
君は、僕にそう言ってほしかったんでしょ?
kn「 大先生? 」
ut「 あ、ごめん今すぐいく! 」
高校で新しく出来た友達4人と帰り道を歩く。
shp「 ちょ、チーノ速いって 」
ci「 いやいや、大丈夫やって! 」
em「 本当に皆さん元気ですね 」
?「 エミさんはおっさんやしな 」
shp「 確かに 」
ci「 やーいやーい 」
em「 ひどすぎません?!■■■■■さんもあれですけどショッピくんもチーノくんも! 」
ci「 いやいや、ほんまのことやしな? 」
shp「 そうっすよね、” シャオさん ” 」
sha「 せやな! 」
近くで中学生らしき青年たちの声が聞こえる。
僕と君の交わることのないこの想い
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『 僕らの逃避行。 』