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恋愛短編集
始まり~
ーー才能ーー
『先生、僕勉強の才能ないかも…』
しょぼんとした顔をして此方に近づく
彼が急に何を言い出すのかと思えば
なかなかにしょうもない話だった
「…笑 」
『笑った!?僕結構真剣なんだけど〜』
此方からすれば別に良くも悪くもない
微妙な点数を毎回取っていて別に
才能が無いわけでは無さそうだが
「愚問だな」
『愚問!?しょうもないって事!?』
「嗚呼、そうとも言う」
此奴は毎度毎度リアクションが大きく
見ていて退屈する事はないだろう
「才能探しで色々試してみるか?」
『え!!試そ試そ〜』
勉強が大して良くなければ
運動はどうだろうかと思ったが
『…ハァ……ハァ』
「お前運動も勉強も普通だな」
『傷つくんですけどっ』
あれから数日間俺は彼の得意分野
を探す事に集中しながらも
先生という職業にも力を入れたが……
【不審者が出たぞ!!!】
「何っ!?皆逃げろ!!」
『……………』
唐突に来る災難
逃げ遅れたのであろう教室の中には
彼が焦った顔をしながら此方を
見詰めていた
「どうした、お前も早く逃げ…」
逃げろ
そう言おうとした瞬間
身体に耐え難い痛みが俺を襲った
腹部を見てみると包丁の様なものが
背中から腹にかけて突き刺さっていた
『…………』
「何を…してる、早く……逃げ、ろ」
注意している筈なのに…
彼は俺を犯人を見て微笑みながら
ゆったりとした足取りで此方に
近ずいて来る
学校に登校しているかのような
雰囲気で……
『ヒュン………』
目の前に来たと思えばポケットに
手を突っ込みカッターを取り出し
犯人に向かって刃物を振った
【うぁ”……】
間一髪避けたが犯人はバランスが取れず
床にドテンっと尻もちを着いたその隙に
犯人にカッターを突き出していた
『つっかまーえた♪』
【ゆ、許してくれお願いだ】
この状況は誰が見ても混乱してしまう
生徒が圧倒的に勝って上の立場
一方犯罪者は命乞い……
『先生、僕才能見つけたよ』
彼がそうニコリと笑顔で此方を見ては
濁ったスンとした目で犯人を見詰め
彼は犯人をグサリと刺した
『あははっ、無様』
彼のこの才能は咲かせるべきでは
なかったのだと直感で感じ取った
もしかしたら俺は只々に才能を
見つけれていなかっただけのバケモノと
一緒に居たのかも知れない……
そんな事を考えている
俺の身体も脳も
冷えきっていた
ーー才能ーー
また次の話で
なう(2025/09/23 20:49:38)
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