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このタイミングで言うのもあれなんですけど……実は駄作です………………………
「………。」
………
「……。」
……ひまちゃんって、顔かっこいー……。
隣でパソコンをいじる彼の横顔をなんとなくぼーっと見つめる。
それに気づいたのか、その視線はパソコンの画面から俺の方へ動いた。
「…なあに?」
少し低くて、甘い声。
白い肌に高い鼻、こちらを捉える深紅の瞳は弓なりになって、薄い唇の端が上がる。
「…なに、俺の顔の良さ気づいちゃった?笑」
そう言って不敵に笑う彼の瞳に吸い込まれるように、俺はその胸にぼふっと顔を埋めた。
いつもその瞳はずるい。
俺を魅了して、
俺を狂わせる。
「ぉわ。…なーに。甘えたさん?笑」
少しからかいを含んだ声に、彼の腰に手を回しながら俺は頬を膨らます。
いつも余裕な所、なんかちょっとだけ憎い。
もっと俺に翻弄されてくれてもいいのにな、なんて密かに思う。
ぐりぐりと頭を彼の腰に押し付けていると、くすぐってぇ、と笑う声が降ってくる。
「…なんか、ひまちゃんかっこよすぎて、他の人に取られそうだよ……」
半分は本心、半分は『少し戸惑ってくれないかな…』という願望を込めて、不貞腐れたように言い放つ。
すると何故かしばらくの沈黙が流れた。そして
「…大丈夫。俺はすちしか見とらんけ、安心して?」
ちょっと呆れたような、でもどこか優しいような、そんな声が俺の鼓膜を刺激した。
と同時に彼の大きくて暖かい手が、わしゃわしゃと雑に俺の頭を掻き回す。
「わっ」
思わず声を出して顔を上げると、こちらをみたひまちゃんと目が合った。
俺と同じ、赤い瞳。
だけど俺とは違う、ひまちゃんだけが持つ優しい瞳。
「……ぅ〜〜〜……っ…すき、」
その優しい顔が大好きで、でも何故か見つめているのは気恥ずかしくて、俺はもう1度顔を伏せる。
と、突然ぐいっと顎を掴まれ、見上げる形で彼と目が合った。
「へ…」
俺の頬を両手で挟んだままじっと見つめて何も言わないひまちゃんに、俺はずっとハテナを浮かべるばかり。
何秒、何十秒だろうか。
しばらくの間見つめ合う謎の沈黙時間が続き、痺れを切らしたようにひまちゃんが一つため息をついた。
「……すちさ、俺の方こそ心配なんだけど」
「…え?」
「そんな可愛いこと他の男にしてないよね?」
「ぇ」
ますます俺はきょとんとしてしまう。
何故か声のトーンを落とした彼の鋭い瞳が俺を捉えた。
今までの自分の行動の中に“可愛い”に分類されるものなんてあっただろうか…。
…そりゃ、ちょっと誘惑しようと思って仕掛けた部分はあるけれど…。
思ってもみなかった言葉が降ってきて、ひまちゃんの顔を見つめながら何も言えずにいると、
そんな俺を見てひまちゃんはもう一度軽くため息をついて、それから1つキスを落とす。
「ん、っ」
「はぁ〜……自覚なしってこえ〜……。
………すち、俺だけ見てろよ。わかった?」
「んぇ、うん…?うん…」
「返事は1回だろ」
「…っ、はい」
「よし」
突然Sっ気が滲んた声色と、鋭くなった瞳にどきりとして思わず流れで頷いてしまう。
すると、俺を見る目をふっと細くした彼の いつもより低くなった声が腰に響く。
思わず体を揺らして敬語で返事した俺の頭を、いつもの笑顔に戻った彼の手が撫でた。
独占欲が見えるひまちゃんもかっこいいかも…なんて新たな感覚に浸りながら、その整った彼の顔に、今度は俺から唇を近づけた。