テラーノベル
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──────傲慢の悪魔視点──────
「んで?そいつが新しい席に座らせたいっていう『復讐』ちゃん?」
私、『傲慢の悪魔』がその悪魔を見つめる。小さめな体型に、あどけない表情とどこか儚さがあるその立ち姿。愛らしい、守りたくなるような容姿をした悪魔。憤怒、というより色慾の悪魔の方が向いてるだろ、なんてことは飲み込み、連れてきた悪魔、強欲の悪魔を見る。彼女は相変わらず勝気な笑みを浮かべ、余裕の構えを見せる。よほど、自信があるらしい。
けれど、いくら空席と言ったがそんな簡単にこの席には座らせられない。何故ならば我々は悪魔を代表する七つの大罪。弱いやつなんてごまんといるのだ。それを見た目の好き嫌いで選ぶなんて言語道断である。
どうやって力を証明してもらおうか。それを話し合おうという空気が漂い始めた時、強欲の悪魔が話し出す。
「彼女は憤怒の悪魔になる充分な素質を持っています。それを証明しましょう。…そうですね、傲慢。あなたが判断してください。あなたの言葉ならみんな納得するでしょうし。」
「強欲さぁ…。傲慢さんをいいようにしすぎじゃないかい?君もまだまだ新人なわけ。1000年以上生きたこの人に少しは敬意を払いなよ…。私だってめんどいけどさぁ…?」
強欲の提案に苦言を呈するのは怠惰の悪魔。その黒髪の長髪をだらりと垂らし、髪留めすらも適当に止められている程度に済まされている。深紅の瞳もまぶたが伏せがちなせいでその瞳が覗かれることはなく、気だるげな雰囲気を漂わせ、椅子すらまともに座らないそいつはそれでも私に最低限度の敬意を払っている。
たしかに、私は長いあいだこの席のトップに君臨し、無敗を誇るもの。自分で言おう。その活躍は魔界にとどまらず天界や、天使にも多大な影響を与えたといえる。だからこそ、大抵の悪魔は私の存在というオーラにやられ、敬意を払う。──────だからこそ数百年しか生きてない強欲の悪魔がここまでズカズカ来れるのが面白いのだ。経験の差と実力の差を理解してなお、私を上手く扱い、隙あらば手のひらにのせようとするその気概が面白い。
ま、私からしたらどれもこれも小物に過ぎない。
私はちらりと憤怒の悪魔予定者を見る。その瞳は透き通っているようで濁っている。筆舌に尽くし難い目をしていた。その目からは怒りも見えなければ、悲しみも見えない。
それほどまでに彼女が感情を抑えているのか、はたまたただの見当違いなのかは分からない。けど、憤怒の悪魔である私の興味を唆るのには十分であった。
最初っから殴り合う…という訳には行かない。例え、七つの大罪の強さには入らなくても、今は貴重な戦力。易々と死なせてしまったら100年後がどうなる事やら。私は簡単な面接を始める。
「強欲の悪魔と知り合った経緯は?」
「兄のご友人でしたから、そこからです。」
「なぜ、憤怒の悪魔になりたいと?」
「私が力を求めているからです。」
「力のために憤怒の悪魔になりたいってこと?」
私がつついてやれば、彼女はバツの悪そうな顔をしたが、すぐに凛とした表情で答える。
「いえ、兄を殺した天使への復讐です。復讐したい、という意思はあるのですが、力が及ばず…なので、力を求めています。」
「嫌いだよ、そういうの。」
私は、キッパリと言う。強欲がやや睨みつけてきたが、そんなことはどうでもいい。私は、私に対していつでも素直であり正直なのだ。
「悪魔は力のために生きている訳じゃない。常に欲のために生きている。私利私欲のために、喉から手が出るほど望んだもののために、命をベットしてでも、泥水をすすろうが死より辛いことを体験しようがそれでもなおほしいものを手に入れる。
我々七つの大罪は欲のために生きる。私は復讐を欲だなんて思わない。綺麗すぎるんだよ。」
私がはっきり理由を述べる。彼女は、私の復習は綺麗すぎるという言葉に衝撃を受けているようだった。今度は強欲が反論してくる。
「彼女の言う復讐はあなたが言うちっぽけな復讐なんかよりも遥かに上です。」
「『他人のためにする欲』っていうのは弱いんだよ。自分中心に世界を回していくぐらいじゃないと私は欲とは認めな」
風を切る音。確実に致命傷を狙うために心臓に目掛けて放たれた『禁忌の魔法』。私はそれを魔法で防いだ。そりゃそうだ。私は1000年以上生きた悪魔だ。魔力や魔法への対応力もそこら辺の悪魔とは比べ物にならない。だからこそ、防げた。
けど、この魔法は確実な殺意を持って行われた。それは誰か?強欲?怠惰?嫉妬?
