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後編、全然公開したつもりでいました。公開されてなかった。すみません。実は神戸公演現地参戦していてそのお話とか書いてたのですが、もう時期が過ぎ去ってしまったので遠慮しておきますね……
続き👻🔪×💡!!!!!モブ(クラスメイト)がいます。前編に比べたら結構短めだし想定できるオチ。地雷さんは回れ右!!
kyng視点
「ロウ、おつかれ!」
ぴしゃ、と冷たいものが頬に当たる。
「いてえよ。熱中症治った?」
「おかげさまで!これお返し」
頬に当たった冷たいものは、どうやらペットボトルだったようだ。
「オレンジジュースて。お子ちゃまかよ」
「仕方ないでしょ?アクエリ売り切れだったんだもん」
ムスッと頬を膨らませるライ。小さい頃から全く変わってないな、と思う。 俺等のブロックの総合結果は2位。優勝でもなく、ビリでもなく、何とも言えない結果に終わった。
「小柳、カッコよかったよ」
「伊波もな」
ライに見つめられると、思っていることが素直に出てきてしまい、目をそらす。このまま見つめていると、彼に好きだと伝えてしまいそうで。
「オレ、やっぱロウのこと好き」
「………は?」
自分の言ったことをやっと認識したのか、ライは顔を背けた。鞄に体操服を詰め込んで扉をガラガラと勢いよく開ける。
「っぁ、ごめん。今の全部忘れて!!」
遠ざかる伊波の姿。ココでライの腕を掴んで、俺の気持ちも全部言えていたら、なんて。取らぬ狸の皮算用、自分の中にしまい込む。
「…でさぁ、やっぱ伊波ってカワイイよな」
「わかる。俺も伊波ならヤれる」
タイミングが良かったのか悪かったのか、クラスメイトが伊波の居ない教室へ入ってくる。俺の存在を認識した彼らは、俺を会話へ強引に誘導した。
「な、小柳もそう思うだろ?」
「は?」
「伊波。かわいいよな?」
少しだけ伊波を狙っている彼の目を見た瞬間、俺の中の糸がぷつ、と切れる。
「まあね。ライは俺のもんだけど」
俺はオレンジジュースと鞄を持ち、教室の扉を開ける。エアコンの効いた部屋から一転した蒸し暑さを感じるが、幸い今はそんなことに魘されている場合ではないのだ。
「俺以外に犯されてる伊波とか、想像したくもないっての」
小さく呟くと、笑いがこみ上げてきた。階段の窓から見えた伊波は、まだ昇降口から出たばっかりだ。今から俺の男になると思うと、何か悪いことをしている気分だった。
inm視点
やっちゃった。やらかした。オレの大好きなロウに、嫌われたかもしれない。消えてしまいたい。この世から去ってしまいたい。
「はぁ」
幼なじみ故に続いているこの甘美な味を、まだ失いたくなかった。ちょっとの油断のせいで、オレの口から零れ出てしまった。
「伊波!」
後ろを振り向くと同時に、腕を掴まれる。10年以上聞き続けて慣れた声。何度触れたか分からない大きな手。鼓動が速い。頭が痛い。
「…なに」
「その…すまん。何も反応できなくて」
「もういいよ。忘れてっていったじゃん」
「そうじゃないって。俺もお前のこと好き」
「いいよ。気遣わないで」
「マジだって。恋愛的に、ずっと好きだったんだよ」
顔を上げると、真っ直ぐな目をしたロウがいた。ああ、やっぱり好きだ。今なら彼の言葉が嘘でも良い。好きな人に好きって言ってもらえるのって、こんなに嬉しいんだ。
「ほ、ほんとに?」
「なんで泣いてんだよ。俺が泣かせたみたいじゃねえか」
「……小柳のバカ」
彼に身を任せたくて、自転車をもう一度止めて正面から抱きつく。小柳は一瞬驚いたようだったが、すぐに抱き返してくれた。お互いに駐輪場までダッシュしたせいか、ぴと、と肌と肌が張り付く。
「あちいよ」
「あは、ごめん。嬉しくて」
彼の心臓も、オレに負けないくらい煩かった。
「こっち見ろ」
顔を上げると、視界いっぱいに小柳の顔。オレの顔は絶対、真っ赤だ。
「なに」
「好きって言ったこと、後悔すんなよ」
小柳は少し屈んだと思えば、口に柔らかいものが触れる。それが何か分かってしまったから、オレは急いでロウから離れた。
「バカ!!何してんの」
幸い正門付近には誰もいないが、教室の窓からはこの場所が見えてしまうので、今誰がオレたちを見ているか分からない。
「誰か居るかもしれないじゃん!」
小柳はポカンとしている。
「流石に外では…さ?」
公衆の目もあるし、と言うと、彼は一層分からないといったような目をした。
「…ライのこと好きな奴どんだけ居るか知ってんの?」
「…へ?」
オレの女子に告白された回数なんて、ロウとは比べものにならないほど少ないはずだ。
「いや、居ないでしょ。小柳のほうがいっぱい女子ファンついてるじゃん」
「同性は?」
「……は?」
「お前を狙ってる男が何人いるか知ってんのって話」
「お、オレを?」
はあ、と小柳はため息をつく。そして一発オレにデコピンをかました。
「痛ぁ…!?」
「ライ、お前危機感なさすぎ。いつか襲われる ぞ」
「そんなわけない!!」
「あんだよ。帰るぞ」
当然のように変える方向は一緒だし、口をつけたオレンジジュースのペットボトルをこちらに渡してくる。
「なんでだよ。オレ飲まないよ?」
「恥ずかしいんだ?」
「いやそういうことじゃ…!」
「あーわかった」
そういうことね、とロウは呟き、オレの唇に手を当てる。
「間接じゃなくて、直接。欲しいんだ?」
「……っ//」
「あれ?違う?言ってくれないと分かんないなあ?」
「…絶対言わないから」
「ふーん。別に俺は良いけど」
昇降口から正門までが、とても遠く思えた。長い沈黙が続く。昇降口で感じたあの感覚を、もう一度だけ。
「…ねぇ、ちゅー、しよ?」
mrkm視点
「あ、手繋いだ」
双眼鏡を持ったタコが呟く。
「結局成功したん?」
「キスもしてたし成功してそう」
「今日告白したばっかやんな??」
「愛重たいですね〜〜」
あはは、と笑ってタコが双眼鏡から目を離す。タコの報告を聞いて、教室に居たクラスメイトは満足気な表情をしていた。
「やっと付き合った?小柳と伊波」
僕が頷くと、クラスメイトたちは顔を見合わせてハイタッチをする。
「長かった〜。ずっと渋ってたから俺等急かしちゃった」
「え、何したんですか」
タコが目を輝かせて、少年のように尋ねると、事の経緯を細かく説明してくれた。
「いやあ、俺等もガチで伊波のこと好きだったんだけど、小柳には敵わねえなって思って」
いなみのことになるとあんな獣のような目をするおおかみだ。僕も勝てる気はしない。
「うわ、またキスしてる」
タコは、今度はスマホのズーム機能で2人を観察していた。僕もタコも、彼らが結ばれて嬉しいという気持ちで一杯だったと思う。
「お熱いのは観衆の目がないところでやってくださーい!!」
窓を開けてデカい声で、思いっきり茶化してやった。