試合後のインタビュー
侑はなぜか堂々と記者の前に立つ。
『先ほどの“試合後の客席ダッシュ”について詳しく……』
「奥さんおったから。
無理やん普通。見つけたら飛んで行くやろ。俺の嫁やで?」
『うわあああああ!!!』
『み、宮選手、プロとして……』
「いや、プロやからこそケアが必要やろ?心の。
奥さんおったら頑張れるし?会いたいし?」
『堂々としてますね……』
「てか、絶対もう隠れて来んで。
俺気ぃ狂うから。」
🌸「……そんなに?」
侑は堂々とカメラの前で言う。
「俺、あの人おらんと無理やもん。」
『キャーーーーーーー!!!!!!』
(チームメンバー)
「はぁ……はいはい、宮侑の奥さんは今日も平和を乱す最強の存在、と。」
「誰のせいやと思てんねん。俺が溺れてるだけや。」
◆帰り道(裏口)
侑は🌸の手をぎゅっと握ったまま歩く。
「……なぁ。
今日めっちゃ嬉しかったけど、心臓死ぬかと思った。」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟ちゃうわ。
奥さんおったら、俺、全部そっち行きたなんねん。」
そして小さく耳元で。
「…帰ったら覚悟しとき。」
嫉妬と喜びで爆発してて、完全にスイッチ入ってる声をしてる。
「ひゃあっ……!」
「“勝手に可愛いことしに来た罰やで?”」
その直後、
侑は後ろからぎゅっと抱きしめて離さない。
「ほんまに好きやねん。
溺れさせるん得意やろ?」
『宮選手、本日の試合お疲れさまです。まず……
あの、“最終セット終わってすぐ客席へ走って行った件”について説明をお願いできますか?』
全然悪びれず、マイク近づけて
「──奥さんおったから。」
『キャーーーーーーー!!!!』
会場が一気にざわつく。
『そ、それは分かりますが、普通は試合直後に……』
「いや、普通ちゃうねん。俺は俺やん。」
記者は返す言葉を失った。
「奥さん見つけた瞬間、“あ、会いたい”しか考えられへんかった。
そしたら気づいたら足動いとった。」
チームメンバーひ控え席の後ろで頭抱えてる
『動いとったじゃないんよ……』
⸻
『宮選手、では……奥様が見に来ていると頑張れる、ということですか?』
「頑張れるどころちゃうで?
今日のサーブ全部、奥さん見てる思たら
“絶対決めたるわ”って気持ちで撃ってたから。」
『ウワァァァァァァ!!』
SNSではすぐに〈 #宮侑 #嫁溺愛 〉トレンド入りした。
『……しかし直後に行くのは……プロとしては問題視されるかもしれません。」
「いや、無理やって。
だって俺の奥さんやで?
可愛いし、俺のこと好きやし、
なんで試合終わったのに抱きついたらあかんの?」
『いや、ルール的に……』
「じゃあルール変えて?奥さん来たら抱きついてええ、って。」
「やかましいわ」
痺れを切らしたメンバーが侑を叩く。
「あでっ!」
『奥様は今日、サプライズで来られたとのことですが?』
「そう。サプライズとかやめてって言ってんのに。
心臓止まるって言ってんのに。
なんで言わんかったんって、俺めちゃ怒ってるからな?」
『きゃーーーーー!!』
『怒っている……?どの程度ですか?』
「んーそうやなぁ……今日の夜、覚悟しとかなあかんぐらい?」
侑は意地悪そうに口角を上げた。
『ギャアアアアアアア!!!!!!』
メンバー「おい宮ァ!!公共の電波や!!伏せろ!!」
「伏せてるやん。ギリギリやで?」
メンバー「…ギリギリか???」
最後に、と聞かれて
『では最後に、今日応援に来てくれた奥様へメッセージを。』
侑はマイクを真正面に向けて、少し照れた顔で、
「……来てくれて、ほんまに嬉しかった。
お前おらんと、俺、どんだけ強なっても意味ないわ。
今日も勝てたん、お前がいたからやで。」
『うわああああああ!!!』
『これは……名言……?』
「次来るときは言ってな?
試合前から膝震えるぐらい喜ばせたいから。」
プロデューサー「……はい、終了しまーす!宮はここまで!!」
「なんでや!まだ話せるで!?奥さんのこと!」
メンバー「黙っとけ溺愛バカ!!!」
侑の溺愛ぶりはしばらくSNSのトップニュースに入っていた。
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