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三月、桜のつぼみがほころびはじめたころ。ついに卒業式の日がやってきた。
厳かな空気の中、卒業証書が手渡されていく。
陽も、澪も、花も、迅も、そして柚葉も、
それぞれの胸に、特別な想いを抱いて式に臨んでいた。
校舎の外に出た瞬間、澪がくるりと振り向いた。
「……終わっちゃったね」
その声は、どこか寂しさと、でも未来への期待に満ちていた。
陽はうなずき、そっと澪の手を取った。
「終わったんじゃない。ここから、始まるんだ」
澪は驚いたように陽を見つめ、それから、あたたかく微笑む。
友達や後輩たちが写真を撮り合う中、
陽たちは静かに、校庭の隅に歩いていく。
いつもの図書館、よく一緒に帰った通学路、
ふとした瞬間、すべての思い出がよみがえる。
「これからも、ずっと一緒にいような」
陽が小さく言うと、澪はきゅっと陽の手を握り返した。
「うん、どんな未来でも」
2人はまっすぐ前を向いて、歩き出す。
それぞれの夢に向かって、それぞれの道を進むために——
でも、きっと、同じ空の下で。
春の光に包まれて、
彼らの新しい季節が、静かに始まった。