テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
108
雪葵
530
5,217
――**番外編。**
**朝練。**
朝。
まだ。
薄暗い。
体育館。
静か。
いつも通り。
――のはず。
毎日。
一番最初。
来る人。
**北信介。**
今日も。
変わらず。
早い。
ボール。
準備。
ネット。
確認。
静か。
その時。
――ガラッ。
ドア。
開く。
北。
止まる。
理由。
**角名。**
早い。
珍しく。
かなり。
早い。
しかも。
静か。
異常に。
静か。
目。
少し。
赤い。
腫れてる。
明らか。
――**泣いた跡。**
北。
数秒。
見る。
ぽつり。
「……おはよう」
角名
「……おはようございます」
声。
低い。
元気。
ゼロ。
北。
止まる。
ぽつり。
「泣いた?」
角名。
**停止。**
でも。
すぐ。
逸らす。
「……寝不足です」
北。
即。
「嘘やな」
角名
「……」
北。
近づく。
真顔。
質問開始。
「誰かに何か言われた?」
角名
「違います」
「家で何かあった?」
「違います」
「学校?」
「違います」
「怪我?」
角名。
少し。
止まる。
でも。
すぐ。
「……違います」
北。
見る。
沈黙。
でも。
終わらない。
「眠れてへん?」
「……まぁ」
「飯食った?」
「……はい」
「しんどい?」
角名。
数秒。
止まる。
超小声。
「……ちょっと」
北。
少し。
眉。
寄る。
ぽつり。
「大耳やないんやな?」
角名。
即。
「違います」
**即答。**
北。
少し。
安心。
でも。
様子。
おかしい。
ぽつり。
「なら何や」
角名。
沈黙。
視線。
下。
数秒。
そして。
超小声。
「……昨日、ちょっと嫌なことあっただけです」
北。
見る。
深追い。
しない。
でも。
一言。
「今日は無理すんな」
静か。
でも。
優しい。
「抱え込むな」
角名。
少し。
止まる。
そして。
超小声。
「……ありがとうございます」
その時。
――ガラッ。
侑&治。
入室。
侑。
一瞬。
止まる。
「……すな?」
治。
眉。
寄る。
理由。
**目、赤い。**
しかも。
テンション。
低い。
侑
「何あった?」
角名
「……別に」
治
「嘘やろ」
角名
「……寝不足」
侑
「絶対違う」
でも。
聞けない。
空気。
重い。
その時。
――ガラッ。
体育館のドア。
開く。
入ってきたのは。
**男子三人組。**
昨日。
角名に。
絡んできたやつら。
しかも。
笑ってる。
一人。
小声。
でも。
聞こえる。
「うわ、まだいるやん」
「昨日あんだけ言われたのに」
「メンタル強~」
静止。
体育館。
**空気、変わる。**
侑
「……は?」
治
「昨日?」
北。
静か。
でも。
声。
低い。
「何の話や」
男子。
少し。
焦る。
「いや……別に」
その時。
角名。
ぽつり。
「……北さん」
静か。
「いいです」
でも。
声。
少し。
震えてる。
侑。
止まる。
(震えた?)
(角名が?)
男子。
そのまま。
笑う。
一人。
鼻で笑う。
「え、言わへんの?」
もう一人。
「昨日めっちゃ黙ってたやんな」
侑。
顔。
消える。
治も。
止まる。
北。
静か。
でも。
怖い。
「……昨日、何した」
男子。
少し。
黙る。
でも。
一人。
開き直る。
「別に?」
少し間。
「こいつがキモかっただけやし」
体育館。
**静止。**
男子。
止まらない。
「いつもダルそうで」
「感じ悪いし」
「先輩に媚びてる感じもキモい」
侑。
**停止。**
治。
静か。
でも。
怖い。
男子。
笑う。
「大耳先輩にベタベタして」
「男のくせに気持ち悪――」
角名。
ぴく。
止まる。
視線。
下。
拳。
少し。
震える。
男子。
さらに。
笑う。
「昨日だってさ」
「殴られてんのに何も言い返さんし」
「泣きそうな顔しててダサ――」
**ガンッ。**
体育館。
静止。
侑。
壁。
思いっきり。
叩いてる。
笑ってない。
「……お前」
低い。
見たことない顔。
治。
静か。
でも。
怖い。
「今の」
少し間。
「もう一回言ってみ」
北。
前。
立つ。
静か。
でも。
圧。
重い。
「……やめとけ」
その時。
角名。
少し。
身体。
引く。
痛そう。
治。
止まる。
「……すな?」
侑。
気づく。
ジャージ。
背中。
少し。
赤い。
