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「最近パフェにハマってるんだよね」
唐突に君はそう言った。
その日はテレビの撮影があって、一通り終え今は楽屋で3人で各々休憩していた。もうそろそろマネージャーの車の準備が出来るし、帰る支度をしようかという所だった。
「なんで急にパフェ?甘いものそんな好きだったっけ」
と若井が言った。ううん、と元貴は首を振る。
「甘いもの自体は好きっちゃ好きだけど、たくさんは食べれない。だからこそいいなって」
若井はぴんと来てないようだが、僕は言いたい事がなんとなく理解出来た。
「もしかして、層になってるから?」
「正解!よく分かったね〜涼ちゃん」
俺もともと飽き性だから、と笑いながら言った。そんな君を見て少し切なくなる。元貴が言うには、ラクトアイスを買ってもずっと味が同じな物がほとんどで、1つですら飽きて食べれない。そんなとき企画で食べたパフェに感動してハマったそうだ。
「そっから色んな所に調べて食べに行ったんだよね。ほら、これとか凄いでしょ」
キラキラとした目で見せてくる写真に写っているのは、もはや芸術品と言えるくらい綺麗なもので。またも胸の辺りがきゅっとなる感覚に襲われた。
「お〜めっちゃ綺麗。これいくら位するの?」
「でしょでしょ〜?これはね、大体…」
2人の会話を聞き流しながら、渡されたスマホで他のパフェの写真を眺める。チョコベースだったりキャラメルベースだったり、和風だったり。フルーツをこれでもかと乗せたものもあった。
好きなものに性格は露骨に現れる気がする。元貴のように飽き性ならパフェの様に味がコロコロ変わるものが好きになる。
こんなことを考えてしまう僕は卑屈なんだろうけど、次から次へとあるパフェの写真を見ると頭から追い出せない。
「ねえ、今からパフェ食べに行こうよ」
君は無意識なんだろう。
「いいじゃん、食べたくなってきた」
今までの恋愛の話を聞いていてもそうだった。
「…いいね。行こうか」
ハイスペックな上に色んなところに引っ張りだこの元貴は、やはり女性が集まりがちになるもので。今まで何人か恋人の関係になったこともあったようだ。でも君は、しばらく付き合った後必ずこう言う。
『なんかマンネリ化してきちゃったな』
学生時代の頃からそうらしく、相手が尽くしてくれ過ぎて元貴だけ倦怠期に入ることがほとんどだったそうだ。
パフェと比べるのはどうかと思うが、どうしても重ねてしまう。
もし。もし僕が君と付き合えたとしても、今までの人達のように僕は飽きられてしまうんだろう。君が求めるのは新しさや刺激で、満たすのもそれらだから。
「わあ、この辺お店こんなにあったっけ?」
車に元貴の楽しそうな声が響く。めずらしく夕日が沈む前に帰れるので、テンションが上がっているんだろう。少ししてお目当てのカフェに着いた。
若井はイチゴたっぷりのパフェ、元貴はプリンのパフェを選んだ。
「涼ちゃんは?どうする?」
「僕は…」
ふと目に止まった。コーヒーゼリーをメインに使ったビターなパフェ。今の僕にピッタリだと思ってしまった。
「楽しみだね」
満面の笑みではしゃぐ君を、苦さ無しでは直視出来なかった。
◻︎◻︎◻︎
読んで下さりありがとうございます!
思い浮かんですぐ書いたので、おかしな所がたくさんあると思いますが、多目に見ていただけると幸いです。
次もまた読んでいただけると嬉しいです。
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