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10歳になったある日、父と庭に出た。
庭の隅のその木の根元、ここは彼女が「秘密基地」と呼んでる場所。
「ねぇパパー!!」
少しだけ声が高くなったミラが呼ぶ。
「何してるんだ?」
花に水をやっている父が近ずいて来る。
変わらない優しい声に、そっと笑った
そして、彼女はふいに口にした。
あの時、たった1度だけ決めた、二人の合言葉。
「…ねぇ、”ミルチョコは戦士がたべるもの”、だったよね?」
父の足が止まった。
笑っていたから涙目になり顔から色がすっと引いていく。
時が止まったようだ。
その言葉はエスターと父しか知らない言葉。
おままごとの最中に真剣に、でもちょっとふざけて考えた「誓の合言葉」
ミラが知らないはずの言葉に父は驚き、エスターのことを思い出し泣きそうになっている。
ミラはゆっくり立ち上がり微笑んだ
「…ちゃんと、パバの子供慣れたよ。」
ソコの言葉に何も言えなかった。
涙が静かに落ちていった。彼はミラ…いや、エスターを優しく抱きしめた
「ね、パパ、泣くとブサイクになるって何回言ったらわかるの?」
ようやく本当の意味で娘と「再会」した。
手は前より小さいが笑顔はあのころと同じ。
言葉が少なくてよかった、
ただ一緒にいることが全てだった。
そしてそっと風が吹き赤いリボンが揺れた、
またここから始めよう。
今度こそ永遠に一緒に。