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自分がどれだけ変わろうとも、海のように青く澄むあの空。
その空を見ながら、僕は思い出に浸る。
「そんな場合じゃないんだよなぁ、どうしようかなぁ、追放ってそんなひどいことを簡単にされちゃったよ……」
そこで僕はふと思い出す。
自分の職業、『人形師』についてだ。
職業にはそれぞれ、固有のスキルがついているものだ。
騎士なら『猪突猛進』、格闘士なら『連続打撃』などがある。
え、なんで知っているかって?みんなの職業見るときに合ったからだぞ?
「確か僕のスキルは……『人形生成』だったよな?」
発動するには、スキルの名前を口に出す。だから、スキルの誤爆で事故が起こるケースもあるらしい。
「あ、言っちゃった」
どこからともなく細かいパーツが空中でくっつき、腕、足、胴体。さらには頭部までもを形成していく。
それと同時に体に凄まじい疲労感を感じる、見なくてもわかる。とてつもない量のMPを消費している。
「お、おぉ……たまたま誰もいないところでよかったわ。」
できた人形は金髪で猫耳の生え、等身大のナイスバディな女性の人形だった。あと服。
これが困ったものであり、服は自分で着せねばならないらしい。
「これは人形だ、誰も、誰も俺のことは責めないはずだ。うん!そうだよ!ただ、とてもリアルで今にも動き出しそうなだけだよ!」
「それでは、触らせ…じゃなくて、服を着せま〜す!」
その時、人形が動いたような、そんな気がした。
僕はそれを自身のこれまでの経緯でたまったストレスだと感じ、気のせいだと言い聞かせた。
「気のせいか、うん。そうだね。」
僕は改め、服を着させようとした。その時だった。
「……うわぁ!なんで私に触ろうとしてんだよ!」
ボコッガコッ
人形がめっちゃガッツリはっきり喋った、うん、めっちゃ聞こえた。
幻聴じゃないってわかるぐらい服揺らいでるもん、声圧で。
「うわぁああぁぁぁぁあぁああぁぁあぁぁあ!」
人形は、僕にとてつもない威力の蹴り、殴りを与えつつも、少し戸惑ってるみたいだ。
「えっと、これどういう状況なんだ?」
人形に事情を、事の経緯を説明した。
「なるほどな。簡単にまとめると、役立たずだと能力も見ずに判断されて、追放されたので取りあえず能力を試したところ、私ができた。合ってるよな?変態。」
「合ってるけど……合ってるけどなんで殴って蹴ったんですか、目の前自分の皮膚しか見えませんよ。」
「それについては反省している。すまない。」
どうやら彼女の名前はベル=ニャルルというらしい。
彼女は人形になる前、この王国、『メルガ王国』の二番兵隊のリーダーだったようだ。だが、戦いにより戦死。目覚めると人形になった、ということらしい。
この国メルガって言うんだ、初めて知ったわ。
「今の話を聞いたところ、この能力は【死者をランダムに選び、人形として生き返らせる】力を持っているようだ。」
「ホントか?!じゃあ無限に使えば兵隊も作れるんじゃないか?!」
彼女の言い分は半分あっている、だが。
「めちゃくちゃMP使っちゃったから…もうだめ……か……も………」
「おい?どうした?おい!おい?!」
彼女の呼びかけに応じることなく、僕は眠りについた。いや、気絶してしまった。
こ、ここはどこだ?窓から光が入ってくる……家か?
だとしたら誰の家だ?俺は……そうか、急に倒れて……
「お、やっと目が覚めたか!心配したんだぞ!」
彼女はおそらく僕のために持ってきたであろう水を含んだタオルのようなものを片手に声をかけてくれた。
「ベル、ここはどこなんだ?」
「私の家の寝室、契約解除されてなくてよかったよ。」
だが、数年使われてなかったのか、とてもほこりっぽい。
「なんか、ほこりっぽくないか?」
ボコッバコッ
「助けないほうが、よかったかなぁ?」
「スイマセン、モウモンク、イイマセン。」
彼女によると、僕は3日も寝てしまっていたらしい。
僕は水を飲み、落ち着いて考えた。
今頃あいつらは何をしているのだろうか、もう、魔物の一匹、二匹は倒しているのだろうか。
「なぁ、俺に戦う術を教えてくれないか!」
「私を誰だと思っている?戦闘のプロだ!厳しいがついてこれるか?」
ついに僕は強くなり、散々ひどいことをしてきたあいつらに制裁を下す準備が整った。
「ああ!ついてってみせるさ!」
続く……