擦れてる。
北。
目。
細める。
ぽつり。
「背中、どうした」
角名。
即。
「……何でもないです」
でも。
侑。
もう。
我慢できない。
「見せろ」
角名
「……いい」
治
「すな」
珍しく。
強め。
「見せろ」
沈黙。
数秒。
そして。
角名。
少し。
諦めた顔。
ジャージ。
少し。
ずらす。
静止。
**傷。**
赤い。
擦れた跡。
殴られた痕。
体育館。
**静止。**
侑
「……は?」
治
「誰やった」
北。
数秒。
動かない。
ぽつり。
「誰がやった」
男子三人。
顔。
強張る。
一人。
小声。
「……ちょっと殴っただけだし」
静止。
――その時。
**ガラッ。**
大耳。
入室。
「おはよ――」
止まる。
視線。
固定。
**赤い目の角名。**
背中の傷。
重い空気。
数秒。
沈黙。
そして。
ぽつり。
低い声。
「……何あった?」
体育館。
**静止。**
大耳。
視線。
ゆっくり。
動く。
――**角名。**
赤い目。
下向いたまま。
そして。
――**背中の傷。**
数秒。
沈黙。
空気。
重い。
大耳。
ぽつり。
低い声。
「……何あった?」
侑。
珍しく。
笑ってない。
「昨日」
少し間。
「すな、やられた」
治。
静か。
でも。
怒ってる。
「殴られたらしい」
大耳。
**停止。**
数秒。
動かない。
視線。
男子三人。
ゆっくり。
向く。
静か。
でも。
怖い。
「……誰が」
男子。
一歩。
引く。
でも。
一人。
まだ。
強がる。
「は?」
少し間。
「別に大したことしてへんし」
「ちょっと言っただけやん」
大耳。
止まる。
ぽつり。
「……言った?」
男子。
鼻で笑う。
「だってこいつ」
「いつもダルそうやし」
「先輩に媚びてる感じキモいし」
「殴ったら泣きそうな顔してた――」
**ガタッ。**
体育館。
静止。
大耳。
前。
出てる。
でも。
怒鳴らない。
ただ。
静か。
声。
低い。
「……やめろ」
空気。
重。
男子。
少し。
怯む。
でも。
一人。
小さく。
「事実やし」
その瞬間。
角名。
肩。
ぴく。
止まる。
視線。
下。
拳。
震える。
ぽつり。
超小声。
「……もう、いいです」
でも。
声。
少し。
震えてる。
侑。
止まる。
治も。
北。
静か。
でも。
ちゃんと。
角名。
見る。
北
「よくない」
短く。
はっきり。
「殴られてええ理由なんかない」
体育館。
静か。
角名。
少し。
止まる。
侑。
近づく。
珍しく。
ふざけない。
「何で言わんかったん」
治
「一人で抱えんな」
大耳。
ゆっくり。
角名の前。
しゃがむ。
目線。
合わせる。
ぽつり。
「……痛かった?」
角名。
止まる。
ずっと。
我慢。
してた。
でも。
少し。
唇。
震える。
超小声。
「……痛かったです」
少し間。
「……怖かった」
体育館。
**静止。**
侑。
顔。
ぐしゃ。
「なんで我慢すんねん……」
治。
目。
逸らす。
北。
静か。
でも。
優しい。
「もう一人で抱えんな」
大耳。
少し。
頷く。
ぽつり。
「……今日は一人にせぇへん」
少し間。
男子三人。
見る。
声。
低い。
「先生呼ぶ」
北。
短く。
頷く。
「話、終わらせへん」
角名。
少し。
止まる。
でも。
隣。
侑。
治。
北。
大耳。
いる。
超小声。
「……ありがとう」
体育館。
静か。
でも。
空気。
重い。
男子三人。
完全に。
黙ってる。
北。
スマホ。
取り出す。
ぽつり。
「先生呼ぶ」
短い。
でも。
終わらせる気。
ゼロ。
男子の一人。
焦る。
「え、待って」
「そこまで大事にせんでも――」
治。
静か。
でも。
怖い。
「殴っといて?」
少し間。
「何言うてん」
侑。
笑ってる。
でも。
**目、笑ってない。**
「“ちょっと”で済むなら」
少し間。
「すな、泣きそうになってへんやろ」
静止。
男子。
止まる。
角名。
下。
向いたまま。
でも。
少し。
肩。
震えてる。
大耳。
気づく。
ぽつり。
「……角名」
少し間。
「こっち」
自然に。
少し。
離れた。
ベンチ。
座らせる。
北。
一瞬。
見る。
そして。
頷く。
「任せた」
大耳。
隣。
座る。
少し。
距離。
近め。
でも。
無理に。
聞かない。
静か。
数秒。
そのまま。
ぽつり。
「……昨日」
少し間。
「一人やったん?」
角名。
止まる。
超小声。
「……はい」
