テラーノベル
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私が塩と交換される……!?
塩はレトにとって喉から手が出るほど欲しいものだ。
でもここで交換されたら冒険が終わってしまう。
「どうだ? レト王子」
「やるね、セツナ王子……」
「迷ってるのか?
他に欲しいものがあるなら、おまけもつけるぞ?」
「そこまでにしておきなよ、セツナ。
からかいすぎ。聞いているこっちが呆れてくる」
「ああ、そうだな。
今日の戦はこれで終わりだ。
病の中でも敵と張り合えるやつだってことは十分に分かったぜ。
話の続きは、レト王子の病気が治ってからする。
かけらは、明日も同じ仕事な。……オレは寝る」
セツナは布団を敷いてから、私たちに背を向けて横になる。
それを見届けたライさんは何も言わずにドアを開けて小屋から出て行った。
どうやら、セツナだけ私たちと同じ場所で寝るらしい。
この国の王子だから、こんなに窮屈な所よりずっと快適な部屋を持っているはずなのに……。
わざわざここを選ぶということは、私たちを直接監視するためなんだろう。
今後どうするかレトと一緒に考えたいところだけど、聞かれてしまうから思ったように話せない。
仕方なく布団の中に入り、夜が過ぎるのを待つ。
目を閉じているうちに、何も考えられなくなってきて私は眠りについた。
それから、どれくらい時間が経ったのか分からない。
目が覚めると、レトとセツナはまだ寝息を立ていて布団の中にいた。
二人が起きる気配はないし、天井の隙間から夜空が見える。
どうやら外は、まだ明るくなっていないらしい。
起きるのは早いし、トイレに行ってからもう一度眠ろう……。
小屋の外に出ないといけないけど、このくらい許容範囲のはず。
セツナを起こさないようにそっと入り口まで歩き、音を立てないようにゆっくりとドアを開けた。
まだ二人が眠っていることを再び確認した後に、小屋から出てふぅっと静かに息を吐く。
肩の力が緩んでからトイレに向かって歩くと、その先に人が立っていた。驚いてピタリと足を止める。
「うわっ!? ライさん……?
脅かさないでくださいよ。……あれ、違う?」
森の向こうに大きな月が見えて暗闇を照らしているけど、その光からなんだか冷たさを感じる。
目の前に現れた人は、フードを深く被っている。
そして、口元を布で隠しているから顔がよく分からない。
黒っぽいマントで全身を覆っているから、グリーンホライズンかクレヴェンの人なのかも判断できなかった。
「この世界の人間ではない。
それは本当なんだよな?」
声の低さで私の前に立っている人が、大人の男だということが分かる。
でもレトやセツナのような明るさはなくて、どこか謎めいた雰囲気があるように感じた。
「そうですけど……。きゃっ……!」
その男が光る物を投げてきて、ぶつかると思った私は目を瞑って両腕で防御をする体勢をした。
しかし、何も当たることはなく、ポトッと地面に落ちる音がしただけ。
私は、恐る恐る目を開けてそれを見る。
これは……、宝石……?
拾ってみると、両手で包めるくらい大きなダイヤモンドだった。
月の明かりを反射して七色の神秘的な光を放ち、触れていると、なぜか手放したくないほど魅了される。
「それは世界にたった一つしかない物だ。
一つの国を導くか、四つの国を滅ぼすか命運を握る恐ろしくも美しい宝」
「すごく綺麗……。
大切な人にしか渡したくないくらいに……」
「俺には必要ない物だからやるよ。
せいぜい他の奴に奪われないように気をつけるんだな」
「なぜこれを私に……?」
「時期に分かるはずだ。 ……分からなくても、そのうち迎えに行ってやるから」
「まっ、待ってください! ちゃんと説明を……。
あれ……、いない……」
強い風が吹いてきて、ダイヤモンドが手から落ちないように守った一瞬の隙に男はどこかに消えてしまった。
この美しい宝物が誰かに奪われる可能性があるから、一刻も早く見つからない場所に置かないといけない。
なぜなのかその気持ちが強くなってきて、小屋に戻ってから自分の作業着のポケットにダイヤモンドを隠した。
隅の方に置いてあるからここなら誰も気づかないはず……。
安心した私は目を閉じて眠った。
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