テラーノベル
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何故か、彼女から目を離すことが出来なかった。
どうして、彼女を見ると、こんな心臓がドクドクするんだろう。どうして、彼女から目が離せないんだろう。どうして・・・
そんな事ばかりが頭に浮かぶ、すると、その女性は口を開いた。
「・・・ここは・・・?」
鈴がなるかのような心地よい声だ。やはり、この声をすまないは“知っている”・・・気がする。すまないは慌てて女性の疑問に答えた。
「ここはすまないスクールだよ?・・・君は?」
「・・・私は、エウリ・・・私は・・・一体・・・?」
と、エウリは頭を抑えた。すまないは慌てて駆け寄り、支えた。
「だ、大丈夫かい!?」
「えぇ・・・大丈夫です・・・」
そういうが、彼女の顔色は随分悪かった。
どうしてか、彼女を放っておくことが出来なかった。
「・・・ちょっとすまない!」
「え?・・・きゃっ!?」
すまないはエウリを横抱きに抱え、保健室へと走っていった。
✵✵✵✵✵
「ブラック〜!!!!」
すまない先生の叫び声に、ブラックは首を傾げた。すると、
「ブラック!この人、顔色が大分悪いんだ!見てくれ!!」
と、俗に言う「お姫様抱っこ」で女性を運んできた。女性は恥ずかしいのか色白い頬を赤く染めていた。
すまない先生は、自分の容姿に興味が無いのか、かなりモテる。
旅していた時に、しょっちゅう絡まれていたのだ。
しかも、すまない先生は困っている人はほっとけない体質だから余計に・・・なんて考えに浸っていると、
「ブラック?」
そうすまない先生は首を傾げながら、顔を覗き込む。
ふと、何故かそれに“懐かしさ”を感じながらも、ブラックは女性を案内した。
✵✵✵✵✵✵
「・・・名前は言えますか?」
「・・・確か、エウリ・・・だったはず・・・です」
「では、どこから来たのですか?」
「・・・・・・」
「それでは、どうしてここへ?」
「・・・ごめんなさい、分からないわ」
そう彼女は答えた。それに、ブラックは驚きつつも、「しばらくお休み下さい」といい、保健室から出た。すると、外にはすまない先生が。ブラックに気がつくと、駆け寄ってきた。
「ブラック!あの人は?」
すると、ブラックは答えた。
「・・・どうやら、“記憶喪失”のようですね。名前以外、何も覚えていません。精神的ショックなのか、外的要因なのか、そこは分かりませんが」
「そっか・・・」
すまない先生はそう保健室を見ていた。最初は、自分も記憶喪失に近いモノだから。かと思いきや、すまない先生が彼女を見る瞳は、“違う”気がした。
「・・・すまない先生、先程、銀さんが呼んでいましたよ」
「え?あ、そっか!建築材料集めて貰ってたんだった!じゃあブラック!後はお願い!」
と、すまない先生は慌てて走り出した。ブラックの手元には“とある資料”が。すまない先生が駆け寄ってきた瞬間に後ろに隠したのだが、すまない先生は気が付かなかったようだ。
「・・・“これ”は、報告すべきかどうか・・・」
そうブラックは呟いた。そこには、先程の女性の検査結果が。だが・・・
“明らかに、人では無い”ということが検査結果には書かれていた。
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