「帰ろうとしたら」
少し間。
「急に」
大耳。
黙る。
でも。
拳。
少し。
握る。
ぽつり。
「……怖かったな」
角名。
数秒。
止まる。
そして。
小さく。
頷く。
「……情けないですよね」
「何も言い返せへんくて」
大耳。
即。
「情けなくない」
静か。
でも。
はっきり。
「一人で耐えたんやろ」
少し間。
「よう頑張った」
角名。
**停止。**
(頑張った)
(怒られない)
(引かれない)
少し。
目。
潤む。
でも。
必死。
逸らす。
ぽつり。
「……泣いてないです」
大耳。
少し。
笑う。
「うん」
少し間。
「泣いてへんことにしとく」
その頃。
反対側。
北。
先生。
到着。
空気。
ぴり。
先生。
静か。
でも。
真面目。
「詳しく聞かせて」
男子三人。
顔。
青い。
侑。
腕。
組む。
治。
隣。
北。
静か。
でも。
一歩も。
引かない。
北
「怪我もある」
少し間。
「ちゃんと対応してください」
体育館。
静か。
でも。
今回は。
**誰も流さへん。**
そして。
少し離れたベンチ。
大耳。
ぽつり。
「……今日」
少し間。
「練習、無理せんでええ」
角名。
小さく。
頷く。
超小声。
「……隣、いていいですか」
大耳。
一瞬。
止まる。
そして。
少し。
笑う。
「最初からそのつもり」
角名。
少しだけ。
肩。
力。
抜ける。
ベンチ。
少し。
静か。
体育館。
向こう。
先生の声。
聞こえる。
でも。
ここだけ。
少し。
別空間。
角名。
隣。
座ってる。
でも。
いつもより。
少し。
近い。
大耳。
気づく。
でも。
何も言わない。
ただ。
隣。
いる。
ぽつり。
「……背中、まだ痛む?」
角名。
少し。
止まる。
超小声。
「……まぁ」
少し間。
「ちょっと」
大耳。
眉。
少し。
寄る。
ぽつり。
「保健室、絶対行こ」
角名
「……大丈夫です」
即答。
でも。
大耳。
珍しく。
引かない。
「大丈夫ちゃう」
静か。
でも。
優しい。
「傷ある時点で大丈夫やない」
角名。
少し。
止まる。
視線。
下。
ぽつり。
「……迷惑かけたくなくて」
大耳。
一瞬。
止まる。
そして。
少し。
困った顔。
ぽつり。
「……それ、ずるい」
角名
「……え」
大耳。
少し。
笑う。
でも。
目。
真面目。
「頼ってくれへん方が心配なる」
少し間。
「俺、そんな頼りない?」
角名。
即。
首。
振る。
「……違います」
超小声。
「……頼りすぎそうで」
静止。
大耳。
**停止。**
数秒。
動かない。
そして。
ふっ。
少し。
笑う。
ぽつり。
「……頼られたいんやけど」
角名。
**停止。**
(無理)
(今の)
(ずるい)
耳。
少し。
赤い。
その時。
――タタタッ。
侑。
来る。
でも。
今日は。
珍しく。
静か。
「……すな」
少し間。
「先生、ちゃんと話聞いてくれるって」
治。
後ろ。
立つ。
ぽつり。
「今日は俺ら送る」
北。
少し後ろ。
静か。
でも。
ちゃんと。
角名。
見る。
「一人で帰す気ない」
角名。
数秒。
止まる。
こんな。
囲まれる。
珍しい。
超小声。
「……大げさ」
侑。
即。
「大げさちゃう」
少し間。
「お前、昨日一人で我慢したやろ」
治
「次は言え」
北
「抱え込むな」
大耳。
隣。
ぽつり。
「約束」
少し間。
「何かあったら言う」
角名。
沈黙。
数秒。
そして。
小さく。
頷く。
「……努力します」
侑。
即。
「“努力”やなくて“言う”!!!!」
少しだけ。
空気。
ゆるむ。
そして。
その瞬間。
角名。
ほんの少しだけ。
笑った。
侑。
**停止。**
治。
**停止。**
北。
少し。
目。
細める。
大耳。
ぽつり。
「……やっと笑った」
角名。
少し。
気まずそう。
でも。
超小声。
「……ありがとうございます」
今日は。
ちゃんと。
**一人じゃなかった。**
コメント
1件
天才(仮)さん、今回の番外編、すごく胸にきました…。角名くんが一人で抱え込んでいた「痛かった」「怖かった」という言葉に、涙が出そうになりました。北さんの静かな優しさ、大耳さんが隣に座って「頼られたいんやけど」って言うシーン、ずるいほど沁みます。侑と治の怒りも、彼らだからこその重さがあって。チームの絆が痛いほど伝わってくる回でした。角名くんが最後にほんの少し笑えたこと、本当に良かった…。次が気になります。