──────違う。彼女だ。力を求めた彼女が。今からなろうとする地位のトップを殺すためにその魔法を放った。
「Correct!!」
思わず盛大な拍手を送ってしまう。素晴らしいっ。素晴らしい!!これこそが求めていた悪魔だ。地位なんて、力なんて関係ない。ただ、自分のために味方すらも殺せる残忍な悪魔。それこそが、我々なのだ。
私は、拍手もそこそこに、その行動の真理を聞く。彼女は一言だけ言う。
「私の目標のために邪魔でしたから。」
純粋な瞳が黒く濁っているのがわかる。その瞳に見つめられ、私は最高にゾクッとした。この感覚は久しぶりで、しばらく酔いしれておきたかった。けれど、私はこの場の最終審判者。私が私のために、面白いやつをこの場に入れる。
私は七つの大罪に入れるためのたった一つの条件。『自分のために私を殺せるか』。大抵の悪魔は私との力の差に恐れおののき、挑もうとするやつなんて居ない。挑もうと不意打ちをするやつも分かりやすすぎる。しかし、彼女は違った。強欲に喋らせ、そちらに気を引かせたうちに、一撃で殺しにかかったのだ。しかも、簡単に禁忌の魔法を使って見せたのだ。しかも、強欲のやつは視線固定の魔法を使い、注意を復讐ちゃんに向けないようにしていた。
──────面白い。数百年ぶりに面白いものを見せて貰えた。
彼女には素質がある。それに、強欲が協力するくらいには彼女は復讐心に燃え、怒りで他者を殺そうとした。そう、私が言った、復讐なんて綺麗すぎる。その一言だけ。逆鱗に触れたか否かは分からないが、その怒りだけで私を殺そうとした。しかも、衝動的じゃない。強欲を利用して、確実に殺そうとしてきた。馬鹿じゃない殺し方。まだまだ爪が甘いが、そこは磨けばいいだけ。素質がある。あと100年。その間に育て上げられれば──────。
私は、ニヤリと笑い、全員に向けて一言放つ。
「気に入った。私は彼女が憤怒の席に座るのを認めようと思う。」
私の一言は何よりも重い。魔界において唯一と言っても過言では無いほどの信頼と信用があるのが私の一言だ。私は欲に嘘をつかない。正直者だ。だって、正直でも力があるから。不意打ちを私はものともしないから。だからこそ、私の言葉にはそれくらいの重みがあった。
「別にぃ…傲慢さんがいいならいいんじゃない?決定には元々従うつもりだったしぃ…。」
「…非常に妬ましいけど、私の愛する悪魔が愛した世界を守るためなら甘んじて受け入れてあげますよ。」
怠惰の悪魔と嫉妬の悪魔はそれに対して承認する。強欲の悪魔は当然のように頷く。結局は強欲の望み通りになってしまったな、なんて手のひらの上で踊った感覚を面白く感じつつも、私は彼女を承認する。
「改めて、歓迎しよう。復讐の悪魔。我々は君を憤怒の悪魔と認めよう。」
「ありがたきお言葉。仰せのままに。」
心にも無い言葉を良くもスラスラと、と思うが今はそんなことは気にしない。空席は、あと2つ。ここからこの席が埋まるのだろうか?なんて思いつつも、私は喉を鳴らす。
ああ、面白い。これは死ぬまで退屈死なさそうだ。
私だけが唯一知っている真実を煙に撒きながら私はひっそりとその瞬間を噛み締めた。
ここで切ります!今回はヒナちゃんの昇級試験的な感じの回でした!また、他のめめ村メンバーが他の大罪の席に座っていることが明かされた回でもあります。
今回トップに座ったのは八幡さんで、嫉妬はぐさおさん(元ネタはアモ〇スの役職のヤンデレから)。怠惰はシンプルに動画投稿の頻度が遅いからです。八幡さんはただの私の癖です()
他のメンツは後々登場させたいですが、このルートを長引かせるのも…って感じなので数話出てくる程度かと。
あと、テラーがアプリじゃなくてもルビが振れるようになりました!!なのでまあ、今回はそれの確認というていでも書きましたので、ルビ多めです。これから難しい漢字や、ここぞというタイミングで使っていきます!!ずっと使いたいと思ってたんですよね!!これから存分に使います!!
それでは!おつはる!
コメント
4件
八幡さんは体術めちゃ強であって欲しい