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のりもちさん
2,320
山中柔太朗side
まさか。まさかあんなこと言われるとは思ってもみなかった。じんちゃんと上手くいくように協力?
嫌。
舜太は非常階段に座り込んで蹲っていた。昔から嫌なことがあるとここに来ては大きい体をコンパクトにして外の世界をシャットアウトしようとするんだよな。何も変わってない。
「……舜太。」
「……。」
「舜太、俺も嫌だよ。多分だいちゃんも。はやちゃんだって本当は嫌に決まってる。」
「っ!じゃあなんで!!」
そう言ってバッとあげた顔はもう今にも泣きそうだ。大きい目に涙をいっぱい貯めて、瞬きしたら1粒2粒と涙がこぼれ落ちそうなくらいに。いつもはキリッとした眉毛も今は完全に下がってしまっている。いつもニコニコなその口も今はへの字になっている。
グループの中で唯一の年下である舜太。グループにあとから一緒に入った舜太。俺の中で舜太はやっぱり守りたくなるそういう存在だ。だからこんな顔見るのも辛い。
「……っおれ、俺いやや。協力したない!」
「うん、わかってる。俺も嫌だよ。でも落ち着いて考えてみて舜太。じんちゃんが幸せになるにはどうしたらいい?」
「……じんちゃんの幸せ?」
そういうと舜太は少し落ち着いた顔で考え出した。舜太は末っ子でたまにはっちゃけることもあるけど頭はいいしちゃんと考えられる子だ。今回のこの件のことだって落ち着いて冷静に考えられるはずだ。
「……じゅうちゃん。俺協力はやっぱりできない。だから2人を見守ることにするよ。」
「そっか。舜太がそう思うんだったら俺もそれでいいと思う。」
「じゅうちゃんありがと!楽屋戻ろっか!」
そう言って笑った舜太は目にまだ涙は残ってはいるもののいつもの眩しい笑顔になっていた。やっぱり舜太はいい子だな。
楽屋に行くとはやちゃんとだいちゃんが待っていた。俺たちが楽屋に入ってきたことにも気付かずに悩みこんでいる。はやちゃんの目線の鋭さはさらに鋭利になって。だいちゃんはいつものおふざけモードからは考えられないくらいの怖い静寂を放っている。
「……あ、舜太。大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫。ありがとうはやちゃん。」
先に気付いたのははやちゃんだった。さっきまでの怖い目ではなく本気で心配してる優しい目になっていた。
「……なぁ、俺1個思いついたんやけど。」
「え、なになに?だいちゃん何を思いついたん?」
「あのさ……」
「仁人に今好きな人いないか聞いてみない?」
「「「……………………え?」」」
じんちゃんに好きな人?そんな様子はない。彼女がいる話も聞いたことがない。いやでも隠してるだけ?あのじんちゃんに好きな人?彼女?嫌だ嫌だ。聞きたくない。
「な、なんでそんなこと聞くんだよ。」
「今好きな人とか彼女がおるなら星野さんに協力することができないと思ったんよ。まぁその好きな人が星野さんだった場合協力しなあかんけど。」
「……なるほど。一理あるか。」
「じんちゃんが戻ってきたら聞いてみよ。」
あぁ、どうかじんちゃんに好きな人いませんように。
コメント
3件
うわー、第21話、重かった……。舜太があの非常階段で蹲ってるところがもう、胸がぎゅっとなったよ。「協力したない!」って叫ぶ姿に、年下だからって守りたくなるじゅうちゃんの気持ち、すごく伝わってきた。そして最後のだいちゃんの「仁人に今好きな人いないか聞いてみない?」には、思わず「ええっ!?」って声が出た。全員がじんちゃんの幸せを想ってるからこそ、みんながそれぞれ葛藤してるのが切ないね……。続きが気になる!