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「そ、そんななわけないじゃん!! あいつなんか大嫌いだし!!」
照の一言に大パニックを起こした佐久間は、真っ赤な顔のまま教室を飛び出した。
「ありえない! あんなお堅くてスカしたツラした生意気な後輩、こっちから願い下げだ!」
フンッと鼻息荒く廊下を歩く佐久間の頭の中は、ムカつく目黒の顔でいっぱいだった。
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その頃、2年2組の教室。
窓際の席に戻った目黒蓮は、頬杖をつきながら冷めた目で外を眺めていた。
「目黒くん! これ、今日の放課後よかったら……!」
「あ、すみません。そういうの受け取らないことにしてるんで」
女子生徒からの告白をバッサリと、だけど事務的に断る。目黒にとって、これはただの「処理」だ。他人に興味がないし、群れるのも好きじゃない。自分は規律を守る学級委員長で、静かに学校生活を送りたいだけ。
だからこそ──あのピンク髪の先輩が、心底理解できなかった。
目黒の脳裏に、さっき校門前で捕まえた時の佐久間大介の顔が浮かぶ。
「離せ、ちびっこ扱いすんな!」と喚き散らし、「お前なんか大嫌いだ!」と大声をあげる。
あいつは、学校のルールを平気で破るヤンキーだ。
髪は派手なピンク、制服は着崩し放題、いつも大声で騒いでは廊下をドタバタと走る。自分が一番嫌悪する「不真面目で、うるさくて、規律を乱す存在」そのもの。
しかも、あいつは毎日のように2組の前にやってきては、渡辺先輩と一緒になって騒ぎを起こす。学級委員長として、あれほど迷惑な存在はいない。
「……はぁ、マジでうるさい」
目黒の口から、冷たい呟きが漏れた。
さっき、リボンを直してやった時のことを思い出す。
至近距離で「大嫌いだ!」と睨みつけてきた、あの生意気な目。年上のくせにガキみたいに暴れる、あのうるさい態度。思い出すだけで、イライラと神経が逆撫でされる。
あいつの全部が、気に食わない。
あいつの全部が、目障りだ。
──あぁ、そっか。
目黒は、冷たい切れ長の目をさらに細めた。
自分は、あの佐久間大介という人間のことが、どうしようもなく『嫌い』なのだ。ただの迷惑な違反者としてではなく、一人の人間として、あいつの存在が不愉快でたまらない。
「あんなうるさい先輩、こっちから願い下げだ」
お互いに、相手の存在が癪に触って仕方がない。
絶対に相容れない、完璧な「大嫌い」同士。
交わるはずのない二人の火花が、放課後の不穏な空気の中で、静かにパチパチと弾け始めていた。
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