コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
4週目(トウヤ視点)
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
あちら側では吹かない、少し冷たい風が頬をかすめる。
とある神社で、妖狐トウヤは、久しぶりの人間界を堪能していた。
およそ170年前、この国が開国して欧米の文化や考え方が入ってきてから、トウヤ達のような妖怪はこちら側では生活しずらくなっていた。その時に噂で住む場所が無くなった怪異が暮らす世界があると聞き、他の移住する者達と共にアナザーワールドに行ってから数十年事に人間に化けてこちらに帰ってきている。
「懐かしいなぁ…」
誰に言うでもなく、独り言が漏れる。
幼い頃…と言っても、400年ほど前だが…トウヤは実際にこの近くで暮らしていたのだ。その時、よくこの神社で友人と遊んでいた。
(しかし、大きくなったよな)
当時この神社は小さな本殿と鳥居しかなく、今のように授与社や神楽殿なども無かったのだ。本殿の形もこれほど大きくなかった。
それが何故この様に大きくなったかと言うと、100年程前に起こったことが関係する。
その時トウヤは既にあちら側にいたので詳しい事は分からないが、ここで大きな火事があって神社は全て燃えたらしい。何故そんな事があったのかを聞いてみても、その友人は震えるばかりでそれ以上は教えてくれなかった。
「あれ…?」
昔を思い出していると、ある違和感を感じる。
何やら祀られている者が変わっているのだ。
そのことに気がついた途端、トウヤの顔から血の気がサァァと失われていく。
(まさか!)
トウヤはその気配を過去に感じたことがあった。
周りの目を気にしつつ人気のない場所に行き、小さなネズミに変身して本殿に侵入する。
そこには、おぞましい気を放つ、ボロボロの刀が置かれていた。
(なぜ、こんな物がここに…!)
そこには本来、古い小さな着物が置かれていた筈だ。決してそこから劣化しない、女児用の着物が。
トウヤがその刀に1歩近ずいた瞬間、目の前が暗転した。
「!?」
目を瞑ったという自覚は無かったのに、いつの間にか瞑っていた目を開く。すると、数時間前に戻っていた。
「なんで…私は…」
そこから、トウヤの3日ごとのループが始まったのだ。
今回は、珍しくレイナ以外の視点でしたね。
それでは〜( ᐙ)/